今日は朝野ペコ先生の授業です。
今回の授業のテーマは、「アイデアの出し方」です。
実際にペコ先生が携わられた本のカバーイラストについて、どうやってアイデアを考えたのか、そのプロセスのおはなしです。
まず、本のサイズは、単行本(ハードカバー)ならB6(128✕182㎜)または46判(128✕188㎜)、文庫本だとA6(出版社によって長辺のサイズは少し違います)サイズを使われることが多いです。(もちろん変形サイズもあります)
文庫本のカバーイラストだと、イラストが使われるのは、本の表紙になる部分です。出版社によって、背表紙の色や裏表紙の解説の位置などが決まっています。
単行本のカバーイラストは、表紙のみならず、裏表紙や、見返しに巻き込む部分なども含めて担当することになります。また、単行本は99%帯が付きます。
本のサイズや帯の有無によって、どの部分に重要な要素を持ってくるか、ということも大切なポイントです。
ペコ先生は、依頼があると、
①依頼があった通りに描く
②依頼から派生させたものを描く
③全く別の切り口から描く
④思いついたアイデアを複数描いて、イメージに近いものを選んでもらう…など様々なパターンで対応されています。
「アイデアを出す時は、打ち合わせで出てきたキーワードを沢山メモして、それをとっかかりにしています。また、実際に本を読んでみて、面白いなと思うポイントを描くことや、周りの人にヒントを貰うこともあります」
実際に携わられた本のカバーイラストや、その時のラフも見せて頂きましたよ。
「仕事ではたくさん提案してくれるイラストレーターはありがたい、という意見を頂くことが多いです。アイデアは、いっぱいあった方が良いし、そこからまた新たなアイデアが生まれることがあるので、出し惜しみせず、どんどんアイデアを出していきましょう」
朝野ペコ先生のカバーイラスト
授業の後半では、アイデアの練習として、単行本のカバーイラストのラフを描いてみます。
テーマは『テニスの試合』
自分のイラストのタッチに合うよう、アイデア、構図などをざっくりと出してください。
発表では、「表紙がサーブする手元、裏表紙ではサーブする全身を描き、遠近感を利用し、映画的な視点にした」「表紙にボールボーイや審判など、選手ではない方を主役にした」「ベンチにもたれかかって、タオルで顔を隠して勝敗など分からないようにし、余韻を残した」など、皆さん色々な視点で『テニスの試合』を表現されていました。
最後にペコ先生が
「皆さんの発表を聞いて、実際に読んでみたいと思える本がたくさんありました。
アイデアを出すことはAIに出来ないので、面白いことをやってやろうという精神は、イラストレーターにとって大事にしなければならない部分かなと思います」とお話しして下さいました。