野外フィールドでは私はいろ
いろなナイフの携帯方法を
用いる。
これは太刀のように左腰に大
型を一丁カンヌキに佩き、
甲冑武者のように右に中型
を馬手(めて)差し風に帯び
て、武将とは柄を上下逆向
きに装備している。
多徳ナイフはケースに入れて
右腰、小型ナイフは右ポケッ
トにクリップオンだ。
実用性を勘案すると、キャンプ
であろうともフィールドでは
最低4丁が必要となる。
木片切断用ナイフで食材は切ら
ない。
ナイフは1丁でなんでもこなす
が、作業で使ったナイフを料
理には使わない。理由は衛生
管理を目的の区別のため。
ノミや農業鎌や斧でステーキは
切らないでしょ?
この文化は古代中国に発し、
包丁が生まれて食用刃物と
作業刃物、戦闘刃物を区
別した。
さらに、皿に盛った物を食べ
る時に切るのではなく、予め
切り刻んで食べ易くする食文
化が中国に登場し、それが日
本で更に進化した。
切り刻んだ料理を取るために
紀元前3000年頃に中国で箸が
発明され、それが周辺地域に
拡散した。
日本では文献上箸が登場する
時代は7世紀以降だが、実用
は古墳時代には既に登場し
ていたと推測できる遺跡が
出ている。
3世紀の卑弥呼の時代には大
陸文献では日本人である倭人
は手掴みで皿から食べていた
が、壺から掬う匙はあった
ようだ。また摘むトング
のような器具も。
なので日本書紀や古事記の神
話に出てくる川流れの箸とい
うのは後代の創作である事が
判明する。
そして、全世界の中で、食事
の際に全てを箸のみ使うのは
日本の和食文化だけの日本固
有の文化だ。
箸文化は日本に於いて中国を
超えて最高最終段階までの進
化を見た。
また、個人の箸、茶碗等の食
器を持つ食文化(属人化と呼ぶ)
は日本固有のものであり、中
国や朝鮮、東南アジアにもそ
れは存在しない。
よくキャンプというと洋式模
倣でフォークのみを使う人も
多い。
私は箸を主軸に使う。
簡易的にフォークを使う事も
あるが、基本的には野外でも
箸を使う。
箸は黒檀箸や金属箸含めて3膳
は装備に入れる。割り箸は洗
浄しての使い回しができない
ので基本的に使わない。
日本人だから箸を使う。野外
であっても。
戦国時代の合戦場でも、武士
たちは匙など使わず箸を用
いた事だろう。たとえ野外
のいわゆる軍事キャンプで
あろうとも。
現代でも、全て洋式ぶらずに、
使い慣れた箸をキャンプであ
っても使うのが私には無理な
い自然体に思える。なので箸
を主軸としている。モンベル
のキャンプ箸などは折り畳め
るので便利だ。
箸では刺し箸、ねぶり箸、迷
い箸はウルトラど無作法なの
でやらない。しかしフォーク
は刺すためにある。簡易な料
理を刺して持つには適してい
る。箸は基本的に和食の為に
存在するもので、洋食想定は
無い。故に洋食の時には洋式
の食用器具が適している。
こういう物の時にはフォーク
をバンバン使う。
要するに固定観念で決めつけ
の石頭にはならない。
これ、外メシでは結構大切。
箸文化の進化と同時に、日本
では刃物を目的によって使
い分ける、という文化が
古代に発生した。
それゆえ、日本は世界一の刃
物文化を持つ歴史を刻んで来
る事ができた。
「なんでもかんでも一緒くた」
を日本人はしない。識別し、
弁別し、区別する。
特に刃物では衛生面から、食
材用の刃物には専用刃物とし
て他とは区別された独立刃物
を使う事が望ましい。
用途により、最低限必要な装備
の4丁。
このような一般的なベルトへ
の吊り方を基本として指導解説
する書籍やネット情報は多い。
だが、用具の概念化では固定観
念での凝り固まりは間違ってい
る。
用途や目的により臨機応変にや
るのが実用用具・道具のセオリー
だ。
このようなバックサイドの
ホールド方法も大ありだ。
昔の侍たちも、崖を登る時
や屈む時などは刀の柄を後
ろに回してカンヌキ気味に
差して用を足した。
要するに、「これが絶対」と
決めつけずに、柔軟にその理
(ことわり)を知的に考えて、臨
機応変に対応して最大の実効性
を引き寄せるのが大切で、野
外でのあらゆる活動はそうし
た視点とスタンスが安全を確
保し、利便性を担保するので
ある。