【未熟果は漬物などに、「木瓜」「乳瓜」の別名も】
トロピカルフルーツの代表格パパイア。メキシコ、西インド諸島、ブラジルなど熱帯アメリカ原産といわれるが、野生種が見つかっておらず原産地は特定できていないそうだ。成長が極めて早く未熟果「青パパイア」の利用価値も高い。そのため熱帯~亜熱帯地方で広く栽培されており、沖縄などでは家庭用果樹として庭で育てる人も多い。
パパイヤ、パパヤなどとも呼ばれるが、園芸学会が1979年に正式な呼称をパパイアに統一した。青パパイアは野菜のウリと同じように漬物や炒め物などに使われることから「木瓜(もくか)」とも呼ばれる。ただ「木瓜」と書く場合、普通ボケの花を指すことが多い。パパイアは茎や葉、果実などを傷つけると白い乳液を出す。このため「乳瓜(ちちうり)」という別名もある。
パパイアはもともと雌雄異株で、雌株は果実を付けるが雄株は付けない。性別は最初に花を付けるまで分からないそうだ。雌株は葉の付け根に雄株の花より大きく厚みのある乳白色の5弁花を付ける。その後3~4カ月で果実は青色から次第に黄色に変化して熟す。雌株、雄株とは別に両性で実を付けるものもある。園芸品種には両性のものが多い。果実の形は一般的に雌株が丸みを帯びるのに対し、両性のものは洋ナシ型となる。
未熟果などから出る乳液は「パパイン」というタンパク質分解酵素を含む。この酵素には肉を軟らかくしたり食物の消化を助けてくれたりする働きがある。また肌の新陳代謝を促して古い角質や毛穴の汚れなどを取り除いてくれるとして、酵素配合の洗顔パウダーや石鹸、入浴剤などが相次いで発売されている。さらに皮膚の治療薬や椎間板ヘルニアの注射薬など医療分野にも利用されている。