【食用花の白とピンクの花弁に、鮮紅色のオシベ】
近くの高齢者福祉施設の生垣でフェイジョアの花が咲き始めた。フトモモ科の常緑果樹で、原産地は南米のブラジルやパラグアイなど。熱帯育ちだけあって、花にも華やかさがある。花弁の直径は4~5cm。長くて色鮮やかな数十本のオシベが目を引く。真ん中から1本のメシベがオシベの先端より少し頭を出している。
エディブルフラワー(食用花)で花びらは食べることができる。内側はピンク色、外側は真っ白。少し肉厚で口にするとほのかに甘い味がした。秋になると、長さ5cmほどの楕円形や球形の果実ができる。実はゼリー状で生食のほかジャムやジュース、果実酒などに利用される。花や実の形は同じ仲間のグァバにそっくり。しかもパイナップルに似た味がするということで「パイナップルグァバ」の英名を持つ。だが、この福祉施設の方のお話によると、味はどちらかといえばナシに近いそうだ。ビタミンCを多く含み風邪の予防や疲労回復にいいという。
フェイジョアの名前はスペインの植物学者フェイホアにちなむ。早生のユニーク、中生・中玉のマリオン、香りがいい晩生のドライアンフ、実が大きいマンモス、やや大きめのアポロなど、さまざまな品種がある。南米原産だが、最大の生産量を誇るのはニュージーランド。果肉がヨーグルトに加工されたり、フェイジョアティーとして愛飲されたりしているという。
日本には昭和初期に入ってきた。寒さにも比較的強く育てやすいが、当初輸入されたのが自家受粉しにくい品種だったため、なかなか普及しなかったらしい。だが、品種改良でアポロやユニークなど自家結実性のある品種も増え、花も果実も楽しめることもあって、最近、庭木や生垣などとしてよく植樹されるようになってきた。