【若葉はおひたしなど食用に、根は解熱・解毒の生薬に】
北海道~九州の山野に広く分布するキンポウゲ科の多年草。 草丈は1~1.5mほどで、夏から秋にかけて花穂を長く伸ばし、白い小花を密に付ける。その花姿はまるで試験管ブラシ。花には両性花と雌しべがない雄花がある。
「サラシナ」は春先に若葉を摘んで水に晒しアクを抜くと、山菜としておひたしなど食用になることから。「ショウマ」は漢方の生薬名「升麻」から。根茎を乾燥させ粉末状にして解毒や解熱、消炎剤として用いる。葉が麻に似ていることから「麻」の字が入ったようだ。サラシナショウマは「ヤサイショウマ」や「ヤマショウマ」などの別称を持つ。
同じキンポウゲ科の仲間にオオバ(大葉)ショウマやイヌ(犬)ショウマなど。オオバショウマの変形種にキケン(鬼瞼)ショウマと呼ばれるものもある。葉の形が鬼の顔に似ていることから、そんな変わった名前になったようだ。キンポウゲ科以外にも「ショウマ」と付いた植物は多い。ユキノシタ科にアカ(赤)ショウマやトリアシ(鳥足)ショウマ、ヤクシマ(屋久島)ショウマ、ヒトツバ(一葉)ショウマ、バラ科にヤマブキ(山吹)ショウマ、メギ科にはトガクシ(戸隠)ショウマなどがある。
サラシナショウマは根茎の表面が黒く、他のショウマ類から取った根茎と区別するため、クロ(黒)ショウマやシン(真)ショウマと呼ばれることもある。香川県では絶滅の危険性が高まっているとして絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。「草陰に待ってたような趣のサラシナショウマ咲きいたりけり」(鳥海昭子)。