昨年通っていたセミナーの講師陣は著名な脚本家の方たちだった。
その先生たちがたびたび「別役実」と言う脚本家のお名前を口になさる。
不条理演劇の第一人者だとのこと。
サミュエル・ベゲットの「ゴドーを待ちながら」と言う作品が不条理演劇として有名だが、
底の浅い演劇ファンの私は観たことは無い。
待たれてるゴドーはなにをしているか、という「ゴドーは待たれながら」なんていうパロディは観ちゃったけど・・・。
一度、別役氏の作品を観てみたい、と思っていたところ、この作品が上演されるというので、
一人でのこのこ観に行ってみる。
劇場は三軒茶屋のシアタートラム。
柄本明さんの一人芝居だ。
柄本さんが演じるのは、水虫防止付靴底シートのセールスマン。
ヨレヨレのスーツにトランクを持ち、黒い雨傘をさして登場。
そのたたずまいだけで、なんだか可笑しい。
舞台の上には電信柱とバス停とベンチ。
別役氏の舞台にはいつも電信柱が登場するらしい。
柄本さんは観客に語りかけるようにセールスマンである自分のことを語り始める。
商品である靴底シートに始まり、奥さんや子供のことなど・・・。
あまりに自然で、ほんとにそのへんのおじさんの世間話を聞いているような錯覚に陥る。
途中、セールスに行きたくないからと自分を首輪で電柱につないでみたり、
段ボールに住もうとしたり、まじめにいろんな変なことをしてはことごとく失敗し・・・。
とぼけた語りとなんともコミカルな動きで笑いを誘う。
どうにも仕事のできないサラリーマンって感じが伝わってきて、これじゃあ売れるわけないよなあ、って思ってしまう。
やがて彼の身にふりかかった悲惨な出来事がぽつりぽつりとさりげなく話しの中に盛り込まれていく。
笑って観ていたのにいつの間にか前に乗り出して「え?なになに?」っていう思いで息を呑む展開に。
大切な人の命に係わる悲惨な内容なのに感情が高ぶることなく、水虫防止付靴底シートの説明と同じようなテンションで
淡々と語られていき、そのことで、セールスマンの絶望がより強く感じられる。
なんともやり切れないラストに「う~ん」とうなりそうになる。
カーテンコールとセールスマンのときと変わらないテンションでの柄本さんのご挨拶で、現実に引き戻された感じ。
休憩無しの1時間20分、ひとりのホントのセールスマンの孤独な人生を垣間見たようだった。
ずいぶん前になるが、市川市市民会館で、柄本さんの一人芝居を観たことがある。
題名は忘れたが、チェーホフのモノだったと記憶している。
初めてのチェーホフで、ロシア人の名前が覚えにくいなあ、と思いながら観ていた。
そして、この日の舞台は最悪だった。
柄本さんが、じゃない。観客が、だ。
チケットがあまり売れなかったのかどうかはわからないが、興味がないけどチケットをもらったから来ました、という
年配のオバサマたちが1/3はいたんじゃないだろうか。
マナーの悪さがハンパじゃない。
上演中におしゃべりはする、物は食べる、「おもしろくない」「なに言ってるかわからない」などと
聞こえるように言う。
そして途中で席を立って帰る・・・
あなたたちはタダで来たかもしれないけれど、こちらはちゃんとチケットを買ってきてるのに・・・
何より柄本さんに申し訳ない
小学生の発表会だってもうちょっとおとなしく観てるのに、っていうありえないマナーレベル
本当に残念だった。
なので、今回は私にとって仕切り直し、っていう思いも見事に達せられて、本当に行ってよかった
その先生たちがたびたび「別役実」と言う脚本家のお名前を口になさる。
不条理演劇の第一人者だとのこと。
サミュエル・ベゲットの「ゴドーを待ちながら」と言う作品が不条理演劇として有名だが、
底の浅い演劇ファンの私は観たことは無い。
待たれてるゴドーはなにをしているか、という「ゴドーは待たれながら」なんていうパロディは観ちゃったけど・・・。
一度、別役氏の作品を観てみたい、と思っていたところ、この作品が上演されるというので、
一人でのこのこ観に行ってみる。
劇場は三軒茶屋のシアタートラム。
柄本明さんの一人芝居だ。
柄本さんが演じるのは、水虫防止付靴底シートのセールスマン。
ヨレヨレのスーツにトランクを持ち、黒い雨傘をさして登場。
そのたたずまいだけで、なんだか可笑しい。
舞台の上には電信柱とバス停とベンチ。
別役氏の舞台にはいつも電信柱が登場するらしい。
柄本さんは観客に語りかけるようにセールスマンである自分のことを語り始める。
商品である靴底シートに始まり、奥さんや子供のことなど・・・。
あまりに自然で、ほんとにそのへんのおじさんの世間話を聞いているような錯覚に陥る。
途中、セールスに行きたくないからと自分を首輪で電柱につないでみたり、
段ボールに住もうとしたり、まじめにいろんな変なことをしてはことごとく失敗し・・・。
とぼけた語りとなんともコミカルな動きで笑いを誘う。
どうにも仕事のできないサラリーマンって感じが伝わってきて、これじゃあ売れるわけないよなあ、って思ってしまう。
やがて彼の身にふりかかった悲惨な出来事がぽつりぽつりとさりげなく話しの中に盛り込まれていく。
笑って観ていたのにいつの間にか前に乗り出して「え?なになに?」っていう思いで息を呑む展開に。
大切な人の命に係わる悲惨な内容なのに感情が高ぶることなく、水虫防止付靴底シートの説明と同じようなテンションで
淡々と語られていき、そのことで、セールスマンの絶望がより強く感じられる。
なんともやり切れないラストに「う~ん」とうなりそうになる。
カーテンコールとセールスマンのときと変わらないテンションでの柄本さんのご挨拶で、現実に引き戻された感じ。
休憩無しの1時間20分、ひとりのホントのセールスマンの孤独な人生を垣間見たようだった。
ずいぶん前になるが、市川市市民会館で、柄本さんの一人芝居を観たことがある。
題名は忘れたが、チェーホフのモノだったと記憶している。
初めてのチェーホフで、ロシア人の名前が覚えにくいなあ、と思いながら観ていた。
そして、この日の舞台は最悪だった。
柄本さんが、じゃない。観客が、だ。
チケットがあまり売れなかったのかどうかはわからないが、興味がないけどチケットをもらったから来ました、という
年配のオバサマたちが1/3はいたんじゃないだろうか。
マナーの悪さがハンパじゃない。
上演中におしゃべりはする、物は食べる、「おもしろくない」「なに言ってるかわからない」などと
聞こえるように言う。
そして途中で席を立って帰る・・・
あなたたちはタダで来たかもしれないけれど、こちらはちゃんとチケットを買ってきてるのに・・・
何より柄本さんに申し訳ない
小学生の発表会だってもうちょっとおとなしく観てるのに、っていうありえないマナーレベル
本当に残念だった。
なので、今回は私にとって仕切り直し、っていう思いも見事に達せられて、本当に行ってよかった
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