12月演奏会シーズンである。7日(日)寒波襲来の中、昭和女子大学人見記念講堂
にワグネルの定演を聴いた。
(読みやすくしたつもりですが長文お許しください。「余談」は飛ばしてくださ
い。)
「塾歌」
1.F.リスト「愛の夢」より(指揮;畑中良輔、ピアノ;谷池重紬子)
2.「今でも・・・ローセキは魔法の杖」(指揮;伊藤旬太郎-学生)
--休憩--
3.「武満徹☆谷川俊太郎」(指揮;佐藤正浩、ピアノ;前田勝則)
4.オペラ「ポーギーとベス」より(指揮;畑中良輔、ソロ;小濱妙美、平野忠
彦、ピアノ;前田勝則)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/34/833278f121b30343ac30db5f9ca5db05.jpg)
(余談)
5時の開演予定である。早めに家を出て4時10分には三軒茶屋駅に着いたが、駅前で
米国人と思しき外国人に道を尋ねられた。駒沢大学(駅)に行きたいという。
「オッケー。マカセナサーイ。それならここで電車に乗ればいいよ」
と言ってお終いになるかと思ったら
「オーノー、オレは歩いて行きたいんだよー」
とヤヤコシイことを言われ、説明に時間を食った。
トラブル(和訳;「オウジョウしまっせ~」)である。
「悪い癖」で本屋に立ち寄りし1冊衝動買い、4時半過ぎに会場入りしたら、下田会
長、吉川さんは既に談笑中。さっとご挨拶をして、プログラム、畑中先生の「苦し
まない人生ってあるの?」を読む。
それは、藤沢市民オペラの「メリー・ウィドウ」の話から何気なく始まっていた
が、読み進むうちにじわーっと涙があふれでてきた。「音楽には全くウソはない。
手を抜けば音楽の心は失われ、音響が流れるだけだ」とまとめられていた。すばら
しい(ブンダバー)、感動的な文章だった。
5時にブザー。いつものアナウンス「まもなく開演でございます。・・・・・・」。
緞帳が上がる。3列約45人。拍手に迎えられ、中央の学生指揮者伊藤くんが前へ進
む。(余談;この人内事庶務マネを兼務。今は兼務が多い。)
この会場は音響が少々デッドである。歌っている方はどう感じるのかしら。ともあ
れ「塾歌」はなかなかいい出来。今年は、声の粒がそろっているといおうか、パー
トごとの「均質性」(パートがまとまり、それぞれの音色がよく統一されてい
た。)があった。これは大変いいことだ。全ステージ、終始それを感じた。発声の
先生の力が大きいところだろう。
1.2列、約30人。昨年のシューマンに続き佐渡先生(この方、京大工学部卒会社
員である。)編曲のF.リストである。1曲目V.ユゴー「おお僕がまどろむ時」、
仏語。谷池さんのピアノとハミングに続き「Oh! quand je dors」のワンフレー
ズで、ああ、詩といい音といい、まさしくロマン派!だ。自然な呼吸(歌は呼吸
だ!)の中に歌われる。
1曲目が終わった時点で、四連の時はなかったが「えー、皆さんこんにちは」と
畑中先生のお話が入った。2曲目「三人のジプシー」(この後3曲はすべてドイツ
語の歌詩)について、詩とピアノ伴奏を詳しく解説してくださる。ジプシー・ヴ
ァイオリン、タバコの煙、眠っている時のそよ風など(伴奏にも耳や目をやって
くださいよと)音楽学校の授業のようで楽しい。
3曲目「ラインの、美しい流れの」では、ナポレオン遠征とケルンのお話があっ
た。ケルンの水(ケルニッシュ・ヴァッサー)がフランス語になるとオー・ド・
コロンになるとは初めて知った!「そして最後はご存知『愛の夢』」。
「三人のジプシー」では、Weide、Fuhrwerk、Mund、Frohなど独語の語感が本当
にすばらしく、こちらも独語の意味が分かるかのごとく錯覚に陥った。(独語は
子音を強調すればそれでいいというものではない。)各パートとも音色、音質が
そろっていてよかったが、バリトンはとくにソリストも含め、パートとしていい
声だった。
「愛の夢」はパートからパートへのメロディーの受け渡しもスムース。ピアノも
むろんステキ!伴奏というより合唱と一体となり、溶け合っていた。全体として
合唱は一人ひとりがほとんど限りなくソリストに近ければ30人で十分だと再認識
した。
2.世代としては今年61歳になられる遠藤雅夫氏の作曲。現代音楽の作曲家のよう
だが、この曲は、いろいろなものが織り込まれた、むろん調性のある、よくでき
た曲だ。明大グリーの委嘱作品。氏の31歳の作品である。氏のHPによれば「こ
の曲は毎年どこかで演奏されているらしい.作曲者としては嬉しい次第でありま
すが,嫁に出した娘みたいで殆ど現状を知らないのです」。(氏のHPにもワグ
ネルの定演のお知らせが載っていた。)
演奏は3列約45人。新人も加わっているようだ。この曲は2月の富士吉田演奏会、
六連と伊藤くんの指揮で歌ってきたという。こういうじっくり何回も歌う行きか
たも一つだろう。伊藤くんは伊藤栄一先生に師事、打点のハッキリした指揮でわ
かりやすい。むろん暗譜で振っていた。ア・カペラをアタッカで演奏しており、
客観的にいってなかなかのものだ。日本語の語感、語気、ニュアンスもよかっ
た。ここでも、とくに後半の曲でバリトンの音色(統一感)に感心した。バリト
ンのみならず力任せの熱唱でないことも好ましかった!
ここまでで1時間5分を経過。ここで20分の休憩となった。私は真っ先にロビーに飛
び出し、当日のライヴCDを予約した。
---------------------休憩-------------------------
後半は次回をお楽しみに。
にワグネルの定演を聴いた。
(読みやすくしたつもりですが長文お許しください。「余談」は飛ばしてくださ
い。)
「塾歌」
1.F.リスト「愛の夢」より(指揮;畑中良輔、ピアノ;谷池重紬子)
2.「今でも・・・ローセキは魔法の杖」(指揮;伊藤旬太郎-学生)
--休憩--
3.「武満徹☆谷川俊太郎」(指揮;佐藤正浩、ピアノ;前田勝則)
4.オペラ「ポーギーとベス」より(指揮;畑中良輔、ソロ;小濱妙美、平野忠
彦、ピアノ;前田勝則)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/34/833278f121b30343ac30db5f9ca5db05.jpg)
(余談)
5時の開演予定である。早めに家を出て4時10分には三軒茶屋駅に着いたが、駅前で
米国人と思しき外国人に道を尋ねられた。駒沢大学(駅)に行きたいという。
「オッケー。マカセナサーイ。それならここで電車に乗ればいいよ」
と言ってお終いになるかと思ったら
「オーノー、オレは歩いて行きたいんだよー」
とヤヤコシイことを言われ、説明に時間を食った。
トラブル(和訳;「オウジョウしまっせ~」)である。
「悪い癖」で本屋に立ち寄りし1冊衝動買い、4時半過ぎに会場入りしたら、下田会
長、吉川さんは既に談笑中。さっとご挨拶をして、プログラム、畑中先生の「苦し
まない人生ってあるの?」を読む。
それは、藤沢市民オペラの「メリー・ウィドウ」の話から何気なく始まっていた
が、読み進むうちにじわーっと涙があふれでてきた。「音楽には全くウソはない。
手を抜けば音楽の心は失われ、音響が流れるだけだ」とまとめられていた。すばら
しい(ブンダバー)、感動的な文章だった。
5時にブザー。いつものアナウンス「まもなく開演でございます。・・・・・・」。
緞帳が上がる。3列約45人。拍手に迎えられ、中央の学生指揮者伊藤くんが前へ進
む。(余談;この人内事庶務マネを兼務。今は兼務が多い。)
この会場は音響が少々デッドである。歌っている方はどう感じるのかしら。ともあ
れ「塾歌」はなかなかいい出来。今年は、声の粒がそろっているといおうか、パー
トごとの「均質性」(パートがまとまり、それぞれの音色がよく統一されてい
た。)があった。これは大変いいことだ。全ステージ、終始それを感じた。発声の
先生の力が大きいところだろう。
1.2列、約30人。昨年のシューマンに続き佐渡先生(この方、京大工学部卒会社
員である。)編曲のF.リストである。1曲目V.ユゴー「おお僕がまどろむ時」、
仏語。谷池さんのピアノとハミングに続き「Oh! quand je dors」のワンフレー
ズで、ああ、詩といい音といい、まさしくロマン派!だ。自然な呼吸(歌は呼吸
だ!)の中に歌われる。
1曲目が終わった時点で、四連の時はなかったが「えー、皆さんこんにちは」と
畑中先生のお話が入った。2曲目「三人のジプシー」(この後3曲はすべてドイツ
語の歌詩)について、詩とピアノ伴奏を詳しく解説してくださる。ジプシー・ヴ
ァイオリン、タバコの煙、眠っている時のそよ風など(伴奏にも耳や目をやって
くださいよと)音楽学校の授業のようで楽しい。
3曲目「ラインの、美しい流れの」では、ナポレオン遠征とケルンのお話があっ
た。ケルンの水(ケルニッシュ・ヴァッサー)がフランス語になるとオー・ド・
コロンになるとは初めて知った!「そして最後はご存知『愛の夢』」。
「三人のジプシー」では、Weide、Fuhrwerk、Mund、Frohなど独語の語感が本当
にすばらしく、こちらも独語の意味が分かるかのごとく錯覚に陥った。(独語は
子音を強調すればそれでいいというものではない。)各パートとも音色、音質が
そろっていてよかったが、バリトンはとくにソリストも含め、パートとしていい
声だった。
「愛の夢」はパートからパートへのメロディーの受け渡しもスムース。ピアノも
むろんステキ!伴奏というより合唱と一体となり、溶け合っていた。全体として
合唱は一人ひとりがほとんど限りなくソリストに近ければ30人で十分だと再認識
した。
2.世代としては今年61歳になられる遠藤雅夫氏の作曲。現代音楽の作曲家のよう
だが、この曲は、いろいろなものが織り込まれた、むろん調性のある、よくでき
た曲だ。明大グリーの委嘱作品。氏の31歳の作品である。氏のHPによれば「こ
の曲は毎年どこかで演奏されているらしい.作曲者としては嬉しい次第でありま
すが,嫁に出した娘みたいで殆ど現状を知らないのです」。(氏のHPにもワグ
ネルの定演のお知らせが載っていた。)
演奏は3列約45人。新人も加わっているようだ。この曲は2月の富士吉田演奏会、
六連と伊藤くんの指揮で歌ってきたという。こういうじっくり何回も歌う行きか
たも一つだろう。伊藤くんは伊藤栄一先生に師事、打点のハッキリした指揮でわ
かりやすい。むろん暗譜で振っていた。ア・カペラをアタッカで演奏しており、
客観的にいってなかなかのものだ。日本語の語感、語気、ニュアンスもよかっ
た。ここでも、とくに後半の曲でバリトンの音色(統一感)に感心した。バリト
ンのみならず力任せの熱唱でないことも好ましかった!
ここまでで1時間5分を経過。ここで20分の休憩となった。私は真っ先にロビーに飛
び出し、当日のライヴCDを予約した。
---------------------休憩-------------------------
後半は次回をお楽しみに。
久しぶりに質の高い音楽と学生の真摯な活動に接し、すがすがしい気持ちになりました。確かに塾歌を聴いたときに、声がいいと思いました、トップ、セカンドのつやが往時のものに復活していた、セカンドは4年生が多いせいか奥行きがあったし、破綻も少ない。バリトン・ベースもやや軽いが響きが乗っていたと思いました。ベースは本バスが何人か居るのかな。楽しみです。
「今でも・・・ローセキは魔法の杖」はたしか、78年頃の六連の放送を録音して毎日聞いてました、今回はこの曲を聴きに足を運んだも等しい。浪人の暗い時代にこの曲を聴いては石神井公園のあたりを夕方自転車で徘徊していたのを思い出しました。そのときに浮かぶのは「いつのまにか、こうなってしまった」という歌詞でした。伊藤さんの指揮はザッツがみやすいんでしょうね、硬い感じでしたが良い演奏だったと思います。激情に押し流されることなく、抑揚・強弱がコントロールされていたと思います。学指揮でこのくらいの演奏が出来るのであれば、外山先生に振ってもらったら、もっとすばらしいことになったかも。
とにかく、内容の充実と、なんといってもワグネル団員一人ひとりの誠実さがにじみ出る演奏会だったと思います。ありがとうございました。
bertさん=「目利き」ならぬ「耳利き」の出
現!ですね~。
「合唱」の好きな方っておられるモンですね
~。またいつでも気軽にお立ち寄りください。