【幸運の四つ葉のクローバー、では二つ葉は?】
ヨーロッパ原産で、マメ科シャジクソウ属。日本には江戸末期に、乾燥させたものがオランダから長崎・出島に運ばれてきたギヤマン(ガラス容器)の詰め物(緩衝材)として初めてやって来た。このため「ツメクサ」の名前がある。明治に入って牧草として輸入され、野生化して全国に広まった。同じ仲間に赤紫の花をつけるアカツメクサ(ムラサキツメクサ、下の写真㊧)。背丈がシロツメクサより高いのが特徴で、やや遅れて米国からやはり牧草として輸入された。
シロツメクサの英名は「ホワイトクローバー」。一般にクローバーとして親しまれ、ひと昔前まで女の子たちが腕輪や首飾りを編む光景をよく見かけた。葉はふつう3枚の小葉から成るが、まれに四つ葉がある。これを見つけたら幸福に恵まれ、さらに五つ葉は金銭面の幸運につながるという。ただ二つ葉の場合は不幸が訪れるというジンクスがある。こうした変形クローバーは人によく踏みつけられる場所で見つかることが多いそうだ。成長点が傷つく結果〝奇形〟が生まれやすいらしい。3年前には岩手県でなんと56枚もの小葉をつけたクローバーが見つかり話題を集めた。
アイルランドの国営航空エアリンガスは尾翼にクローバーのような三つ葉のマークをつけている。これは「シャムロック」と呼ばれ、クローバーなど葉が3枚から成る野草の総称。アイルランドの国花にもなっている。紀元5世紀に聖パトリックがアイルランドにキリスト教を広める際、三位一体の教義を説明するため身近に生えているクローバーなどを使ったことに由来するそうだ。
シロツメクサはミツバチにとって大切な蜜源植物。とりわけ寒冷地にはなくてはならないもので、国内でも北海道の石狩平野がクローバー蜂蜜の代表的な産地になっている。シロツメクサは山菜でもある。若葉はおひたしや胡麻和え、白和え、油炒め、てんぷらなどに。花を焼酎につけるとクローバー酒になる。
以前「四つ葉のクローバー」として球根を売っていたので、早速買って庭の隅に植えてみた。十数年前のことだが、その後、毎年この時期になると芽を出し四つ葉を広げる(上の写真㊨)。葉の形からはまさに四つ葉のクローバー。だが、これはカタバミ科の「オキザリス・デッペイ」というもの。メキシコ原産で英名は「ラッキークローバー」。また花の色が青いものが「ブルークローバー」の名前で流通しているが、これもクローバーとは違って、原産地は中国からヒマラヤにかけた地域。こちらの英名は「ブルー・オキザリス」。草花の名前もなかなかややこしい。