3月13日(金)、日暮里サニーホールで行われた荒川オペラシリーズ「ラ・ボエー
ム」に期待のソプラノ沼生沙織(ぬまにゅう さおり*)さんがミミ役で出演され
たので聴きに行ってきた。
「ラ・ボエーム」は「トスカ」、「蝶々夫人」とともにプッチーニの代表作。ボヘ
ミアンの生活を題材とした悲劇である。ボヘミアンとは自由奔放な生活をする芸術
家、作家のことであるが、あまりよい意味では使われないようだ。
日暮里サニーホールは500人程度の収容能力があるが、音楽専用ホールではない。
ステージ下、客席最前列の左手(下手寄り)にピアノ、同じく正面に指揮者席があ
り、指揮者(澤木和彦氏)は座って指揮をしていた。字幕付き原語上演である。

沼生沙織さんのミミを聴くのは2回目である、数年前東京音大のオペラで第1幕、2
幕だけを歌ったのを聴いている。「いい声だな~」というのが初印象であった。
今回の演奏。第1幕ボヘミアンたちの生活の場、15分ほどしてミミが登場。私の耳
(ミミ)には、この数年のさらなる精進、腹式呼吸で身体全体に響く「(柔らか
な)自然な発声」というのが今回の印象だった。
ほどなくロドルフォ(新津耕平/芸大大学院修了)の「冷たい手を」は、第1幕と
いうこともあろう、少し硬かったが高音の抜けもよかったのでは。「私の名はミ
ミ」はリリコであるとしても迫力があった。続く二重唱もミミの方が「押し気味」
だった。
この調子で書くと長くなってしまうが、第4幕では会場がしーんとなり、ピアノ伴
奏とはいえアリアのライト・モチーフが現れる中、すすり泣きが聞こえてきた。
「総評」として、このオペラの登場人物にふさわしい、オーディションで選ばれた
<若手歌手たちによる若々しい>ステージだった。ムゼッタの新南田ゆり(桐朋大
研究科修了)も健闘。マルチェッロの女屋哲郎(東京音大、ミラノ音楽院卒)もな
かなかよかった。プロとはいえ、全員が一回限りの本番にかける<真摯で一生懸命
な>姿勢が伝わってきた。何万円も出す超一流オペラもいいけれど、このようなオ
ペラも別な、ある面ではそれに勝るとも劣らない楽しみがあるものである。
そして、以前にもブログ(「イが気になる」)で取り上げたが、「ミミ」の「i」
の発声は、ミミは無論ロドルフォも縦あきで素晴らしいものだった。
ただ、音楽専用ホールではないため、「響き」がなく、歌う側も大変歌いづらかっ
たのではないだろうか。
*沼生沙織さんのプロフィールは次のとおり。
東京音楽大学声楽科オペラコース卒業、同大学院声楽科オペラ研究領域修士課程
修了。2004年小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅤ「ラ・ボエーム」にミミ役カ
ヴァーキャストとして参加、およびロームミュージックファンデーション指揮セ
ミナーコンサートに出演。オペラでは他に渋谷シティオペラ「カルメン」フラス
キータ、東京オペラシアター「イドメネオ」エレットラ等に出演。2007年より1
年間イタリア・ヴェネツィアおよびトレヴィーゾに留学。カストロカーロ・テル
メにて夏期オペラマスターコース修了、聖レパラータ教会等での演奏会に出演。
第1回全日本彩明ムジカコンソルソ第3位。第36回イタリア声楽コンコルソ入選。
第1回ベルカント・ソプラノ・コンコルソ第1位。第17回日本声楽コンクール入
選。菅野宏昭、高橋啓三、緑川まり、Antonio Salvadori、Lucia Mazzaia、
Alessandro Pierfederici、Roberta Ferrariの各氏に師事。
(終演後「ファン」に囲まれて)右から二人目が沼生沙織さん

沼生さん、次回のオペラは9/12(土)の新宿オペラ「オテッロ」デズデモーナが予
定されている。応援しましょう!
ム」に期待のソプラノ沼生沙織(ぬまにゅう さおり*)さんがミミ役で出演され
たので聴きに行ってきた。
「ラ・ボエーム」は「トスカ」、「蝶々夫人」とともにプッチーニの代表作。ボヘ
ミアンの生活を題材とした悲劇である。ボヘミアンとは自由奔放な生活をする芸術
家、作家のことであるが、あまりよい意味では使われないようだ。
日暮里サニーホールは500人程度の収容能力があるが、音楽専用ホールではない。
ステージ下、客席最前列の左手(下手寄り)にピアノ、同じく正面に指揮者席があ
り、指揮者(澤木和彦氏)は座って指揮をしていた。字幕付き原語上演である。

沼生沙織さんのミミを聴くのは2回目である、数年前東京音大のオペラで第1幕、2
幕だけを歌ったのを聴いている。「いい声だな~」というのが初印象であった。
今回の演奏。第1幕ボヘミアンたちの生活の場、15分ほどしてミミが登場。私の耳
(ミミ)には、この数年のさらなる精進、腹式呼吸で身体全体に響く「(柔らか
な)自然な発声」というのが今回の印象だった。
ほどなくロドルフォ(新津耕平/芸大大学院修了)の「冷たい手を」は、第1幕と
いうこともあろう、少し硬かったが高音の抜けもよかったのでは。「私の名はミ
ミ」はリリコであるとしても迫力があった。続く二重唱もミミの方が「押し気味」
だった。
この調子で書くと長くなってしまうが、第4幕では会場がしーんとなり、ピアノ伴
奏とはいえアリアのライト・モチーフが現れる中、すすり泣きが聞こえてきた。
「総評」として、このオペラの登場人物にふさわしい、オーディションで選ばれた
<若手歌手たちによる若々しい>ステージだった。ムゼッタの新南田ゆり(桐朋大
研究科修了)も健闘。マルチェッロの女屋哲郎(東京音大、ミラノ音楽院卒)もな
かなかよかった。プロとはいえ、全員が一回限りの本番にかける<真摯で一生懸命
な>姿勢が伝わってきた。何万円も出す超一流オペラもいいけれど、このようなオ
ペラも別な、ある面ではそれに勝るとも劣らない楽しみがあるものである。
そして、以前にもブログ(「イが気になる」)で取り上げたが、「ミミ」の「i」
の発声は、ミミは無論ロドルフォも縦あきで素晴らしいものだった。
ただ、音楽専用ホールではないため、「響き」がなく、歌う側も大変歌いづらかっ
たのではないだろうか。
*沼生沙織さんのプロフィールは次のとおり。
東京音楽大学声楽科オペラコース卒業、同大学院声楽科オペラ研究領域修士課程
修了。2004年小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅤ「ラ・ボエーム」にミミ役カ
ヴァーキャストとして参加、およびロームミュージックファンデーション指揮セ
ミナーコンサートに出演。オペラでは他に渋谷シティオペラ「カルメン」フラス
キータ、東京オペラシアター「イドメネオ」エレットラ等に出演。2007年より1
年間イタリア・ヴェネツィアおよびトレヴィーゾに留学。カストロカーロ・テル
メにて夏期オペラマスターコース修了、聖レパラータ教会等での演奏会に出演。
第1回全日本彩明ムジカコンソルソ第3位。第36回イタリア声楽コンコルソ入選。
第1回ベルカント・ソプラノ・コンコルソ第1位。第17回日本声楽コンクール入
選。菅野宏昭、高橋啓三、緑川まり、Antonio Salvadori、Lucia Mazzaia、
Alessandro Pierfederici、Roberta Ferrariの各氏に師事。
(終演後「ファン」に囲まれて)右から二人目が沼生沙織さん

沼生さん、次回のオペラは9/12(土)の新宿オペラ「オテッロ」デズデモーナが予
定されている。応援しましょう!
千両なんて言葉ありましたっけ。近い将来大スターの
予感ですね。楽しみです。
いですね~。