かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

雨の山小屋で聴いたみゆきさんの「ひまわり❝SUNWARD❞」

2022-03-26 13:02:36 | 日記

熊野古道小辺路(こへち)を歩いた二日目、前線の通過による大雨のため、古道の途中にあった個人所有だという避難小屋に停滞させていただくことにし、雨音の絶えない小屋の中で、お茶を沸かしたり、持ってきたポケットラジオの雑音交じりのNHKR1放送を聴きながら過ごした。

最近は、ラジオと言ってもネットでとらえた雑音のない放送ばかり聴いているので、はじめラジオの雑音がひどく煩わしく感じていたが、ネットの入りにくいその山小屋で、時々ラジオの角度を変えながら聴きやすい音を探しているうちに、ラジオの電波というものが貴重な資源、例えば、わずかに滴り落ちる飲料の水滴のような大事なものに思えて、しばし、ありがたく、そして言いようもないほどなつかしく、微かに届く音源に聞き耳を立てていた。

甲子園のセンバツ高校野球も中止になったみたいで、NHKRIは、ウクライナやコロナ禍でしおれ気味な視聴者を元気づけたいと思う気持ちからなのか、「元気になる歌・勇気をもらえる歌」の特集をしていた。

ZARD「負けないで」、Re;Japan「明日があるさ」など・・湿った暗い小屋の雰囲気がたしかに明るさを増していった。

そんなとき、まったく別次元の放送かと思うほど突然みゆきさんの声、異国の巫女が祝詞を奏でるような節回しで「ひまわり❝SUNWARD❞」が雑音とともに聴こえてきた。歌詞が聞きとりにくかったが、たしかにみゆきさんのシャウト音で「たとえどんな名前で呼ばれるときも 花は香り続けるだろう たとえどんな名前の人の庭でも 花は香り続けるだろう~♬」という歌詞を耳に留めた。

歌を聴きながら、まるで、ウクライナの廃墟のような焼け跡にみゆきさんが一人立ち尽くしてウクライナの国旗をはためかせながら歌っているのではないかと思った。ぜひ、恐怖に逃げまどい疲れ果てたウクライナ国民や命を賭して暴力に立ち向かっているウクライナ戦士たちに聞かせたい音楽であると思った。

みゆきさんのひまわりは、「SUNFLOWER」ではなく[SUNWARD」。ひまわりの漢字「向日葵」の「向日」の意、つまり「太陽に向かって」咲く花ということだ。

ウクライナの国旗、下半分は豊かな穀倉地=ひまわり畑、上半分は青空。

ロシア兵によって汚された穀倉地が、ほどなく地平線まで❝SUNWARD❞に埋め尽くされた大地となってよみがえることを祈ろう。

 

 

中島みゆき ひまわり❝SUNWARD❞カラオケ

 

 

「ひまわり」といえば、オイラのようなアラカン世代は、ヴィットリオ・デ・シーカ監督のイタリア映画のほうを思い出すだろう。第二次大戦により引き裂かれたソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの演じた哀しい恋の物語。

冒頭から、あの地平線まで広がり風にゆれるひまわり畑がヘンリー・マンシーニの切ない音楽とともに描き出されるのだが、あの沃野は、現在戦火にあるウクライナのヘルソン付近で撮影されたものらしい。太陽に輝くひまわり畑の地中には、第二次大戦下で命を落としたイタリア兵やソ連兵の多くが眠っているのだという。

ウクライナへのロシア侵攻まもないころ報じられた映像に、占領した地に立ち尽くす若いロシア兵に一人の老婆が近づき、こんな言葉を言い放ったというシーンがあった。「あなたが命を落とした時、その場所から花が咲いてほしい。だから、ヒマワリの種をポケットに入れなさい」と。

ウクライナの沃野にほどなく咲き誇るひまわりは、2022年に土に還ったこんな若者たちのポケットから育ったものなのかもしれない。

哀しい物語が続いているが、花は香り続けるのだろう。

 

映画❝SUNFLOWER❞テーマ曲

 


 

熊野古道「祈りの道」

石の道(果無集落への道)

 

 

花の道(果無集落)

 

 

河の道(十津川)

 

花の道(バイカオウレン)

 

 

星の道(オリオン)

 

巨木の道(三浦峠への道)

 

仏の道(十一面観音さま)

 

 

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