やまめの庭つくり

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ドミニク・ペロー

2010-12-27 | 造園
去る26日に師匠と東京オペラシティアートギャラリーで開催されていた「ドミニク・ペロー ~都市というランドスケープ~」展に行ってきました.

正直,ドミニク・ペローの名を知りませんでしたが,パンフレットの写真に惹かれました.


会場では,これまでの建築作品のビデオ映像と彼が好んで使用する金属メッシュの壁,1/100の図面と,数々のコンペやプロジェクトのために作成した模型や写真・スケッチが展示してありました.

ドミニク・ペローは,フランスの建築家で,80年代後半にフランス国立図書館の国際コンペティションを36歳の若さで勝ち取ったことにより世界中から注目されるようになった人だそうです.

設計過程では恐ろしくシンプルなスケッチとそのまま立体にしたような簡素な模型,そこから詳細な検討に入っていることがつながりとしてわかりやすく展示されていました.

メッシュ状の金属板をぐるぐるっと筒状にしてのばしたものがほぼそのまま橋の形になったり,マユのようなものでビルそのものを被ってみたり・・・・

大きなでこぼこスポンジを向かい合わせにたてて,ツインタワーに見立てたり.

かなりユニークなデザインでした.

実際に施工するのは大変そうだなぁ.
建築の中にいたら,実際に外から見たら,不思議な気持ちになりそう~.

こんな形の建築物が世界に散らばっているのかと思うと,いつか見に行ってみたいなぁと思います.

さらに会場を奥に進んでいくと,ドミニク・ペローが11のテーマについてインタビューに答えている映像が流れていました.

彼の作品の特徴は,新しい建築をいかに文化的・地理的な背景と結びつけ,現在進行形の歴史の一部とするか,という視点・・・・・・だそうです.

これだけだと抽象的でよくわからないのですが,そのインタビューの中で話していたことを断片的に書いてみると・・・

真実とは教えて見つかるものではなく,打ち立てるもの.

大地への意識,地理的・歴史的関係性を導入する.住んでいるのだから.

小さな建築行為⇔取り巻く環境との共鳴がある.

敷地との対話は文学的な関係.内的なもので,自由に想像する.コンセプト,テーマを考える.
部分⇔全体の関係は自律性が相関している.

未来に与えられ,付与されるであろう瞬間~建築家は「未完成」を受け入れる.

オブジェクトは密度,実体にすぎない.ヴォイド→公共空間が大切,万人に感じられる.

建築で「床」は大地の象徴.開かれた空間.

歴史を再発見,再解釈し,文化や知識を再評価する.

評価されていないものを再評価する.評価されているものはさらに再評価する.量より質が大切.離れているものがひとつになり,既存の質から新たな質を生み出す.


映像の中で彼が語っていたことは,こうして抜き出すとかなり抽象的です.

ただ,やまめにとっては23日に師匠が小田原で語っていたことといつのまにか,シンクロしていました.

土地の歴史,文化を再評価し,新しい質を生み出す.

大地の地理的,歴史的関係性を意識し,全体の空間の多様性や開放性を関連づける.

そして,いずれ「時」が仕上げをしてくれる部分を残し,造園家は「未完成」を受け入れる....


建築家と造園家は似ているのかも知れませんね.