極めてごく普通にめちゃくちゃカッコいい。
一つの至高がここにある。
映画『居眠り磐音』から
千両箱というのは誰もが知っている
事だろう。
時代劇映画『居眠り磐音』では、両替
相場を利用して魚河岸の仕切り屋が
1万両を両替商に持ち込んで別貨幣に
変換して兌換利益を得ようとする。
田沼時代では1万両は約30億円ほどに
なる。最幕末相場では約3億円。
司馬遼太郎の小説『新選組血風録』の
中で、沖田総司に進呈したい菊一文字
則宗の金額を近藤勇から「隊で買い上げ
るゆえ値を申せ」と言われた京の刀屋
は、「されば一万両」と言って近藤と
土方を黙らせた。
しかし、実際の国宝級日本刀は現在
価格で3億円ほどはざらにするので、
司馬遼太郎の小説に出てくる金額は
荒唐無稽ではないし、本阿弥あたり
が付けた折り紙などではそれに近い
額が江戸期には出回っていたりする。
日本刀は現代価格では1口約30万円
程から5億円ほどの金額の幅がある。
1口だいたい百万円とみておけば、
そこそこに武人の差料として要件を
満たす刀は手に入る。
この映画『居眠り磐音』では、その
両替申し入れのシーンで魚河岸の顔役
が持ってきた千両箱が出てくる。
随分小さな千両箱よと思って観て
いると、仕切りが12仕切りで区切られ
た千両箱に帯付き小判が重ねられて
いる。
はて。
1000両で12枠。
1枠83.33両となり割り切れない。
しかし小判にはすべて帯が付いて
いる。10両ごとかどうかは不明。
区切りのよい額面で帯巻きにする
のは現代にも通じる常識だ。現代
では一万円札が100枚で帯封をする。
これは極めて厳密に巻かれており、
札束から1枚一万円札を抜いても
帯が用を成さなくなる仕組みになっ
ている。
さて、この時代劇映画のこの謎の
千両箱の真相やいかに。
答えは、刀の斬り傷が左右で逆に
なっていたり、刀の下げ緒を出鱈目
な取り回し方で撮影しているように、
極めて杜撰でテキトンな映像表現と
いうことだろう。
監督ねぇ・・・。釣りバカ浜ちゃん
や高速参勤交代は面白かったのだ
けどね。
ああいう、どたばたギャグ作品と
このようなシリアスな作品を一緒くた
にして考えてもらっては困るんだよ
なあ。
ビシッとした文芸作品のシャシンを
撮るつもりでやってもらわないと。
不真面目さというのは映像に如実に
出る。
先にも書いたが、この作品、俳優が
かなり良い演技をしている時代劇映画
だけに、実に惜しい。
監督と演出担当が、この作品を超駄作
に陥れてしまっている。
いや、駄作ではないんだけどね。
泣いちゃうんだけど(笑)。
悲恋というところで。
そんなぁ・・・、と。
ヒロイン奈緒の手紙を読む声が
「仁-JIN-」での橘咲さんの時の
綾瀬はるかさんと同じ声。
そして、あの運命。
そら、泣くわ。
この映画は、俳優たちが魅せる。
これが瀬戸内海独特の光る海だ。
備後三原城。
本丸天守跡。天守は築かれなかったが、
門を入った正面にうちの屋敷があった。
三原城と城下は大別して三区画に分けられ
斬鉄剣。
こうしたことは実際に起こり得るで
あろうから、映像表現としてもアリだ。
例えば現代刀と呼ばれる「刀のような物」
できちんとした本物日本刀の斬撃を受け
たら、例え二刀で受けようともこうなる
可能性は高い。
それが斬鉄剣と呼ばれる靭性と強度の
高い刀であったならば、こうなるは
まず必定。
では、ガラスのように脆い現代刀では
なく、刃が付いたれっきとした本物の
時代日本刀同士で斬撃をするとどうなる
のか。
それは互いの刃が相互に噛みあうように
十文字に深く切り込む。
これは私とかつての私が通った道場の
師範代が道場にて実験済みだ。
また、刃の付いた日本刀同士での剣戟
をするとどうなるか。これも実験した。
安全のため、バイクのフルフェイス
ヘルメットを被り、防具を装着して
試した。
結果は、刀を斬撃で合わせると、無数の
細かい刃こぼれの刃が、まるでグライン
ダーで鉄を削った時の削りカスが飛ぶ
ように飛んでヘルメットのシールドに
突き刺さった。
これが素顔であるならば、無数の金属片
が顔面に突き刺さることだろう。
もちろん目に入ったらひとたまりも
ない。
また、刃が飛ぶということは、そこから
組織脱落の欠損によって刀身折損の可
能性が発生するということになる。
討ち入り斬り合いの前、また合戦の前
には砂山等で刀の刃を潰して刃こぼれし
にくくしたというのは、実戦日本刀では
大いに適切な処置であったことが理解
できる。
日本刀実用時代の「いくさの心得」と
いうものだろう。
日本刀は多少曲がっても使用できる。
しかし、折れたらその場で自分の命は
折れた刀身と共に飛んでいく。
しようとするせこい了見の連中が
信じられないけどね。
お得感をくすぐってウィルス拡散
可能性を高める政策ってのは、さて
どうなのでしょうね。