【結成14年目・定演37回目、関西を代表するアマチュア吹奏楽団に】
奈良県のアマチュア吹奏楽団「A-Winds(エーウインズ)奈良アマチュアウィンドオーケストラ」の「夏の演奏会」が24日、やまと郡山城ホールで開かれた。1999年の結成から今年で14年目。毎年、春夏秋の3回定期演奏会を行っており今回で37回目。この日も多くの熱心なファンが大ホールを埋め尽くし、力強く爽やかな吹奏楽の醍醐味を存分に味わった。
「A-Winds」の団員数は現在46人(この日は別にエキストラ8人が参加)。過半数を女性が占める。結成直後の2000年には奈良県大会でいきなり金賞を受賞し、以来、県内のトップ吹奏楽団として活躍。最近では関西吹奏楽コンクールに県代表として出場して銀賞や銅賞を受賞するなど、めきめきと力をつけている。中でも女性だけで構成するパーカッション部門は打楽器7重奏が全日本アンサンブルコンテストで銀賞を獲得するなど折り紙付き。この日も7人の女性が息の合った演奏でめりはりをつけてくれた。
ホールでの演奏に先駆け毎回ロビーコンサートを行う。クラリネットや打楽器などのグループ演奏をより近い距離で聴けるため、いつもなかなか好評だ。演奏会は2部構成で、第1部はマーチ風の「ザ・バンドワゴン」(フィリップ・スパーク作曲)で開幕した。続いて「美術館の一日」(ジェームス・カーナウ作曲)。美術館の絵画や彫刻を題材にした5楽章構成で、第3楽章の「肖像画」(マネの「笛を吹く少年」)ではフルートなどの木管が活躍した。ここまでは団員指揮者の魚谷昌克氏が指揮を執った。
1部最後の「ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス」(キングハム作曲)からは客演の吉崎直之氏が指揮台に上がった。奈良県内外の吹奏楽団、交響楽団、合唱団などを指導する重鎮。関西の主要オーケストラにトランペッターとして客演として招かれるなど、プロの演奏家としても活躍している。この日もいつもながらの躍動感にあふれた動きでメンバーの集中力を高める見事な指揮ぶりを見せてくれた。
「ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス」は米国ミネソタ州の高校の委嘱作品ということもあって、青春賛歌風の爽やかな演奏だった。第2部の「吹奏楽のための綺想曲じゅげむ」(足立正作曲)は今年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲の一つ。さまざまな楽器が「寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ……」と唱えているようで実に愉快だった。最後の「交響詩モンタニャールの詩」(ヤン・ヴァン・テル・ロースト作曲)にはピアノやコントラバスも加わって、アルプスの自然の厳しさを描写し叙情的なメロディーで愛を歌い上げた。アンコール曲はおなじみの「ラデツキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス作曲)。会場内の拍手に合わせた演奏で最後を締めくくった。