叔母が終の住処に決めたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は松島から叔母の家に向かう途中にある。
せっかくなので見学していこう。
仙台市若林区なないろの里、という街は郊外のニュータウン。
これから開けていく感じの明るく、きれいな街並み。
お買い物行くのにも便利そう。
今、叔母が住んでいるところは、車が無ければ生活できない。
83歳の叔母は、5月の免許更新を機に返納を決めた。
ここなら車が無くても大丈夫

【アンダンチって何語?】
カーナビに導かれて、着いたところは、およそ施設っぽくない素敵な空間。
「え?ここ?」
って思っちゃう。
日曜日ってこともあり、敷地内の公園でファミリーが遊んでいる。

通りから、すっと自然に入って行けるアプローチ。
のどかな雰囲気が心地いい。
施設の名前は「アンダンチ」
「あなたの家」
↓
「あんたんち」
が仙台の方言で
「あんだんち」(「た」が濁音になります)
となる。
このことばに、あなたの「地(場所)」、「知(知恵)」という意味を込めたとか。
前日、叔母からこのネーミングを聞いた時に、なんかとってもセンスいいな~って思った。
こういうセンスってとっても好き

【温かみのある室内】
今まで何度か高齢者施設を訪れたが、だいたいは住居というよりも病院っぽかった。
昨年秋に仙台市内にある2か所の施設に住む叔母たちに会いに行ったが、そこも然り。
こちらの施設はちょっと違う。
外観はシンプルモダン。

個室は確かにちょっと狭い

右手前がトイレ
お風呂は共同です

車椅子対応の洗面台がある
収納は洋服がかけられる小さなロッカーが一つだけ。
高齢とは言え、まだまだ介護を必要としない一般生活者にはちょっと少ないかも。
欲を言えばせめて押入サイズの収納が欲しいところだ。
とはいえ、叔母はそのあたりは割り切っているのでまあいいか。
3階の叔母の部屋の窓からは、先ほどの公園が見下ろせる

各階のホールには畳の談話コーナーと、ミニキッチン。
キッチンは自由に使っていいそうだ

この壁の色は紫が嫌いな私はちょっと苦手・・・
1階のホールは海外のリビングルームのよう

なんだか落ち着く。
「汚れない」素材を優先してないからかも。
生活者目線が伝わってくる。
高齢者向けのシェアハウスって感じかな。
【ピクトグラムがかわいい
】

私が気に入ったのは「ピクトグラム」
トイレなどのサインだ。
とにかくかわいい

まず最初に目についたのが駐車場


お風呂も

ランドリーにある洗濯機や乾燥機は使い放題

トイレ

談話コーナー

階段室の入り口

うちにも欲しい

【施設内通貨ダンチ】
住居棟の入り口には駄菓子屋さんがある

近所の小学校に通う子供たちが、買いに来るとか。
入居者がここのお店番をすると、この施設内で使える通貨でアルバイト料みたいなものがもらえるらしい。
通貨の単位は「ダンチ」
こういうのも、たまらなく私のツボ

お店番以外にもいろいろお仕事があって、「ダンチ」は部屋代に充当したり、敷地内のレストランでも使えるらしい。
【地域に溶け込む施設づくり】
敷地内には「寝かせ玄米」を使った自然食レストランがある。

誰でも入れるので、ここで少し遅いランチにしよう、と車の中で話してきたのだが、まさかの満席

今回はあきらめました。
施設内の食事もここから運ばれるらしい。
事前に食べるかどうかを申し込むのだが、キャンセルは3時間前でいい、と自由度が高い。
もう一人の叔母のところは、3日前に言わないと料金がかかってしまうので、急な来客と外食するときなど不便らしい。
レストランの2階は保育園。
ここで働くスタッフのお子さんたちだけでなく、近隣のお子さんも受け入れているとか。
これはコミュニティセンター

ワークショップなども開催されているらしい。
すぐそばにはクリニックも。

公園にはヤギもいる


昨年秋に叔母に会った時には、まだ何も決まっていなかったのに、年が明けて急に家が売れることになり、話がトントン進んだ。
以前から考えていたこととはいえ、あまりの急展開にちょっと心配していた。
私たちのような親戚が遊びに来るのも自由。
部屋にお泊りもできる、と聞いてちょくちょく叔母のところに遊びに来ていた母もちょっと安心しているようだ。
以前にも書いたが、叔母には本当にお世話になったので、「おばさんがよければ、私たちの住む千葉に来てもらってもいい」、と伝えていた。
でも、叔母には生まれ育った仙台で作り上げてきた人間関係がある。
住み慣れたところで暮らせるなら、それに越したことはない。
亡くなった叔父はそれほど大きくはない会社に定年まで勤めあげた、ごく普通の会社員。
叔母は特別お金持ちってわけではない。
市役所に相談に行って、ここを紹介してもらった、という。
終の住処が素敵なところで本当によかった。
もし、私が地主で、資金が潤沢にあったら計画したい、と思い描いていた施設にかなり近い。
好奇心旺盛で活動的な叔母のこれからの新しい生活が、穏やかでキラキラした毎日になることを心から願う。
次回、おじゃまする時は、寝かせ玄米のランチを絶対にいただきます
