ベートーヴェンのピアノ・ソナタは第1番から第32番まで全32曲である、と覚えて
おけばいいが、実際にはもう少し作曲したらしい。作曲家ベートーヴェンの初期
(28歳)の傑作ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」を、今年2月に購入した、我が家のス
テレオでしばらくぶりに聴いた。(--今度のステレオは、以前2月21日にも書い
たが、ピアノと人の声[合唱など]の音がいい。)
日本語辞書における「悲愴」の意味は「悲しく痛ましいこと」だが、原語のフランス
語パテティクでは(--ベートーヴェンがこのハ短調ソナタの表紙に「グランド・ソ
ナタ・パテティク」とフランス語で書いた。)「感動的な、心を揺さぶる」という意味も
交じっている。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」も同様である。
アシュケナージ盤(録音1980年)
アシュケナージを聴くとベートーヴェンが簡単に聴こえる。
バックハウス盤(録音1958年)
枯れた演奏がベートーヴェンに合っている、といえるだろうか。
宮沢明子盤ベートーヴェン・アルバム(録音1974年)
宮沢さんが30代前半にチャレンジした、貴重なもの。ほかのベートーヴェンもい
い。
宮沢明子『ピアニストの休日』(大和書房、昭和55(1980)年10月刊)
いかにも、感受性豊かで頑張り屋さんの宮沢明子さんらしいエッセイである。
宮沢は音楽が「好き」「大好き」という心で「ここ迄生きてきた」という。「のだめカン
タービレ」ののだめみたいな人だ。
現在では絶版かもしれないが、図書館かamazonなどで手に取ることができる
のではないかしらん。
宮沢明子『ピアニストの休日』(大和書房)★★★★
マーラー交響曲第5番
この一か月、通勤時にウォークマンで毎日2回は聴いている曲--マーラーの5
番だ。マーラーは(--昔はベートーヴェンに比べるとなにか不健康のようで苦手
だった。それも「偏見」に過ぎないのだが。)毎日聴いているとおもしろくなってくる。
演奏はバーンスタインとウィーン・フィル。バーンスタインはマーラーの伝道師だっ
た。
バーンスタイン盤
五味康祐『いい音 いい音楽』(中公文庫、平成22(2010)年12月刊)
久しぶりに五味康祐の『いい音 いい音楽』を読んだ。
本書の最後には、「本文中には、現在の人権意識に照らして不適切な用語・表現
があります。しかしながら、作品が書かれた当時の社会・文化的背景、および著
者が他界していることなどを考慮し、原文のままとしました。(編集部)」とある。
当時でも五味さんは辛口だっただけに、こんな書き振りでいいのか、読んでいて
多少ハラハラする部分はあるが、音響に対するいい耳と作家の文章力で、'70年
代後期のオーディオ世界を振り返ることができる。「合唱曲の聴きくらべで製品を
判断」(本書p77)などはなるほどな~と勉強になる。
五味康祐『いい音 いい音楽』(中公文庫)★★★★
* * * *
9月4日(日) 神奈川県合唱コンクール(一般の部、神奈川県立音楽堂)
シード団体を聴く。(15:50~17:00)
15:50 休憩終了後、きれいなチャイムとどらが鳴った。ややあって5人の審査
員が登場。当日の審査員は、金川昭裕、岸信介、清水雅彦、長谷川冴子、堀俊
輔の各氏。
13.小田原少年少女合唱隊(桑原妙子)33人
課題曲は抜けるような、ノンビブラートの高声部が効いていた。自由曲①はより
強い声。おもしろい曲。芸術は「遊び」であるという言葉を思い出した。②は一転し
たAndanteに心が一つになる。会場は静まり返る。この曲を②に持ってきた意味
があるのではないかしらん。終曲は七色の声。隣の顔を見合わせるジェスチャー
に会場がどよめいた。外国の曲すべてを原語でうたった。これらの曲では今年何
回目のステージかな。「普段(練習)を本番と思えば、本番は普段(練習)のごとし」
かしらん。
14.湘南はまゆう(松村努)女声37人
課題曲は立原道造の歌詩を上品に、言葉を大切に歌い上げた。自由曲は北原
白秋の「おかる寛平」で一転外へ放射する音楽。長い、難しい曲で、中盤がやや
一本調子だったかしらん。歌詩を見ながら聴くとまた違った印象かもしれない。
15.富士通川崎合唱団(加藤雅子)混声27人
ア・カペラを2曲。暗譜であり、さすがシード団体だったが、男女とも発声的に e
(エ) が気になった。
16.マルベリー・クワイア(桑原妙子)女声17人
課題曲はビブラートを抑えた、大人の声。自由曲①フィンガースナップも出てくる、
ヴォーカリーズの曲。 dim.& pp の部分にひきつけられた。pp が客席後方まで
飛んできた。それにしても音色はどうやって作るのだろう?楽譜に書かれている
のだろうか?デモ・テープなどないだろうに。自由②はいっそうおもしろい曲。発声
に裏付けられたデュナーミクを大きくとった音楽だった。
17.マルベリー・チェンバークワイア(桑原妙子)混声28人
課題曲から発声がよく、パートの音色が実にそろっており、絶妙の「間」があった。
全然よかった。自由曲(いい曲!)も男声がお互い聴き合ってピッチをそろえて支
える中、女声がすごい声量で曲想を作っていた。ここでも終盤近い ppp に背中
が離れ、夫婦で精一杯の拍手をおくった。(客席25列-26にて。)
会場の神奈川県立音楽堂
会場ロビーの風景 出演を待つ各団体
県立音楽堂 響きがいい
横浜能楽堂
能楽堂内部を見学することができた
掃部(かもん)山公園 井伊直弼像
井伊直弼は太平洋に向かって ヘイ、カモン(掃部)!
お隣ではロボコンをやっていた
紅葉坂はマンションラッシュにビックリ!
みなとみらい 大観覧車の時計は(午後)6:00ジャスト
* * * *
半藤一利『歴史探偵 昭和史をゆく』(PHP文庫)
単行本の初版は平成4(1992)年5月。これはおもしろい!年表の行間を探る力
作である。7月25日に紹介した『日本人の誇り』(文春新書)において藤原正彦さ
んは、過去の歴史にも触れ、日本人は自信と誇りを持とうという趣旨のことをいっ
ておられ、それはそれとしてうなずける部分がある。
しかし、本書『歴史探偵~』を読むとマルクス主義の歴史家ならずとも戦前の昭
和時代は、いろいろな問題があったことが分かる。(--私は、それらが「資本家
と労働者の階級対立」によるものとは思わないが。)司馬遼太郎が日露戦争以
降ノモンハン事件等をテーマにしなかった理由も分かるような気がする。近現代
史への興味は尽きない。
具体的な「いろいろな問題」については、本書をお読みいただきたい。--参考
までに目次を下記しよう。
なお、本書の参考文献は200冊以上にのぼる。昭和史をテーマにした「卒論」の
ようだ。
半藤一利『歴史探偵 昭和史をゆく』(PHP文庫)★★★★★
まえがき--歴史探偵参上
第一話 心変わりした理由--張作霖爆殺事件
第二話 鉛筆を使わない国--満洲事変
第三話 つくられた栄光--国際連盟脱退
第四話 完璧なる人--天皇機関説事件
第五話 銃声の消えたあと--二・二六事件以後
第六話 「点と線」の悲劇--日中戦争
第七話 握手の向う側--日独伊三国同盟
第八話 転がる石--昭和十六年
第九話 大いなる欠落--十二月八日の開戦
第十話 溺れるものの手--戦勢非にして
第十一話 二つの日記--永井荷風と伊藤整
第十二話 気骨ある人びと--戦争をめぐる五つの生き方
第十三話 放送が終わったあと--戦争終結
第十四話 九段坂の上の雲--二百六十万の死者
第十五話 英雄総退場--主役たちの死にざま
第十六話 皇居前の行列--天皇の御発病
第十七話なごりの雪--昭和の終焉
あとがき
* * * *
8月28日(日) このところ世界陸上をよく観る。時差がないのがうれしい。男子
100m決勝でボルトがフライング一発で失格。小泉元総理ではないが、人生には
「まさか」がある。
9月1日(木) 世界陸上女子200mで福島が23位で予選を突破した。見事に日
本女子で初めての準決勝進出、快挙となった。準決勝では1組8位だったが、全
体の20位、大健闘だった。(新聞の「福島、準決勝進出ならず!」報道に疑問を
持つ。)
9月2日(金) 女子やり投げ決勝は抜きつ抜かれつ、見どころのある大接戦!だ
った。第4投を終わって、ロシアのアバクモワ、チェコのスボタコバの順。5投目で
スポタコバが71.58mを投げ逆転で大歓声。これに対して、アバクボワが71.99
mを投げ、再逆転でトップに立った。すごい。結局6投目でスポタコバは66.80m
に終わり、アバクモワの金メダルが決定した。71.99mは大会新記録となった。
手に汗を握る戦いとはこのことだった。
サッカー(男子)のワールドカップ予選がスタート。日本は、初戦北朝鮮相手にロス
タイムで1対0で勝つ。ヒヤヒヤさせられた。ザッケローニ監督の「まったく想定内」
のコメントは痛快なり。
9月3日(土) たまプラへウォーキングする途中、早渕川でこんなもの(写真)を見
つけた。台風到来、防災科学技術研究所が水位を計測しているところだった。
東急田園都市線たまプラーザ駅
夜、男子200m決勝を観る。中継はTBSだが、視聴者の立場に立って、決勝時
間をあらかじめ教えてくれるといいのだが・・・・・・。(スタート時間は大会前から決
まっている。)さてボルトは、はたして強かった。優勝タイム19.40秒は今季世界
最高だった。
女子サッカーなでしこジャパンは2対1で韓国に勝つ。後半の0対0は精神的にき
つかった。これで勝ち点6となった。
9月4日(日) 民主党藤井さんVS自民党石破さん。「前提を共有すれば選択肢は
少ない」という石破氏の論に興味を持つ。
男子マラソン。父がそうであったように、大きな独り言をいいながらTV観戦。
ケニア勢が5km14分台で揺さぶる、まことに強い。堀端(24歳)がどこまで食い
下がれるかというところ。12位から8位へ。
5kmごとに日本選手の順位をつけながら観戦。堀端は6位まであがったが、結局
7位に。一方、中本は16位あたりから徐々に順位を上げ、10位でフィニッシュ。川
内も30km28位から最終的には18位まで順位を上げ、団体で準優勝と大健闘
だった!
それにしてもキルイ(ケニア)は強かった。
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今は現代のベートーヴェン佐村河内守の交響曲第一番《HIROSHIMA》に夢中です。
現代音楽界に反旗を翻した天才作曲家。
ホント奇跡のシンフォニーですハイ
生きててよかった(涙)
佐村河内守ははじめて知りました。生で聴いてみたいですね~。