3月12日(日)、「コバケンが振る稲門グリークラブ演奏会 vol.2
~早稲田大学グリークラブOB会 創立70周年記念」という長い
名前の演奏会を聴いた(於サントリーホール)。
昨令和4(2022)年、早稲田大学グリークラブOB会は創立70周年
を迎えた。10年ぶりに当演奏会の開催を迎え、まことにご同慶の
至りだ。
開演前に、Y村さん、T橋さんとバッタリ、談笑する。
「創立70周年」ということもあり、聴衆の多くは早稲田関係者だ
が、中にはワグネルOBも散見された。会場にも自然に高揚感が
あふれている。
プログラムp12~13には「コバケンとワセグリ」の歴史が綴られ
ていた。
p19のオンステメンバーはのべ136人。ざっと見たところ、平均
卒年は昭和56~57年くらいかしらん(最高齢は昭和27年卒)。
客席は、2階のP席には入れず、LA、LB席もわずかの使用。それ
以外はほぼ満席だ。家族連れも目立つ。
ちなみに今回のステージ入場は、整列入場ではなく、やや三々五
々の左右から「所定の位置」へ(退場もその逆)。
<プログラム>
1.「月光とピエロ」(作詩:堀口大學、作曲:清水脩)
2.「さすらう若人の歌」(作詩、作曲:G.マーラー、編曲:福
永陽一郎)
--休憩--
3.「水のいのち」(作詩:高野喜久雄、作曲:髙田三郎)
指揮:小林研一郎
ピアノ:大室晃子
いずれも有名曲で、かつ個人的には、3曲とも現役時代に徹底的
に練習し、歌ったことがあり、卒業後もまた演奏会で歌ったこ
とがある。今でもまずまず暗譜で歌えるだろう。
それだけに、そういう曲を聴くときは感想が辛くなりがちで注意しなければい
けない(笑)。
もっとも合唱が好きな人は、自分のステージの「率直な」意見を聴くのが好き
な場合もあるのだが。
合唱演奏会に対する「コメント」は、発声、アンサンブル、音楽
性(指揮者のテンポ感や解釈、語感、音色など)という観点が中
心になるのかしらん。
それぞれのステージに一人ずつ練習指揮者(演奏後、先生より紹
介あり。)がいたが、演奏は練習指揮者とコバケン先生との「合
作」だ(むろん最終仕上げは先生だが)。
いずれにしても、現役時代と違い、OBとして二つや三つ、暗譜
でオンステするのもさることながら(立っているだけでも大変な
もの。よく覚えられる。)、お一人で合唱を3ステージ振られる
コバケン先生もすごい。
というわけで、以下まことにつたないコメントにご容赦のほど。
1.「月光とピエロ」(作詩:堀口大學、作曲:清水脩)
ステージ上はざっと23~25人×4列+P席Bass3人。全員が暗譜(各
ステージとも)。
コバケン先生は小走りに登場(若々しい!)。マスク姿で登場し
た団員は、先生の指示で一斉にマスクをはずす。先生は指揮棒な
しの指揮ぶり(全ステージとも)。
音採りは、下手側に置かれたピアノで、大きめに最初の和音を弾
く。
総じて、まことにロマン的な演奏だった。
(1)月夜
テンポが速い(清水脩盤のTimingを「参考までに」記す)。「声」
は十分でまとまっており、すべて力で押すところもない。
ただ、サントリーホールの合唱は、どのステージとも、どちらか
というとややボワーっと聴こえる。合唱はもう少し「分離」する
響き方がいいが、これはサントリーホールの特性だ(オンステし
ている人にとって、歌いやすさ、歌いにくさはどうなのかしらん)。
(概算演奏時間:2′50″[3′21″])
(2)秋のピエロ
「間」のある演奏というか、休符が長い。Topの最高音のfがま
ことにすばらしい。
(同:2′50″[3′05″])
(3)ピエロ
ここでもまことに快足な熱い演奏だ。途中、ザッツがわずかに乱
れた(LIVEに小さなミスは付き物だが)。
(同:2′10″[2′41″])
(4)ピエロの嘆き
ゆっくりした三拍子。前半で曲に「酔い」過ぎたか?音を伸ばし
た後に何人もが一拍早く入り(振り間違い?)、ウッとなったが、
すぐに元へ戻った(ぐちゃぐちゃになるかと心配したが)。
(同:3′00″[3′15″])
(5)月光とピエロとピエレットの唐草模様
コバケン先生らしく、大きなテンポ変化がある演奏で、大変おも
しろかった。
ここでもTopの最高音はフォームよろしく、声のまとまりも申し分
なかった。
(同:1′55″[1′58″])
[ ]内は清水脩/東混・二期会(男声)盤
2.「さすらう若人の歌」(作詩、作曲:G.マーラー、編曲:福
永陽一郎)
人数規模は前ステージ同様。演奏前に、10分ほどコバケン先生よ
り曲の解説というか、プレトークがあった。--曲の「出だし」
など少しく演奏しながら。
ちなみにピアノ伴奏大室さんのご主人はオンステしているOBだ
とか。
福永陽一郎編曲をやや改編した演奏。
ドイツ語はほとんどよかったが、ややカタカナ的で、細部(「o」
の長母音、「au」の発音など)は「いま一歩」だったかしらん
(気づきベースで例を挙げれば、以下の箇所になる)。
(1)彼女の婚礼の日には
短い前奏のテンポが速い(解釈、趣味の世界だが)。「traurigen
Tag!」(悲しい日)の「traurigen」をfとするところはいかにも
!(個人的にはむしろそこを抑えた演奏が「好み」なのだが)。
Topは発声もまとまり、五線から上もすばらしい。
ごくごく細部をあえて言えば(以下同様)、
出だし「Wenn mein Schatz Hochzeit macht」の「w」はすばらし
いが、「sch」の発音が「いま一つ」で、「Hochzeit」の「o」が
短すぎる。(1)では、その他、語尾の子音が不揃いの箇所がある。
音楽の「造型」にはさほど影響ないが。
(概算演奏時間:3′52″[4′16″])
(2)朝の野原を歩けば
総じてテンポの速い演奏(参考までにフルトヴェングラー盤の
Timingを記す)。
「Nein! Nein!」に大きな「思い入れ」がこもる。すべて外声がす
ばらしい。
(同:3′43″[4′49″])
(3)燃えるような短剣を持って
Topの五線の上を筆頭にf(ff)がすばらしい(ffの全奏で
はピアノが負けているほど)。
「Nicht bei Tag, nicht bei Nacht, wenn ich schlief」は、早口言葉
が聴こえにくい(どの団体が歌ってもその傾きはあるのだが。
そもそも一人ひとりが喋れているかという問題はある?)。
(同:3′05″[3′30″])
(4)彼女の青い眼が
legato唱法が人数に支えられ、音楽的だ。最後のフェルマータは
大変長かった。
歌詩の2行目、「die haben mich in die ・・・」の「mich」の母音が
(明らかに)短すぎる。ここでも語尾の「s」がやや不揃いだった。
(同:5′15″[5′44″])
[ ]内はフルトヴェングラー/F=ディースカウ盤
3.「水のいのち」(作詩:高野喜久雄、作曲:髙田三郎)
この曲は合唱をする人であれば、一度は歌ったことがあるほど、
全国的に流行(今もしている?)。ドヴォルザークの「新世界」
のように聴きなれたもので、それだけに演奏は難しい?
人数は23~25人×4列+P席8人。
(1)雨
前奏から速いテンポにビックリ!--「前奏曲」としての位置づ
けが高まる(前軽後重型?)。デュナーミクは大きく、遅いとこ
ろはより遅い。
(概算演奏時間:2′30″[3′08″])
(2)水たまり
ここでもコバケン先生流の大きなデュナーミクとアゴーギク。
「間」のある演奏だ。
(同:3′50″[3′27″])
(3)川
「なぜっ」は大いに強調。クレッシェンドから長く伸ばす箇所で
は、コバケン先生が左手を上げ、ほとんど客席を向く。
(同:3′45″[3′37″])
(4)海
ここでも「たけりくるうことも」(ff)はまことに遅めで、激
しい表現。
(同:3′35″[3′12″])
(5)海よ
はたしてゆっくりとしたスケールの大きな演奏。「空の高みへの
始まりなのだ」の後の休符が長い。coda最後の「おお~」は
Topが満を持して、立派な声を長めに出した。
歌舞伎のように、大きな「見得」のある演奏だった。
(同:7分02″[6′14″])
[ ]内は髙田三郎/神戸中央盤
演奏後、コバケン先生が挨拶。
「大きな大きなお力をいただきまして有難うございます。練習に
もひたむきな姿勢に感動でした。・・・・・・」
その後、OB会長柿沼さんのトーク&挨拶。P席も活用し、25人
ほどオンステが増える。
「校歌」
1、2番斉唱(2番は初めて聴いた)。3番合唱。すばらしい!
「遥かな友に」
Topソロは若々しい、やや明るめの声。(ちょっと歌いグセがあ
ったかな[笑])。
最後は徐々に暗転していった。
お開き後は、「よかったわね~」と、退場するOBにいつまでも
温かい拍手が続いていた。
プログラム(表紙)
12:48
12:58 一服
13:23 お客様が続々と
13:24
13:29
13:32
13:35
13:40
14:56
14:58 休憩時間、Y住さんと談笑す。S口夫人にご挨拶。
15:55 お開き
15:56
15:59 出待ちの人々?
溜池山王の手前で、聴きに来ておられたN添さんとバッタリ。同
じ電車で帰る。
16:10
17:07 あざみ野に戻る。
17:09
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17:25
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六連や四連の合同演奏を振っていただいたことも懐かしいですね~。コバケン先生の本は2冊とも持っています(自慢することでもないけど)。