干物自体は今では瀬戸内地方でも食べられ
るが、真鯵の開きの干物は静岡県の伊豆
半島物が最高に美味い。
東京・神奈川は伊豆物が多く食されている
のだが、このアジの干物だきゃあ静岡県物
に限る、という感じがする。
御進物などの伊豆物のアジの開きは10枚
御進物などの伊豆物のアジの開きは10枚
で5400円程。1枚540円。
そんなアジの干物など本当は無い。
伊豆半島の激ウマのアジ干物は現地では
この値段だ。
まことに美味しい。
まことに美味しい。
鯵が違うのか、干し方が違うのか。
多分アジだろうなあ。サンマは銚子物と
いうように。最近サンマは北海道物が多い
けど、銚子物が格段に美味い。
牡蠣は広島物よりも三陸物のほうが滋味が
深い。広島は物量勝負みたいなとこがある
ので、中には美味い牡蠣もあるが、県内
産地で味に個体差があり過ぎる。またそれ
を楽しむのも広島牡蠣の楽しみなのだが、
総体でいくと、なぜ東京の料亭では三陸の
牡蠣ばかりなのか、という現実がある。
味の吟味というものは、手前味噌を一切
介在させない。自分とこが一番、などと
いうタコの糞が頭にのぼったような俺様
大将感覚のイナカモン根性は勝負になら
ない。
美味い物は全国区で美味しいのである。
アジの干物は伊豆がダントツだ。
「うちの地方のも美味しいよ」と言い返し
たくなるとしたら、そらイナカモン根性。
全国レベルの評価を認めたがらない、と
いう。視野が狭いおらが自慢したがりの
根性。それでは美味い物は味わえない。
地元産の物だけで満足していればいい。
アジの開きは伊豆半島だ。食べたら、
「なんだこれ?」となる程ウマい。
そうした突き抜けた美味い物は全国にあ
る。
例えばジャガイモは広島県安芸津の芋。
これはもう突き抜けている。
同じ品種を別場所で栽培しても同じ味に
にはならない。土壌と気候と育て方だろ
う。
そうした名産品は全国各地にある。
それらを素直に無垢の心で見ればいいのに
と私は思う。
なんでも自分の地元のみが一番としたがる
のは、客観性を欠いた身内自慢のようで、
何ともいただけない。
そうした歪んだ主観を中心に据えると、
「我が郷土が日本刀発祥の地」みたいな
ねつ造を行政サイドさえやらかしてしまう
ので、イナカモン根性には注意が必要だ。
実は、東京神奈川の二輪の乗り屋たちは、
伊豆半島のアジの干物定食を食うためだけ
に熱海、伊東、下田、沼津と走りに行った
りする。走って食うだけの価値がある干物
だからだ。たった110円の開きであろう
と、その味は値段には換算できない。
美味しい物というのは、そんな質性を持っ
ているのではなかろうか。
美味い=高い、高い=美味い、という定式
などは味については当てはまらない。
アジの開きは伊豆。マジうめえ。