ステージが明るくなったと同時に、どきっ!っとした
舞台の上で家族全員が防毒面をつけて、客席の方を向いている。
なんとも、不気味な光景だ。
と、どたばたと面をとって、訓練の終わりが告げられる。
浅草のレコード店「オデオン堂」の家族と、
居候たちを含めたこの家に出入りする人たちの、普通の日常が描かれている。
戦時下であるということをのぞいては・・・。
長男が脱走兵となってしまったことで、家族は肩身の狭い思いをするが、
逃げ回る長男がひょっこり顔を出せば、無事を喜び歓待し、当然のようにかくまう。
元歌手だったが、レコード店の店主と再婚し、血のつながらない息子と娘を育てる
明るく生命力にあふれる妻に秋山菜津子さん。
スタイル抜群で歌もお上手。
出てきただけで舞台がパ~っと明るくなり、まさに太陽のようなお母さんだ。
ちょっととぼけていて、音楽と家族を心から愛している店主に、久保酎吉さん。
この家に間借りしている、広告文案家(今でいうところのコピーライター)を木場勝己さん。
この家の娘と結婚する傷病兵には相棒の「ひまか?」でおなじみ山西惇さん。
軍事教育を受け、こちこちの愛国主義者だった彼が、この家の人たちと接するうちに、
徐々にこの国のありかたに疑問をいだいて、葛藤する苦悩が痛々しいほど伝わってくる。
脱走兵が立ち寄るのでは、と目を光らせつつ、人の好さが出てしまう憲兵が木村靖司さん。
脱走兵とか傷病兵、食糧不足、レコードの没収など、かなりヘビーな話なのだけれど、
まるで普通の平和なホームドラマのように、笑ったり泣いたりしながら、日常が過ぎていく。
けれど、確実に彼らの周りはおかしな空気になって、戦況はどんどん悪化し、
近所の若者たちも召集される前日、オデオン堂を訪れた彼らの最後のお願いは、流行歌のレコードを聞きたいというもの。
けれど、そのレコードはすでに手元にはなく、オデオン堂も軍の物になってしまい・・・。
後ろの壁にかかっている暦は昭和16年12月7日。
真珠湾攻撃の日だ。
ここから先のこの国の悲劇を、舞台を観ている私たちは知っている。
この先、この家族にも、どんな悲劇が待っているやもしれない。
無くなってしまったレコードの代わりに、元歌手だった妻が「青空」を熱唱
聞いてる私も思わず胸が熱くなる。
この舞台の間中、どんなに周りが変わっていっても、この家族が思う「大切なもの」の基準は揺らぐことがない。
劇中、「地球という星の存在が奇跡」とか「生きているだけでも奇跡中の奇跡」とか「人間はピカピカの奇跡」とか、
誰かが絶望しそうになると、「奇跡」と言う言葉を誰かが発する。
確かに、日々を平穏に暮らすことは奇跡の連続なのかもしれない。
今回、長男役の田代万里生さんが降板し、電報配達役のはずだった峰崎亮介さんが代役を務めたが、とってもいい感じ
はじまりと同じように、全員が防毒面をつけた顔をこちらに向けて幕が下りる。
皆が同じ方向を向いていく気味悪さを表しているようだ。
なんとなく、今の日本も、変な風に法律が解釈されたりして、背中がうすら寒い。
亡くなった井上ひさしさんは、今のこの国を憂うだろうか。
たくさんたくさん笑ったけれど、もの悲しい想いの残る、素敵な舞台だった。
舞台の上で家族全員が防毒面をつけて、客席の方を向いている。
なんとも、不気味な光景だ。
と、どたばたと面をとって、訓練の終わりが告げられる。
浅草のレコード店「オデオン堂」の家族と、
居候たちを含めたこの家に出入りする人たちの、普通の日常が描かれている。
戦時下であるということをのぞいては・・・。
長男が脱走兵となってしまったことで、家族は肩身の狭い思いをするが、
逃げ回る長男がひょっこり顔を出せば、無事を喜び歓待し、当然のようにかくまう。
元歌手だったが、レコード店の店主と再婚し、血のつながらない息子と娘を育てる
明るく生命力にあふれる妻に秋山菜津子さん。
スタイル抜群で歌もお上手。
出てきただけで舞台がパ~っと明るくなり、まさに太陽のようなお母さんだ。
ちょっととぼけていて、音楽と家族を心から愛している店主に、久保酎吉さん。
この家に間借りしている、広告文案家(今でいうところのコピーライター)を木場勝己さん。
この家の娘と結婚する傷病兵には相棒の「ひまか?」でおなじみ山西惇さん。
軍事教育を受け、こちこちの愛国主義者だった彼が、この家の人たちと接するうちに、
徐々にこの国のありかたに疑問をいだいて、葛藤する苦悩が痛々しいほど伝わってくる。
脱走兵が立ち寄るのでは、と目を光らせつつ、人の好さが出てしまう憲兵が木村靖司さん。
脱走兵とか傷病兵、食糧不足、レコードの没収など、かなりヘビーな話なのだけれど、
まるで普通の平和なホームドラマのように、笑ったり泣いたりしながら、日常が過ぎていく。
けれど、確実に彼らの周りはおかしな空気になって、戦況はどんどん悪化し、
近所の若者たちも召集される前日、オデオン堂を訪れた彼らの最後のお願いは、流行歌のレコードを聞きたいというもの。
けれど、そのレコードはすでに手元にはなく、オデオン堂も軍の物になってしまい・・・。
後ろの壁にかかっている暦は昭和16年12月7日。
真珠湾攻撃の日だ。
ここから先のこの国の悲劇を、舞台を観ている私たちは知っている。
この先、この家族にも、どんな悲劇が待っているやもしれない。
無くなってしまったレコードの代わりに、元歌手だった妻が「青空」を熱唱
聞いてる私も思わず胸が熱くなる。
この舞台の間中、どんなに周りが変わっていっても、この家族が思う「大切なもの」の基準は揺らぐことがない。
劇中、「地球という星の存在が奇跡」とか「生きているだけでも奇跡中の奇跡」とか「人間はピカピカの奇跡」とか、
誰かが絶望しそうになると、「奇跡」と言う言葉を誰かが発する。
確かに、日々を平穏に暮らすことは奇跡の連続なのかもしれない。
今回、長男役の田代万里生さんが降板し、電報配達役のはずだった峰崎亮介さんが代役を務めたが、とってもいい感じ
はじまりと同じように、全員が防毒面をつけた顔をこちらに向けて幕が下りる。
皆が同じ方向を向いていく気味悪さを表しているようだ。
なんとなく、今の日本も、変な風に法律が解釈されたりして、背中がうすら寒い。
亡くなった井上ひさしさんは、今のこの国を憂うだろうか。
たくさんたくさん笑ったけれど、もの悲しい想いの残る、素敵な舞台だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます