「平成21(2009)年の9月に、土曜も入れると5連休になる時期がある」と気づいた
のは、昨年の手帳(平成20年版)を購入した、おととしの秋だった。その時は「え
っ、なんで5連休?」と思ったことだった。
その5連休の「初日」、9月19日(土)に錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日
フィルのソアレを聴いた。2009-2010年度の開幕である。C.アルミンクは音楽監督
7年目に入る。
珍しい曲ばかりだったせいか、1階は7割くらいであろうか、聴衆は少なかったが、
3階はよく入っているようだった。
<プログラム>
1.メンデルスゾーン 序曲「海の静けさと幸ある航海」
2.R.シュトラウス メタモルフォーゼン
3.ベートーヴェン 付随音楽『エグモント』(全曲)*
指揮;C.アルミンク
Sop.;S.トラットニック*
語り;広瀬彰勇
開演30分前の18:00きっかり、アルミンクのプレ・トーク(独語、通訳付き)が始
まった。いつも思うことだが、これがプログラム解説以上になかなか勉強になる。
○プログラムはすべてゲーテがらみ。
1.まずメンデルスゾーン これには3つの解釈がある。
①海を「死」の象徴とするもの
②芸術家の「創造プロセス」
③官能-エロスの比喩
2.R.シュトラウスのレクイエム
--破壊されたミュンヘンとドイツ
3.英雄エグモント伯爵の物語
18:15 プレ・トーク終了--「ドウモ有難ウゴザイマシタ」。
1.
18:33オケが入り、コンマスの崔さんが拍手に迎えられて入場。
18:35アルミンクとともに1人の男性(語り)が入場し、下手のいすに座り、テーブ
ルに向かった。--「ここにある歴史の数々・・・・・・」から始まり、「もう陸地が見
えている」で語りは退場。
メンデルスゾーンは初めて聴く曲だった。Adagio et legatoで始まる。アルミンク
に合っている。じわじわと盛り上がる。同じ「海」でも印象派ともいわれるドビュ
ッシーとは違った、ドイツ流の「海」だった。
2.
「メタモルフォーゼン」は「変容」と訳したりもするが、どういう意味なのか?独
語辞書を調べて分かった。--「変化、変身、変貌」の複数形である。弦楽5部で
あるが、23の弦楽器がそれぞれのパートを演奏する。(スコアは23段に分かれてい
るそうだ。)
「現実の死・一つの国家の死を描いた悲痛きわまりない死の音楽」ということだ
が、私の耳には意外や明るく聴こえた。--「戦争は終わった」と。崔さんが前後
に揺れ、時にはそっくり返るようにして弾いていたのが印象的だった。(静かに終
わってから拍手まで、10秒の間があった。)
3.
「エグモントはもうここにはいない。あるのはその魂だけ・・・・・・」という語りから
始まった。有名な「序曲」はヘ短調~ヘ長調、ベートーヴェンらしい「勝利のシン
フォニー」に繋がる。アルミンクは音を濁らせない。バランスを崩さないし、ガー
ッと異常に盛り上がることもない。
第1曲(エグモントの恋人)クレールヒェンの歌でS.トラットニックが登場。--
「もしも男に生れていたなら」。チューリヒ歌劇場で活躍している人でキャリアか
らいって30歳前後のようだ。好みからいえばもう少し子音を立ててほしかったが、
声は立派だった。
全曲を通じて古部さんのオーボエ(第5曲 間奏曲第3番など)の活躍が目立った。
今回は日本語による特別台本・語りだったが、台本は誰が作ったのか?プログラム
を見ても分からなかった。指揮者と語りのコンビネーションが驚くほどよかった。
最後に「気づかないのだな・・・・・・既に死んでいることに」と言い終え、語りが立ち
去るとすぐに終曲「勝利のシンフォニー」へ。いかにもベートーヴェン!万歳を叫
びたくなった。
語りの広瀬氏は劇団四季で活躍した人だそうだが、いい声で、さすがに上手かっ
た。
『エグモント』全曲を生で聴くことはもう一生ないかもしれない。
のは、昨年の手帳(平成20年版)を購入した、おととしの秋だった。その時は「え
っ、なんで5連休?」と思ったことだった。
その5連休の「初日」、9月19日(土)に錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日
フィルのソアレを聴いた。2009-2010年度の開幕である。C.アルミンクは音楽監督
7年目に入る。
珍しい曲ばかりだったせいか、1階は7割くらいであろうか、聴衆は少なかったが、
3階はよく入っているようだった。
<プログラム>
1.メンデルスゾーン 序曲「海の静けさと幸ある航海」
2.R.シュトラウス メタモルフォーゼン
3.ベートーヴェン 付随音楽『エグモント』(全曲)*
指揮;C.アルミンク
Sop.;S.トラットニック*
語り;広瀬彰勇
開演30分前の18:00きっかり、アルミンクのプレ・トーク(独語、通訳付き)が始
まった。いつも思うことだが、これがプログラム解説以上になかなか勉強になる。
○プログラムはすべてゲーテがらみ。
1.まずメンデルスゾーン これには3つの解釈がある。
①海を「死」の象徴とするもの
②芸術家の「創造プロセス」
③官能-エロスの比喩
2.R.シュトラウスのレクイエム
--破壊されたミュンヘンとドイツ
3.英雄エグモント伯爵の物語
18:15 プレ・トーク終了--「ドウモ有難ウゴザイマシタ」。
1.
18:33オケが入り、コンマスの崔さんが拍手に迎えられて入場。
18:35アルミンクとともに1人の男性(語り)が入場し、下手のいすに座り、テーブ
ルに向かった。--「ここにある歴史の数々・・・・・・」から始まり、「もう陸地が見
えている」で語りは退場。
メンデルスゾーンは初めて聴く曲だった。Adagio et legatoで始まる。アルミンク
に合っている。じわじわと盛り上がる。同じ「海」でも印象派ともいわれるドビュ
ッシーとは違った、ドイツ流の「海」だった。
2.
「メタモルフォーゼン」は「変容」と訳したりもするが、どういう意味なのか?独
語辞書を調べて分かった。--「変化、変身、変貌」の複数形である。弦楽5部で
あるが、23の弦楽器がそれぞれのパートを演奏する。(スコアは23段に分かれてい
るそうだ。)
「現実の死・一つの国家の死を描いた悲痛きわまりない死の音楽」ということだ
が、私の耳には意外や明るく聴こえた。--「戦争は終わった」と。崔さんが前後
に揺れ、時にはそっくり返るようにして弾いていたのが印象的だった。(静かに終
わってから拍手まで、10秒の間があった。)
3.
「エグモントはもうここにはいない。あるのはその魂だけ・・・・・・」という語りから
始まった。有名な「序曲」はヘ短調~ヘ長調、ベートーヴェンらしい「勝利のシン
フォニー」に繋がる。アルミンクは音を濁らせない。バランスを崩さないし、ガー
ッと異常に盛り上がることもない。
第1曲(エグモントの恋人)クレールヒェンの歌でS.トラットニックが登場。--
「もしも男に生れていたなら」。チューリヒ歌劇場で活躍している人でキャリアか
らいって30歳前後のようだ。好みからいえばもう少し子音を立ててほしかったが、
声は立派だった。
全曲を通じて古部さんのオーボエ(第5曲 間奏曲第3番など)の活躍が目立った。
今回は日本語による特別台本・語りだったが、台本は誰が作ったのか?プログラム
を見ても分からなかった。指揮者と語りのコンビネーションが驚くほどよかった。
最後に「気づかないのだな・・・・・・既に死んでいることに」と言い終え、語りが立ち
去るとすぐに終曲「勝利のシンフォニー」へ。いかにもベートーヴェン!万歳を叫
びたくなった。
語りの広瀬氏は劇団四季で活躍した人だそうだが、いい声で、さすがに上手かっ
た。
『エグモント』全曲を生で聴くことはもう一生ないかもしれない。
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