ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】太鼓叩いて笛吹いて

2024年11月17日 | 演劇

【太鼓叩いて笛吹いて】

作 井上ひさし

演出 栗山民也

2024/11/16 紀伊國屋サザンシアター

 

小学校から高校までを一緒に過ごした友人二人と観劇っていうのはこれが初めて。

一人は今年の夏の初めに北海道から横浜に引っ越してきた。

もう一人は、地元に残っているが、今回所用で上京した。

せっかくの機会だから観劇を、と言うことになり、

スケジュールが合い、チケットとれたのがこの舞台。

 

大竹しのぶさん主演の土日のチケットが

わりと直前に取れたのはラッキーだったと思う。

 

「林芙美子」といえば、森光子さんが舞台上で、「でんぐり返し」をしていた

「放浪記」があまりにも有名。

残念ながら私はこの舞台を観ていない。

「でんぐり返し」ばかりがクローズアップされて、なんだか興ざめしてしまった・・・

 

今回はすでにべ®ストセラー作家になっている林芙美子。

第二次世界大戦を経て47歳で心臓まひで急逝するまでの16年間を描いている。

売れっ子作家がゆえに、発した言葉の影響は大きく、

結果的に国民を戦争へと駆り立てることになってしまう。

外国の戦地を慰問し、戦況を知り、自分のしてきたことを悔いる姿が痛々しい。

きっと林芙美子が言わなくたって、誰かがそんな風に利用されていただろうに。

 

林芙美子を演じるのは大竹しのぶさん。

無邪気だったり、ちょっと高飛車だったり、

自分を悔いた後の険しさや悲しみだったりを、

クルクルと演じ分けるのがさすが!

 

林芙美子の母、キクを演じるのは高田聖子さん。

大竹さんよりずっと年下だけど、しっかりおばあちゃん。

コミカルに、シリアスなときはしっかりと重く、

林芙美子の「おかあさん」そのもの。

 

キクの行商の弟子(近藤公園さんと土屋佑壱さん)だった二人の変貌が恐ろしい。

純粋さが仇になり、時代にほんろうされ、みるみる洗脳されて、

戦争に異を唱える人たちを弾圧する側に回ってしまう。

 

戦後

「書かなくてはね、もっと書かなくては」と

市井の真実を書き続けた無理がたたって、命を落としてしまう。

47歳はあまりにも早すぎる。

 

オープニングでピアノ伴奏とともにみんなで歌う歌が、

その時は明るく聞こえたけれど、

最後に聴いた時は、同じ歌なのに深く重く響く。

 

とても重くつらく恐ろしいテーマだけれど、

井上ひさしさんの舞台は、なんだかすっと心に入ってきて、

希望のようなものが最後に残る気がする。

戦争を扱った作品は多いけれど、

渦中の市井の人々は、大変な中にあっても、明るくて、強くて、前を向いている。

こまつ座の作品を見た後は、顔が自然と上を向く気がするのだ。

 

たまたまだけど、

この日は井上ひさしさんのお誕生日なんだとか。

 

なので、会場には井上さんのお写真が飾られていた。

もっともっと長生きして、心に染み入る素敵な戯曲をたくさん書いていただきたかった。

 

観劇の前に、早めのランチをして、観終わった後はゆっくりお茶をして、感動を分かち合う。

高校を卒業してから、

それぞれにいろいろな出来事があり、

都度、なんとか乗り越えてきた私たち。

今、故郷から遠く離れた東京で、一緒に観劇できる環境にいられるなんて本当に幸せなことだ。

 

林芙美子の駆け抜けた人生を見て、

大切な人たちと一緒にいられる時間を

これからもたくさん作っていきたいとより強く思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【観劇メモ】ニッポン狂騒時代~令和JAPANはビックリギョーテン有頂天

2024年11月04日 | 演劇

「ニッポン狂騒時代~令和JAPANはビックリギョーテン有頂天」

スーパーエキセントリックシアター

脚本 吉井三奈子

演出 三宅裕司

2024/10/21 池袋サンシャイン劇場

 

友人と私の年に一度のお楽しみ

スーパーエキセントリックシアター公演。

今回はもう一人友人が加わって、3人で出かけて行く。

 

「ミュージカル・アクション・コメディー」をコンセプトに

歌って踊って笑わせて、とにかく楽しい。

 

最近のお笑いにありがちな

誰かを貶めたり、下ネタで笑わせたり、ってことが無くて、

誰も傷つけることのない明るい笑いが好き。

 

1960年代の東京を舞台に、

アメリカンポップミュージックのカヴァー満載の楽しさに、

アメリカを敵対視して安保反対の学生運動の激しさと哀しさも加わり、

ちょっと深い内容だったと思う。

 

私が大学生のころには学生運動はすっかり下火で、

わずかに残っている人たちが、授業を妨害したり、

成田空港建設反対のビラを夜にこっそり貼ったりしていた。

 

坂本九が歌う「素敵なタイミング」をはじめ、

明るいカヴァーポップスが次々と流れて、

ウキウキしてくる。

60年代にアメリカンカヴァーーポップスの訳詩をした

漣(さざなみ)健児さんという方の人生をもとにしているとか。

最終的にはハッピーエンドで幸せな気持ちで家に帰ることが出来るのもうれしい。

とにかくストレス解消になるのだ。

 

今回、パルシステムでチケットを買ったのだけれど、

嬉しいおまけがついていた。

それは、終演後のバックステージツアー。

昨年もツアーのある日のチケットをゲットできたので、2年連続。

 

スタッフの方の案内で、楽屋やステージの裏を通りながら、

実際に舞台上で使っている小道具や、セットなどを見せていただく。

 

学生運動の学生役の方達がかぶるヘルメットが整然と壁に掛けられ、

一つ一つ役者さんの名前がちゃんと書いてある。

どれをかぶってもいいんじゃないんだ~、と感心したり。

 

前回は小道具の写真も撮影OKだったけど、

今回は裏側はすべてNG

 

最後にステージの上に立って、そこから見た客席はOKとのこと

 

なかなか圧巻

ステージ上からここにいっぱいの観客を見たら、

役者さんたちはやめられなくなるんだろうな~

 

 

華やかなで明るい舞台と

バックステージを見学して、二度おいしい。

 

楽しさが続いていた私たちは

最寄り駅に着いてから、駅前のサイゼリヤで、

飲んだり食べたりして余韻に浸ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【観劇メモ】片づけたい女たち

2024年11月01日 | 演劇

「片づけたい女たち」

作 永井愛

演出 保坂萌

2024/10/19 シアタートップス

 

幕が上がるとそこは汚部屋。

散乱するごみ、脱ぎ散らかした洋服、

ぐちゃぐちゃの紙類や本など、

テレビの片付け番組でもよく見る光景が広がる。

 

そこに恐る恐る入ってくる女性二人。

おチョビ(佐藤真弓)とバツミ(有森也実)だ。

この部屋の住人ツンコ(松永玲子)と連絡が取れないのを心配して様子を見に来たらしい。

3人は高校のバスケ部からの30年来の友人。

ゴミだらけの寝室から出てきたツンコを放っておけない二人は、

嫌がるツンコを𠮟咤激励しながら部屋を片付けていく。

 

家族で居酒屋を切り盛りするおチョビが、片付けの指示を出す。

かなり年上の夫を持つ主婦のバツミはそれに従いながらもあちこち脱線。

シングルのキャリアウーマンで、彼と別れたばかりのツンコは二人が捨てようとするものをなかなか捨てられない。

 

片付けの仕方は私が受講したライフオーガナイザーの講座で習った通り。

モノじは全部出してあるので、

まずは分類。

そして位置を決めて片付ける。

迷ってるものは「迷ってる」の箱へ。

 

その動きがとても自然で、

脱線の仕方もあるあるで、

自分のことのようでちょっと恥ずかしい。

 

腰が痛かったり、膝が痛かったり、肩が上がらなかったり・・・

ありがちなやりとりも、自分のことのよう。

 

片付けながら思い出話をしたり

今の生活の愚痴を言ったり、

将来の不安を語ったり、

過去の後悔を思い出したり・・・

 

昔の友達と会うとこういう風になるよな~、っていうのもリアル。

それぞれが、それぞれの悩みを抱えていて

吐き出したり、

共感したり、

説教したり、

励ましたり、

と部屋が片付くのと同列で

それぞれの心の中も片付いていく。

 

どんどん片付いていく部屋を見ているのが楽しい。

3人の悩みのどれかが誰かに刺さっていると思う。

みんなが「あるある」と思いながら観ていたのではないだろうか。

 

私も、何度も「あるよな~」と思い、

そうそう、私もそれが捨てられない、と共感し、

ああでも、そうやって捨てればいいのか、と感心し、

あっという間に終演となった気がする。

 

いくつになっても悩みは尽きない。

その年齢なりの悩みが次々とわいてくるのよね~

 

でも学生時代の友達に会うと、

一瞬でその時の気持ちにタイムスリップする。

これを繰り返せばアンチエイジングになるのではないかと錯覚するほどだ。

 

完ぺきではないまでも、

なんとなく片付いて、人間らしい部屋になって、

それぞれが未来を見つめてそれぞれの場所に帰っていくラストが清々しい。

 

真夜中の話だけれど、朝日が差し込むようだ。

 

おもしろかった~!

 

永井愛さんの作品のセリフのリアリティが大好き。

すっと物語の中に入ってイメージを共有できる感じがなんとも好き。

 

久しぶりのシアタートップスのちょうどいい広さも好き。

 

土曜の午後、お付き合いくださった友人と、

観劇後に無印のカフェでお茶を飲み、

激混みの伊勢丹の地下でお弁当を買い、

家に帰ったら私も片付けよう、と心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【観劇メモ】A-NUMER-数 WHAT IF IF ONLY-もしも もしせめて

2024年10月05日 | 演劇

A-NUMER-数 

WHAT IF IF ONLY-もしも もしせめて

作  キャリル・チャーチル

演出 ジョナサン・マンビィ

翻訳 広田敦郎

2024/9/15 世田谷パブリックシアター

 

今回の舞台は2本立て。

 

最初の上演は

「WHAT IF IF ONLY-もしも もしせめて」

15分くらいの短いお話。

 

大東駿介さんは愛する人を失った苦しみの中にいる「某氏」

キッチンでお酒(?)を飲みながら

現実を受け入れられずに悲しみに暮れている。

 

もしせめてあのとき、ああしていたら、

もう一度愛する人に会えるなら、

出来ることなら話がしたい、

ただただ愛する人に会いたい・・・

と果てしなく、ひたすらに願い続ける。

 

そこに現れる、「起きなかった未来」は

赤いドレスを着た浅野和之さん。

かなりヤバい!

それまでの、大東さんの悲しみの空気が一気に爆笑になる。

 

「未来」が某氏に見せる起きなかった未来や起きえたかもしれない未来は

おびただしい数の映像や声で押し寄せる。

 

でも、同じく浅野さん扮する「現在(女装じゃない)」が現実に引き戻す。

 

良いことも、悪いことも、何が起きても起きなくても、

未来に向かって生きていくしかない、ってことを気づかせてくれる。

 

だって、そうだ、

選ばなかった道はなかった道、って石井ゆかりさんの「青い鳥」って星占いの本にも書いてあったっけ。

 

当たり前のことだけど、15分くらいの時間の中で

あらためて「そうだよな~」としみじみ思った。

 

休憩を挟んで

「A-NUMER-数」が上演される

 

父親ソルターが堤真一さん

息子バーナードが瀬戸康史さん

 

父と息子が何やら言い争っている場面から話が始まる。

父が息子にいろいろ言い訳をしているのだ。

 

バーナードが自分にうり二つの人物に会った、というのだ。

どうやら、自分のクローンが複数いるらしい、ということがわかってくる。

最初父は、病院が勝手にやった、とか苦しい言い訳をしているが、

やがて、衝撃の事実が・・・

 

いろんなバーナードが次々と現れる(瀬戸さんが何役も)のは滑稽でもあるけれど、

じっくり考えると空恐ろしい。

誰かが死んでしまって、その細胞でクローンを作ったとしても、それはもはや本人ではないはず。

でも、愛するわが子や、大切なペットなどを失うときになったら、人はそれでもクローンが欲しくなるのだろうか。

 

先に上演されたのが、現実を受け入れて未来に進む話なら

こちらはいびつな未来を作り上げてしまう話。

 

現実にクローンは簡単に作れないけれど、

いつかそういうことが誰でもできるような日が来ちゃうんだろうか、と考えると

ちょっと恐ろしいし、どれがオリジナルでどれがコピーかわからなくなってしまいそう。

 

でもやっぱり、

過ぎてしまった道は引き返すことが出来ないし、

失ったものは戻ってこない、

ってことを肝に銘じていた方が

人生は輝く気がする。

 

などと、過去や未来のことをちょっと真面目に考えされられた舞台でした。

 

 

 

 

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【観劇メモ】ベルサイユのばら ーフェルゼン編ー ときどき宝塚

2024年10月04日 | 演劇

「ベルサイユのばら~フェルゼン編~」

原作 池田理代子

脚本・演出 植田紳爾

2024/9/8 東京宝塚劇場

 

自分でチケットを買うことはないけれど、

年に何回かチケットをいただく機会がある宝塚歌劇。

 

今回も、いただく事ができたので、友人と二人で日比谷にある東京宝塚劇場に出かけてゆく。

 

あまりにも有名な「ベルばら」は

過去に何度か観ているが、

何度見ても面白いし華がある。

 

初演は私が中学生のころだと思う。

それ以前に、漫画の連載を、通っていたピアノ教室に置いてあった雑誌で読んでいた。

宝塚が大好きな友人が、全部セリフを覚えていて、

一人で「ベルばら」を演じて見せてくれたっけ。

 

ちょうど10年位前、同じくフェルゼン編を観ていたが

その時のことははっきりとは覚えてない・・・

ので、ちょっと昔のブログで復習してみた

 

【観劇メモ】ベルサイユのばら  ~フェルゼンとマリーアントワネット編~ - ゆるゆるらいふ (goo.ne.jp)

 

【観劇メモ】ベルサイユのばら - ゆるゆるらいふ (goo.ne.jp)

 

「ベルばら」は登場人物の立場によって、出来事への見方が大きく変わる。

 

王女マリー・アントワネット

スウェーデン伯爵 ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン

近衛連隊長付き大尉 オスカル・フランソワ・土・ジャルジェ

 

見方によって悪になったり、悲劇のヒロインになったり・・・

 

今回はマリー・アントワネットとフェルゼンの報われない恋や

オスカルのフェルゼンへの想い、

フランス革命後の王室の悲劇、

オスカルの幼馴染アンドレのオスカルへの想い、

フェルゼン以外のそれぞれの命が尽きるとき、

などなど山場がたくさんあって、目が離せない。

 

オスカル役の朝美絢さんは、漫画からそのままでてきたようだったし。

 

今回のマリー・アントワネットは、

ただのわがままなお姫様、というより

とても自分の意志をしっかり持つ強い女性って感じだった。

 

この公演はフェルゼン役の雪組トップスター彩風咲奈さんの引退公演なんだとか。

一緒に行った宝塚大ファンの友人によれば、

朝美さんが次のトップスターらしい。

 

後半のレビューで、全員が彩風さんのほうを向いて歌う

劇中歌「セラビ・アデュー」はそれほどファンでもない私でも

胸にぐっとくるものがあった。

 

とにかく華やかでキラキラしていて、

公演中は違う世界に迷い込んだかのようだ。

しかも今回は前から6列目。

 

客席に降りてきたときも、舞台の上でも

もしや目があったのでは、と思っちゃうくらい近い。

 

不動産会社の貸切公演なので、

客層は普段のファンばかりの時とはかなり違う、とファンの友人は言うが、

ほとんどこの貸切公演にしか来ない私は、さほど違和感がない。

 

終演後は劇場近くの日比谷ミッドタウンの上にある穴場のカフェに友人が連れて行ってくれた。

 

日比谷界隈の夜景を見ながら

スイーツをいただいて、興奮さめやらぬ彼女の話を楽しく聞く。

 

 

こんなに喜んでもらえるなんて

お誘いしてホントによかった

 

またチケットをいただくことがあれば

ご一緒してくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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