【日本女子、東京五輪以来の出場有力に】
日本陸連は11日午後、ロンドン五輪の代表選手39人(男子25人、女子14人)を発表した。同時に「日本が参加資格を獲得した場合」の条件付きでリレー種目の代表候補男女7人も発表。東京五輪以来の出場が有力な女子400mリレーの代表候補には、9日の日本選手権100m決勝で第一人者福島千里(北海道ハイテクAC)と最後まで競った16歳、土井杏南(埼玉栄高2年)も選ばれた。土井は1985年8月24日生まれで五輪開催時点で16歳11カ月。五輪出場が正式決定すれば戦後最年少という歴史的快挙となる。
福島は100mと200mで代表に決定。女子400mリレーの代表候補には土井のほか高橋萌木子(富士通)、佐野夢加(都留文科大職員)、市川華菜(中京大)も選出された。高橋、佐野は日本選手権100mで福島、土井に次いで3位、4位。市川は100mでは決勝に進出できなかったものの、200m決勝では福島に次いで2位だった。市川は今年の女子100mのベストタイムでも福島の11秒34、土井の11秒43に次ぐ11秒45で3位につけており、その点も評価されたとみられる。「個人種目にエントリーしている選手はリレーのリストに含まれなくてはならない」(選考要項)と決まっており、福島と代表候補4人の計5人で400mリレーを戦うことになる。
【11秒60→11秒53→11秒50→11秒43】
今年に入ってからの土井の快進撃を改めて振り返ってみると――。昨年までのベストは11秒60だったが、4月29日の織田記念予選で11秒53を出し、高校先輩の高橋が持っていた高校記録を破ると、決勝で11秒50まで伸ばした。さらに5月13日の高校総体埼玉県予選の100m予選で11秒43、決勝でも11秒45を記録した。そして今大会の予選で11秒47、決勝で11秒51。わずか2カ月の間に高校記録を次々と塗り替え、確実にステップアップしてきた。まだまだ伸びしろは大きそうだ。
ロンドン五輪女子400mリレーには7月2日までの2レース(3カ国以上参加)の平均タイムで上位16カ国が出場する。日本チームは昨年5月にゴールデングランプリ川崎で出した日本新記録の43秒39とアジアグランプリの43秒65が持ちタイムで、世界ランキングは5月末現在で11位。この2つのリレーメンバーはいずれも第1走から北風沙織(北海道ハイテクAC)―高橋―福島―市川だった。
【スタートダッシュ買われ五輪でも第1走?】
リレーは「種目の特性上、適材適所がある」(高野進強化委員長)。単に直線スピードだけでなく、コーナーワークやバトンパスなど4人の連係がカギを握る。土井は今年5月3日の静岡国際で初めて400mリレーの代表に起用され、第1走者として出場した。雨と低温の中で日本チームの記録は43秒79と昨年の2レースを上回れなかった。さらに同6日のゴールデングランプリ川崎では第1走者を北風に戻し昨年の日本記録メンバーで臨んだが、この日も強風にたたられて44秒29と低調な記録に終わった。
ただ、土井は静岡国際での走りでリレーでも存分に走力を発揮してくれることを示してくれた。日本女子がこのまま世界ランク11位をキープできれば五輪出場は有力だが、日本陸連では他国の状況によってはランクアップのため期限内に改めてベストメンバーを組んで走る可能性も否定していない。日本女子の出場が正式に決まると、土井は日本選手権や静岡国際での走り、自ら「スタートは得意」というスタートダッシュを買われて、第1走として起用される可能性が極めて高い。16歳土井がロンドン五輪の大舞台を疾走――。ついに夢が現実となる!