く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<みんぱく ひょうたん展> 奥がふか~い、「瓢箪」の世界!

2012年09月14日 | 美術

【奈良県立民俗博物館で開催中】

 千成瓢箪、秀吉、酒の容器、ひょっこりひょうたん島、「瓢箪から駒」……。恥ずかしながら「瓢箪」から連想するのはこの程度だったが、「みんぱく ひょうたん展」を見て瓢箪の世界の奥深さを垣間見る思いがした。奈良県立民俗博物館(大和郡山市)で開催中の同展(23日まで)には、「みんぱくひょうたん会」(土井実会長)のメンバーが創作した瓢箪の作品がずらりと並ぶ。私の目には芸術品と呼ぶにふさわしいものばかりに見えた。

瓢箪1瓢箪2

 「みんぱくひょうたん会」が生まれたのは今から6年前。会員数は現在15人で、大和民俗公園の一角にある「ひょうたん畑」(写真下段)で瓢箪を栽培し、収穫した瓢箪を使って作品に仕上げ展示会で発表してきた。今年で5回目。瓢箪といえば、上下が丸く真ん中がくびれた、いわゆる瓢箪形を連想しがちだが、展示作品は球状や棒状、楕円形など形も大きさも実にさまざま。それらの瓢箪に花柄やイラスト、幾何学模様を描いたり、筆で般若心経を書いたりして、瓢箪にインテリアや置物としての息を吹き込む。

瓢箪3瓢箪4
 
  「千成瓢箪はうまく栽培すると1本から1000個の瓢箪が取れるから千成といいます。百成瓢箪は酒の容器に使う大きさ、十成瓢箪はもっと大きいものです」。こう教えてくれたのは会長の土井さん。えっ、百成や十成もあったの? 「さらに大きい〝特大瓢〟という品種もありますよ」。棒状の細長い品種「長瓢」には長さが4m近くまで育ったものもあるそうだ。「それぞれの姿形、個性をうまく生かすと、立派な芸術作品が出来上がります」。

瓢箪畑1瓢箪畑2

 会場の一角に「すかしぼり」と書いた6つの作品(写真上段左)があった。中に電球がセットされており、点灯するとくり抜いた図柄を通して温かい光が漏れてきた。創作したのは小林嘉幸さん(川西町)。自宅で千成瓢箪を栽培していたが、「みんぱくひょうたん会」には今年2月入会したばかりという。それから作り上げた作品はまさに明かりのインテリア。瓢箪の全国組織「全日本愛瓢会」の全国大会で金賞を受賞した栗原秀起さん(大和郡山市)の作品「ついたて」(中段右)も出展されている。これらの展示作品の数々から瓢箪の可能性の大きさを実感させられた。同ひょうたん会は16日と17日、千成瓢箪を使って「みんぱく工作教室」(参加者募集中)を開く。

 「全日本愛瓢会」は1975年、奈良県明日香村で産声を上げた。だから明日香村には「全日本愛瓢会発祥の地」という記念碑が立つ。愛瓢会の名誉総裁は秋篠宮文仁さま。土井さんも愛瓢会の会員だ。その「瓢道綱領」の第1番目は「飄々を旨とし小事にこだわるべからず」。愛瓢会には「瓢道位制」もあり、瓢箪づくりの技能を初段から10段まで分けている。それに従って錬士から教士、範士と上がっていく。その上は名人。瓢箪に魅せられた人は予想をはるかに超えているようだ。「たかが瓢箪」と言うなかれ!

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