天皇皇后両陛下はご成婚50周年--金婚式を迎えられた。今月号の『文藝春秋』も
「ご成婚50周年」を特集し、お祝いしている。
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その中でとくに興味深く読んだのが、上記タイトルの小泉信三の随筆である。少し
長くはなるが、その一節をぜひご紹介したい。
(ヴァイニング)夫人の滞在中、吾々(夫人と私)はすでに東宮妃たるべき淑
女の資格について語り合ったことが夫人の著「皇太子の窓」の一章に記されてい
る。或る日、夫人は私と語り、いう。皇太子妃たるべき方は、容姿がすぐれてい
なければならぬ、知性に富んでいなければならぬ、気力がしっかりしていなけれ
ばならぬ、ユーモアを解する人であって欲しい、云々と。それに対して私はこう
いったという。「理論上全然同感です。ただ、その人の名を指して下さい。」
「マケマシタ」と私(夫人)はいった。それは日本語で「まいった」という意味
である。そうして吾々二人は大笑いした。
それは八年前の会話であるが、殿下の御婚約が定まったので、私は夫人に、正
田美智子嬢こそ正しくあの時君が列挙した条件を、すべて備えた淑女だと、いい
送ろうとしているところへ、十一月二十日付の夫人の手紙が来た。アメリカの新
聞雑誌は、自由に殿下の御結婚について報道しているので、夫人はそれを読み、
また正田嬢の写真も見たのである。夫人は私がその手紙の一節を、無断で引用す
ることを許すであろう。彼女はいう。
「・・・・・・私は彼女の顔に優しさ(スイートネス)とユーモアと勇気とを見た。こ
の方なら大丈夫だと思った。」写真は無論すべてを語らない。しかし、十分多く
を語る、と私は思った。(昭和34年1月号)
いつもながら、小泉信三流の、意を尽くしつつ抑えた筆致である。なお、言うまで
もなく小泉信三は東宮御教育掛であり、ヴァイニング夫人は皇太子の家庭教師だっ
た。
[桜も葉桜となった。テンプレートもさわやかな「新緑」に切り替えである。]
「ご成婚50周年」を特集し、お祝いしている。
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その中でとくに興味深く読んだのが、上記タイトルの小泉信三の随筆である。少し
長くはなるが、その一節をぜひご紹介したい。
(ヴァイニング)夫人の滞在中、吾々(夫人と私)はすでに東宮妃たるべき淑
女の資格について語り合ったことが夫人の著「皇太子の窓」の一章に記されてい
る。或る日、夫人は私と語り、いう。皇太子妃たるべき方は、容姿がすぐれてい
なければならぬ、知性に富んでいなければならぬ、気力がしっかりしていなけれ
ばならぬ、ユーモアを解する人であって欲しい、云々と。それに対して私はこう
いったという。「理論上全然同感です。ただ、その人の名を指して下さい。」
「マケマシタ」と私(夫人)はいった。それは日本語で「まいった」という意味
である。そうして吾々二人は大笑いした。
それは八年前の会話であるが、殿下の御婚約が定まったので、私は夫人に、正
田美智子嬢こそ正しくあの時君が列挙した条件を、すべて備えた淑女だと、いい
送ろうとしているところへ、十一月二十日付の夫人の手紙が来た。アメリカの新
聞雑誌は、自由に殿下の御結婚について報道しているので、夫人はそれを読み、
また正田嬢の写真も見たのである。夫人は私がその手紙の一節を、無断で引用す
ることを許すであろう。彼女はいう。
「・・・・・・私は彼女の顔に優しさ(スイートネス)とユーモアと勇気とを見た。こ
の方なら大丈夫だと思った。」写真は無論すべてを語らない。しかし、十分多く
を語る、と私は思った。(昭和34年1月号)
いつもながら、小泉信三流の、意を尽くしつつ抑えた筆致である。なお、言うまで
もなく小泉信三は東宮御教育掛であり、ヴァイニング夫人は皇太子の家庭教師だっ
た。
[桜も葉桜となった。テンプレートもさわやかな「新緑」に切り替えである。]
かったですよね~。一度、行ってみようかしら
ん。