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撞球上級者の友人と撞球談義をし
ていて、「センターショットの練習
って意味あるの?」という話になっ
た。
互いの共通認識としては、「あまり
意味は無い」という結論に。
ストロークやキュー出しを確認する
為には意味があると思われる。
また、押し引きの具合を見るために
は。
だが、真っすぐな玉をいくら練習し
ても、実際のところは益は薄い。
それよりも、玉半分重なりずらし
や、押し引きヒネリでの合わせを
して行ったほうが遥かに上達の
速度は上がる。
センターショットでも、真っすぐの
デレッチョ(スペイン語)の状態で
そこからあえて穴振りをして手玉を
任意のエリアに出す練習とかなら
大いに意味があるだろう。
あるいは立てキュードローの練習と
か。
だが、ただ真っすぐな玉を撞いて
コトンと的玉を入れても、まったく
何の練習にもならない。
しかし、世の中、スポーツでも嘘を
教えられる事は実に多い。
ひどい例としては、1970年代は
スポーツの練習中に水を飲むな
とか、うさぎ跳びで鍛えろとか
医学的にも大嘘の出鱈目が学校
でさえ指導されていた。
そして、技法の訓練課程にあっても
スポーツの世界は嘘が往々にして
通っている事が多い。
ビリヤードについていえば、キュ
ーの振り方は肘から下のみで
振り子のように振ってそしてキュー
は水平に出せ、等がそれだ。
肘から下はゴムのように伸びない
ので、肘から下だけで振り子振り
したら握り手は円弧運動をする。
キューを水平に突き出す事などは
物理的に不可能だ。
フライフィッシングでも似た嘘が
ある。ロッドは時計盤で10時から
2時の間を往復するように振る、
というものがそれ。
円弧運動になりタイトループなど
物理的に絶対に作れない。
そうした世迷言のような事がこれ
まで「基本」であるかのように
喧伝された誤謬がビリヤードの
世界でも多く存在する。
私は「センターショット100発入る
までとことん練習せよ」等の類は
その世迷言の一つだと確信している。
的玉を真ん中に置かずとも、短クッ
ションレールの直線距離で十分だ。
そこでもキュー出しやストロークは
確認できる。
誤った不見識な「指導」により、
撞球技術の発達が著しく遅れる
事態になってはいないだろうか。
渋台でのナインボールマスワリ等
はビリヤードを初めて一ヵ月乃至
二ヵ月で出て当たり前だ。
毎日「正しい練習」をやっていれば。
センターショットをやるのは、ごく
ほんの初期だけでよいし、むしろ
手短にその期間を設定したほうが
よい。
自分の状態の確認の為のセンター
ショットではなく、「センターショ
ットで的玉を入れる訓練」に拘泥す
る事などは、益あるどころかむしろ
弊害を多く生む。
理由はいろいろあるが、撞球を長年
やっていると真実が見えて来る。
這界の「虚実」というものも。
ビリヤードの試合などでの好プレー
を再現する動画がよく投稿サイトに
上がっている。
大抵は自分の家庭のホーム台でそれ
を撮影している。
だが、トーナメント仕様のガチガチ
に穴が狭いポケットテーブルと、
一般家庭用の穴幅ガバガバの台では
ショットの難易度は雲泥の差となる。
上の画像は上がトーナメント用、下
が家庭用だ。コーナーもサイドもま
るで穴幅が異なる。
また、穴の切れ込みも異なる。
穴が奥にあるのではなく手前に崖っ
ぷちがある台はコトンと何でも入っ
てしまう。マーレーの標準台が
そのような仕様で話にならなかっ
た。あれは酔客向けのような台だ。
また、日本のガリオンをコピーした
アジア製の台もガバガバで、かつ
穴縁が浅く、何でも入った。コー
ナーでのガコガコ外しはまず無し。
バブルの頃のプールバーなどに
多かった。
そんな台でマスワリをいくら連発
しても、ちっとも本物のマスワリ
ではない。
渋く難易度の高い台にするには、
石板の穴切れ部さえもゴム貼りを
してパテで段差を無くして延長する
のである。ほんの8ミリ~1センチ
穴の縁を奥にするだけで劇的に
難しい台になる。
上掲画像の下の台は大甘の初心者
用の台の如き石板と穴の仕様に
なっている。いわゆるガバ台。
逆に上のトーナメント仕様では
サイドなどはいやらしいほどに
絞っている事が観察できる。
サイドはコーナーと違い、狙える
角度が狭いので、少し絞るだけで
難易度が格段に高くなる。
これはラシャを張る前のクッション
のゴムの長さで調節する。
かつて私のクラブハウスの1番台は
コーナーは一般的なトーナメント
仕様の1.8玉穴幅にしていたが、
サイドはガチガチに絞っていた。
これは私の提案で全体会議承認
による業者セッティングで。
その台で撞いた初訪問の上級者は
サイド狙いを何度も飛ばして、
「なんだ?このサイドは」と思わず
漏らしていた。
その1番台で正確なサイドカットや
バンクをクラブ員は習得していた。
今私が今年になって初相撞きし始
めた人から「バンクショットの成
功率9割以上あるのでは。異常。
まるでバンクプール選手みたいだ」
と言われているのは、実際に狙っ
たバンクはほぼ全て成功させる
事実があるからだ。サイドなどは
100%に近い。
それは、かつてのクラブハウスの
厳しい台で訓練した成果だ。
ぬるいガバガバ台でいくら玉入れ
してもシュート力は上がらない。
ちなみに、一般ノーマル台のコー
ナー穴幅は2.4である。玉2個が
スルスルに通る穴幅。少し絞って
ある台でも2.2玉程度。
実力を短期間で上げたいならば、
コーナーは最低でも1.8幅にセット
したいところだ。
緩くとも穴幅はせめてこれ位が
適度。また、カップが奥に行く
ほど狭い=カップ開きのセット
の為、上級者向けの難易度の高
いセッティングにこの台はして
ある。穴奥も深い。
これでも一般的にはきついほう
だが、これではまだ甘い。僅か
な違いだが、ミリ単位で難易度
は倍々増加のように増える。
つまり、逆を言えば、ガバ台は
簡単すぎる台となる。
どれほどアメリカの本式トーナ
メントの台が渋いかというと、
こんな感じ。コーナーも狭いが
サイドの狭さはいやらしい程だ。
少しラインに角度がつくと玉1個
分ギリギリの幅になる。
こうした台で世界トップたちは
戦っている。
かといって、練習台を1.5穴とか
1.6(これは華台によくある)に
すると、通常プレーが成立しなく
なるので、これもあまりよくない。
1.7~1.8あたりが適度だろう。
穴を極度に狭くしてクッションの
角をカットしたスヌーカー方式
の難しい台にして新登場したのが
チャイニーズエイトという種目
だが、これはもうアメリカンプー
ルとは別物と考えたほうがいい。
そして、中華八球のよくない傾向
として、転がし玉系のプレーが
増える事だ。手玉アクションより
もシュートのみ重視のため、コロ
コロコトン系の玉転がしになって
しまうのだ。
最近はアメリカンプールでそうし
た突っつきチョン当て玉が日本で
は流行しているが、それはプール
のショットではない。
野球でいうならバントですね、それ。
MOST UNBELIEVABLE RUN OUT EVER?!!
8 Ball Pool By Chris Melling!
英国のクリス・メリングが巧手
ミカ・イモネンとのエイトボール
の試合で見せたミラクルの連発。
大事な試合で守りに入らずこの
ように積極的に攻めて行く。
そして確実に取る。
失敗をしないことばかり選んで
勝ちを狙うプレーがプロスポーツ
として人気を得ないのには意味が
ある。
誰も、安全安全また安全といった
銀行員や公務員のようなプロスポ
ーツのプレーなど見たくはないか
らだ。
なので、日本人でポケットビリヤ
ード選手が世界チャンピオンを取っ
た者が3名も出ているのに、全く
全米では人気が出ないどころか
相手にもされなかった。
一方、セーフティが無いスリークッ
ションという種目ではあるが、
不動の世界王者クールマンスを
破って世界チャンピオンになった
小林伸明プロは、全世界で多大な
る評価を受けた。攻撃的で果敢に
挑むプレースタイルだからだ。
ポケットビリヤードでは、超絶
実力者のエフレン・レイエスなど
は、トーナメント選手時代には
積極果敢に攻めて、そしてミラ
クルショットを連発して大人気
となった。
考えてもみてほしい。王貞治が
バントばかりやる選手だったら?
人気など出るだろうか。いくら
出塁率日本一になったとしても。
プロスポーツはダイナミックな
超人的プレーを観衆に見せるの
も一つの「仕事」である。
イモネンさえも苦笑いしながら
クリスの健闘を讃えている。
こういうのがスポーツの良さだ。
特にポケットビリヤードでは
セコくてショボい玉を突っ転が
して玉入れをナンボしても、そん
なプレーに魅力は一切無い。全く
100%無い。アマチュアならとも
かく、プロでそんな勝ちだけ狙い
の事をやっていては、観客やファン
などその者につく筈もない。
だが勘違いしている「プロ」登録
者が日本にはワンサカといる。
正直、そうした選手たちの試合を
観ていても、全く一つも面白くも
何ともない。
自分が玉入れして勝つ事だけしか
頭にないからだ。観客不在。
それ、アマチュアの感覚だろうに。
プロは観衆を沸かせてナンボだ。
スーパープレーでどよめきを呼び、
観客を興奮の渦に巻き込む。
それがプロだ。
プロ野球選手やプロサッカー選手
たちはそうしたプレー、本当の
高等技術と超絶技法を披露すると
同時に観客沸かせのクリアでナイス
なファインプレーを見せてくれる。
また、撞球では、海外選手は当然
のようにそうしたプレーを随所に
多く見せる。
ちょぼちょぼセコセコ何でもセーフ
ティなどというくだらぬゲームなど
はやらない。
ひどいのになると、自分で撞いて
手玉の出しに失敗したらセーフティ、
などというトンデモプレーをする
「プロ」も日本人には多い。
終わってる。
それ、アマチュアの素人時代で終わ
りにしてもらいたい。
The baltimore bullet
ジェームズ・コバーン主演の
『新・ハスラー』(1980)。
原題はザ・ボルチモア・ブレット
だ。ボルチモアの弾丸。
この作品を観ると、映画ファン、
ビリヤードファンは「あれえ?」
と思うだろう。
1986年公開のポール・ニューマン
主演のアカデミー賞主演男優賞
受賞作品の『ハスラー2(原題
The Color of Money)』がこの
『新・ハスラー』にそっくりだ
からだ。細かいプロットの描写が。
つまり、大ヒットの『ハスラー2』
は本作からかなり「いただき」を
しているということだ。
本作は日本版メディアのVHSビデオ
では戸田奈津子が翻訳を手掛けてい
るので大デタラメな字幕となっている。
大会解説者として列席した15回も
世界チャンピオンになったウィリー・
モスコー二の事を「第15回大会チャ
ンピオン」などと字幕にしている。
戸田奈津子の翻訳のいい加減さは
世界的に有名で、あるハリウッド
作品では戸田奈津子に字幕担当させ
ることを強く拒否された。本当に
超出鱈目な自分勝手な翻訳をする
からだ。その作品数は枚挙に暇ない。
『アポロ13』でも出鱈目翻訳により
重要なシーンのスイッチが逆にな
ったりしたし、ひどすぎる例がほぼ
全作。映画をダメにするひどい翻訳
をやりながら、一向に自省しない。
本作では fifteen times という原語を
「第15回大会」と勝手な思い込みで
やらかし、不世出の15回も世界チャ
ンピオンに輝いたウィリー・モスコ
ー二の功績を踏みにじっている。
本作は『ハスラー2』のようなシリアス
な物語としては描かれず、壮年になっ
た名うての撞球師をジェームズ・コバ
ーンが演じている。
そして、弟子を伴い、賭け玉勝負の
旅を続けるが、永遠のライバルの
ディーコンが賭博容疑で収監され
ていたのが釈放され、彼との裏勝負
をするために行動する、という物語。
途中、騙し賭け玉のハッスルをする
シーンなどは、その様子がもろに
『ハスラー2』の下敷きになっている
ことが見受けられる。
また『ハスラー2』同様、スティーブ・
ミゼラク、アレン・ホプキンス、
ルー・ビューテラー、ジム・レンピ、
マイク・シーゲルなどの本物のプロ
プレーヤーも本作には多く登場する。
驚くことに本物のディーコンこと
名人アービング・クレインまでも
が出演している。
日本ではビデオ化のみでDVD化は
されていない。
なかなかレアなビリヤードを題材に
したコメディタッチの映画作品だ。
深みはないが娯楽作品としては結構
面白い。
主人公の「ボルチモアの弾丸」役の
コバーンがかなり軽快で味のある
演技を見せている。
私が持っているのはVHSのみだが、
何ともDVD化してほしい作品だ。
J.コバーン作品集あたりでリリース
してもらえたら、映画ファンたちも
大喜びなのではと思う。
本作で出てくるショットを再現
した動画 。マッセとジャンプのみ
はできていない。
鈴鹿8時間耐久レースが3年ぶりに
開催される。
かつて空前絶後のバイクブームだ
った1980年代には観客動員数18万
人が押し掛けたほどの国際レース
だ。
当時、観戦しに行くと、トイレに
たどりつくまで2時間かかるという
のが本当にあったりした。
場内人ですしづめ。山手線の朝の
満員ラッシュ、正月の明治神宮
初詣のような人だらけの状態だっ
た。
近年は観客は激減したが、それでも
野球場満員の5万人よりも多い7万
人ほどの観客、レースファンが
観戦する国内最大規模の人気競技
だ。
コロナ禍で2年連続開催が中止され
たが、今年は世界耐久選手権の
一環として再び夏に開催される。
本日8月7日日曜日が決勝だ。
また熱い鈴鹿の夏がやって来た。
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