【ブラジル原産、花はナスに似た小さな星形の紫花】
ブラジル原産のナス科の観賞用植物。元々は低木だが、寒さに弱く日本では冬越しできないため春まき1年草として扱われる。草丈は1~2mほどで、晩夏~初秋に葉の付け根にナスに似た薄紫色の星形の5弁花を付ける。花は小さく目立たないが、晩秋にできる果実のユニークな形や色から、生け花やインテリアの花材として人気を集める。
果実は初め緑色で、成熟するにつれて黄色くなり光沢を増す。その形は先端が少し尖り、付け根に5個ほどの角状突起が付く。そのため「角茄子」と名付けられた。学名「ソラナム・マンモサム」の種小名「マンモサム」も「乳頭状突起を持つ」を意味する。英名では「nipple fruit(ニップル・フルーツ)」や「lady nipples(レディー・ニップル)」と呼ばれているそうだ。
日本では正式な和名のツノナスよりも、愛称の「フォックスフェース」として広く知られる。果実を横向きにすると、狐の顔の形に似ていることによるもので、「キツネナス」という別名もある。また、黄色いカナリアが木に止まっているように見えるとして「カナリアナス」とも呼ばれる。
日本には鹿児島出身の植物学者、故玉利幸次郎(元大阪市立大学教授)が1935年にジャワの植物園から初めて導入した。玉利は熱帯・亜熱帯の珍しい植物を収集し〝日本の園芸植物の育ての親〟ともいわれた。果実は白いスポンジ状で真ん中に黒い種子がある。ただソラニンなどアルカロイド系の毒成分を含むため食用にはならず、口にすると中毒を起こす。