大人の休日4日目は、中休み?のつもりで、今年になって覚えた「チタケ汁」の味を求め宇都宮にゆく。
栃木県民が「チタケ」と呼んでいるベニタケ科の「チチタケ」は、何も栃木県にだけ生えているわけではなく、わが県の近隣の山にも9月頃に地面から茶色の饅頭型のカサをのぞかせており、二本指で柄を地面からゆっくり抜くとカサの表面やヒダに細かな白い乳を吹き出してくるので、すぐにこのキノコと判別できる。
この「チチタケ」が、栃木県民だけが郷土料理としてこよなく愛するという話は、昨年あたりからキノコに興味をもってから知ったのであり、悲しいかなわが郷土はこのキノコを好んで採取し料理にする伝統がなかった。
そんなこの年になるまでなじみのないキノコだったが、この秋、二度ほど採取した「チチタケ」をネットなどの情報をもとに自己流に汁にして食べてみてその出汁の風味を覚え、10月になってから本場の宇都宮に行き、専門店の「チタケ蕎麦・うどん」をいただいて、その味の良さを堪能したわけである。
栃木では、そばやうどんをつけ麺のように熱い汁につけて食べるのが流儀のようで、食感がいまいちのチチタケの本体をナスと炒めた濃い目の甘辛い醬油味のチタケ汁は、つるっとしたナスの食感と濃い目の汁につけた麺、とくにやや太い讃岐風のうどんによく絡んで格別の味だった。
そしてこの度、宇都宮市内のとある蕎麦屋風居酒屋に「チタケ汁」という紅いのぼりがはためいていたので、つけ麺風のそばやうどんではなくのぼりに従って「チタケ汁」だけ単品で注文した。(他に生ビールと餃子を注文しているが)
が、このオーダーは失敗だった。あまりに濃くてつけ麺のつけ汁そのものだった。メニューにあるそばも注文すればよかったが、800円と高価だったため塩分過剰摂取を覚悟して全部飲み干した。なお、この店の汁はチタケの出汁は出ていたが、ナスが前回の店と比較し細切りだったため食べごたえがなく、それもつまらなかった。前回の店はナスを三分の一程度に厚く切ったものがしっかり油とチタケの味が染みていたのでナスのうまみを十分堪能できた。やはり、チタケ汁はナスが準主役でなければならないと思った。
宇都宮の、このチタケ汁のほか、前日までの二日間で、オイラは、燕温泉の食堂で「キノコ汁」をいただき、越後湯沢駅構内と新幹線長野駅のプラットフォームで、立ち食いの「山菜そば」をいただいた。
「キノコ汁」は、ナラタケ・ナメコ・クリタケ・ヒラタケ・ムキタケなどが沢山入った豚汁であったが、味が濃くご飯が(あるいは日本酒)欲しいと思った。(湯に入る前だったため遠慮)
新潟も長野も比較的に立ちそばの蕎麦は上等で、とくに越後湯沢駅の「山菜そば」は、これまでいただいた中で格別にうまいなと思った。
旅の日は、「山菜そば」に「きのこ汁」、そしてときどき「カレー南蛮そば」。これがただ今のオイラの志向であるが、チチタケをはじめとするキノコ汁の味は自分でも再現できると、ひそかに思っている。
「チチタケ」は冷凍保存をすれば、1年は楽しめるという。冷凍庫は狭いが、来年以降チチタケだけは、自分で採取し、冷凍保存し、自分で栃木の味を再現してみよう。やればできそうだ。ナスさえあれば。
越後湯沢駅構内の「山菜そば」に生卵トッピング。麺の感触はピカ一だった。
長野駅新幹線ホームの山菜そば、面が太くうまかったが待ち時間が短く早食いになった。