イーストウッド/レオーネ三部
作で、2作目の『夕陽のガンマン』
ではリー・バン・クリーフはいい
もん(笑)。
妹の敵討ちの為にメキシコ国境
付近の町にやってくる。
有名なマカロニ三部作は、各作品
とも物語に繋がりはないとされる
が、主人公の名無しのブロンディ
(本名ジョー/マンコ。日本語字幕
ではモンコ)は同一人物である
かのように描かれており、なぜ
ポンチョを羽織るようになった
のかは第3作目の『続・夕陽
のガンマン』で描かれている。
そして、なぜ名無しのブロン
ディが細葉巻を咥えるように
なったかも。
トレードマークとなったポンチョ
には深い魂の意味があった。
歴史的な時代の流れの物語の配列
順は、
1.続・夕陽のガンマン
2.荒野の用心棒
3.夕陽のガンマン
となる。
リー・バン・クリーフは二度出る
が、これは明らかに別人の役
だ。南北戦争時代にブロンディ
に三すくみの決闘で撃ち殺され
るからだ。
その三すくみ状態は、あえて
『夕陽のガンマン』で再現した
構成になっているが、これは、
後作の『続・夕陽のガンマン』
で再現されており、時間軸を
逆行させるダブルオマージュと
して描かれている。
『夕陽のガンマン』では、名無し
の金髪野郎(イーストウッド)は自
分のピースメーカーをモーティ
マー(リー・バン・クリーフ)に
貸してやる。
このコルトSAAはクリント・イ
ーストウッドの私物であり、
撮影の為にリグと共にスペイン
まで持ち込んだとのことだ。
時代設定が一番古い『続・夕陽
のガンマン』(最後の最新作)
では、南北戦争時代であるの
で、出てくる拳銃はパーカッショ
ンモデルが中心だ。
しかし、主人公のクリントは
は金属薬莢.44口径に改造した
コルトネービーのコンバージョ
ンモデルを使用している。
(しかし弾頭は.38バージョン
に見える)
当時最新式の機構だ。
その銃をホテルで分解整備中
に敵が襲って来るシーンは面
白い。
慌ててクリントは組み立てて
いる。
しかし、そこでもイーストウッ
ドが左利きである癖が出てし
まっている。
彼はあたかも右利きのように
演技をしていて、銃は敢えて
全て右手で抜く。これは、
その後の『ダーティーハリー』
シリーズでもそうだった。
『続・夕陽のガンマン』では、
原題にもある「悪い奴」である
リー・バン・クリーフの銃は
パーカッション式のレミントン
なのだが、なぜかガンベルト
にはカート弾薬がぎっしりと
いう謎がある。
彼の銃はコンバージョンモデル
の金属薬莢式ではない。
また、これも題名にある「み
にくい奴」のトゥーコ(イーライ・
ウォーラック)の拳銃は、銃砲店
で強奪した銃はコンバージョン
式だったのに、三すくみの決闘
の時にはなぜかパーカッション
式になっている。
しかも、決闘後にブロンディは
トゥーコに言う。
「弾を抜いておいた」と。
パーカッション式は火薬をシリ
ンダーに詰めて押し込み、さら
に弾丸を詰めてレバーで押し込
み、シリンダーの後ろに雷管
=パーカッションを被せる。
弾丸は落ちないようにワックス
グリスで蓋をする。
金属薬莢式のように弾丸を抜く
などというのは簡単にホイホイ
できない。
このあたりが、安直なマカロニ
ウエスタンの適当さだ。
ケビン・コスナーの『ワイルド・
レンジ』でも、ピースメーカー
から弾が10数発連続で発射され
るのも超テケトンで完全なる
アウトだが(それさえなけれ
ば、あれは名作)。
『続・夕陽のガンマン』での
ブロンディの金属薬莢コンバー
ジョンタイプのコルトネービー。
コンバージョンであろうと
薬莢式ならば薬莢が撃発後に
膨らんでシリンダー内壁に張
り付くので、エジェクション
ロッドが無いと薬莢を排出で
きない。
この映画の銃のタイプならば、
金属棒の道具を別に持って
いないと、弾丸の排出と次弾
の装填は不可能だ。
騙して弾を抜いたり、弾込めの
途中で敵がホテル襲撃してきた
り、ギミックが面白い『続・夕陽
のガンマン』であるだけに、銃器
に関してのテケトン具合のみが残
念だ。折角、コンバージョンや
パーカッションを小道具で使った
のに。
だが、ジュリアーノ・ジェンマ
の西部劇のように、南北戦争で
コルトピースメーカーが軍用拳
銃として使われているという出
鱈目の極みよりはレオーネ三部
作はマシだろう。
クリントのSAAは戦後モデルで西
部開拓時代には存在しなかったと
はいえ。
それを言ったら、あのガンベルト
は西部開拓時代には存在しない。
ハリウッドで映画撮影の為に
1920年代から使われ始めた物だ。
それでもエンターテイメント。
西部劇は面白い。
このおっちゃん、できる!!
笑えるけど(笑)。
For A Few Dollars More guitar
こちら、お笑いではない本格派。
For A Few Dollars More //
The Danish National Symphony Orchestra (Live)