前日に引き続き、2日連続の舞台鑑賞。
この日の会場は三軒茶屋、世田谷パブリックシアター。
一緒に行ってくれたのは、大学の同級生。
いつものように、早めに待ち合わせをして一緒にランチをいただく。
この日のランチは、劇場のはいっているキャロットタワーと言うビルの23階にある展望レストラン。
天気がいいのでスカイツリーも見える。
これまたいつものようにギリギリまでおしゃべりして、劇場へとむかう。
昭和初期の東北地方が舞台。
この戯曲の初演が今から80年前というのに驚く。
今の社会でも起こりうることばかり。
家屋敷が抵当に入り、まさに今日、亡くなったこの家の主の妻である老女おかじは家を追い出されようとしている。
元は家老の定宿だったという「だるま屋」という旅館だが、今は見る影もない。
娘のおしまは夫が刑務所に入ってしまい、娘二人と実家に帰ってきて、酒浸りの日々を送っている。
そこへ、かつてさんざん悪事と不義理を働いたあげく村を出てゆき、織物工場の経営者に成り上がって大金持ちになった
先代の妹、おかじの義理の妹にあたる おとりが現れる。
おかじの怒りと恨みはすさまじくて、「泥棒いたち」なんて罵っちゃう。
そんなところに南洋に出稼ぎに行ったこの家の長男萬三郎が帰国し、借金を返すことになり、
家屋敷は取られずに済む。
が実はそのお金はおとりが工面したもので・・・。
と、どんどん話しは泥沼化していく。
美しくしたたかな悪女、おとりを演じるのは鈴木京香さん。
着物姿が艶やかで、しぐさの一つ一つが絵のようだ。
落ちぶれたおばあさんの、おかじにはベテラン白石加代子さん。
怒りの迫力がハンパない。
後ろに炎が見えるようだ。
人のいい長男は高橋克己さん。
高橋さんが鈴木さんの甥っていうのはどうなんだろう?って気もするが、
おとりの手のひらでコロコロ転がされている情けない感じがぴったり。
出戻りの妹は江口のりこさん。
ものすごくすさんだ感じがよく出ている。
ここにいい人のような顔をしながら、近寄ってくる債権者たちが取り巻いている。
中でもインテリで悪知恵の働く山本龍二さんが演じる山影先生なる人物がホントに胡散臭い。
おとりに色仕掛けで言いくるめられ、一緒にだるま屋乗っ取りを画策する。
お人よしの長男はすっかりだまされて、何の役にもたたない。
最後のおかじとおとりの言い争い場面の激しさったらない
白石さんは興奮のあまり、ときどき白目になってしまい、その都度会場から笑いが起こったけれど、
ここはきっと笑うところではなかったはずだ。
うっすらと笑みを浮かべながら、無力な老婆をどん底に叩き落とす鈴木さんの容赦ない感じと、目の覚めるようなタンカは
「極道の女たち」の時の岩下志麻さんのようだ。
息子のお金だと思っていたものが、実はおとりのお金で、何もかも失ってしまったと分かった時のおかじの落胆は胸に迫るものがある。
最後の最後、おとりが無言ですっと手を挙げて、おしまを制するシーンでは、
ピンと糸が張りつめたように空気が止まり、思わずため息が出そうな美しさ。
背中がぞくぞくするほどだ。
どこかで少しくらいいい人になるのかと思ったけれど、とうとう最後までとんでもない悪女だった。
なんだか救いのない悲惨な話だったけれど、おかじの悪態も、おとりの悪巧みもここまで来るとむしろ小気味いい。
台詞が全部東北弁っていうのもリアリティが増幅された一因だと思う。
それにしても、人をだます手法っていうのは昭和初期も今もあまり変わっていない。
振り込め詐欺もそうだけれど、同じ手口に繰り返しひっかかってしまう。
こんな風に何もかもとられちゃうって怖い、と一緒に行った友人もつぶやいていた。
そうそう、毎日ぼんやりしてばかりはいられない。
悲しいことだけれど、危険を察知するアンテナは研ぎ澄ましておかなければ・・・。
この日の会場は三軒茶屋、世田谷パブリックシアター。
一緒に行ってくれたのは、大学の同級生。
いつものように、早めに待ち合わせをして一緒にランチをいただく。
この日のランチは、劇場のはいっているキャロットタワーと言うビルの23階にある展望レストラン。
天気がいいのでスカイツリーも見える。
これまたいつものようにギリギリまでおしゃべりして、劇場へとむかう。
昭和初期の東北地方が舞台。
この戯曲の初演が今から80年前というのに驚く。
今の社会でも起こりうることばかり。
家屋敷が抵当に入り、まさに今日、亡くなったこの家の主の妻である老女おかじは家を追い出されようとしている。
元は家老の定宿だったという「だるま屋」という旅館だが、今は見る影もない。
娘のおしまは夫が刑務所に入ってしまい、娘二人と実家に帰ってきて、酒浸りの日々を送っている。
そこへ、かつてさんざん悪事と不義理を働いたあげく村を出てゆき、織物工場の経営者に成り上がって大金持ちになった
先代の妹、おかじの義理の妹にあたる おとりが現れる。
おかじの怒りと恨みはすさまじくて、「泥棒いたち」なんて罵っちゃう。
そんなところに南洋に出稼ぎに行ったこの家の長男萬三郎が帰国し、借金を返すことになり、
家屋敷は取られずに済む。
が実はそのお金はおとりが工面したもので・・・。
と、どんどん話しは泥沼化していく。
美しくしたたかな悪女、おとりを演じるのは鈴木京香さん。
着物姿が艶やかで、しぐさの一つ一つが絵のようだ。
落ちぶれたおばあさんの、おかじにはベテラン白石加代子さん。
怒りの迫力がハンパない。
後ろに炎が見えるようだ。
人のいい長男は高橋克己さん。
高橋さんが鈴木さんの甥っていうのはどうなんだろう?って気もするが、
おとりの手のひらでコロコロ転がされている情けない感じがぴったり。
出戻りの妹は江口のりこさん。
ものすごくすさんだ感じがよく出ている。
ここにいい人のような顔をしながら、近寄ってくる債権者たちが取り巻いている。
中でもインテリで悪知恵の働く山本龍二さんが演じる山影先生なる人物がホントに胡散臭い。
おとりに色仕掛けで言いくるめられ、一緒にだるま屋乗っ取りを画策する。
お人よしの長男はすっかりだまされて、何の役にもたたない。
最後のおかじとおとりの言い争い場面の激しさったらない
白石さんは興奮のあまり、ときどき白目になってしまい、その都度会場から笑いが起こったけれど、
ここはきっと笑うところではなかったはずだ。
うっすらと笑みを浮かべながら、無力な老婆をどん底に叩き落とす鈴木さんの容赦ない感じと、目の覚めるようなタンカは
「極道の女たち」の時の岩下志麻さんのようだ。
息子のお金だと思っていたものが、実はおとりのお金で、何もかも失ってしまったと分かった時のおかじの落胆は胸に迫るものがある。
最後の最後、おとりが無言ですっと手を挙げて、おしまを制するシーンでは、
ピンと糸が張りつめたように空気が止まり、思わずため息が出そうな美しさ。
背中がぞくぞくするほどだ。
どこかで少しくらいいい人になるのかと思ったけれど、とうとう最後までとんでもない悪女だった。
なんだか救いのない悲惨な話だったけれど、おかじの悪態も、おとりの悪巧みもここまで来るとむしろ小気味いい。
台詞が全部東北弁っていうのもリアリティが増幅された一因だと思う。
それにしても、人をだます手法っていうのは昭和初期も今もあまり変わっていない。
振り込め詐欺もそうだけれど、同じ手口に繰り返しひっかかってしまう。
こんな風に何もかもとられちゃうって怖い、と一緒に行った友人もつぶやいていた。
そうそう、毎日ぼんやりしてばかりはいられない。
悲しいことだけれど、危険を察知するアンテナは研ぎ澄ましておかなければ・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます