最近、じっとしてるとひざが痛くて、例えば電車のように座ると足を曲げ伸ばしできないような
状況下では、20分もすると立ち上がらないと我慢できなくなってしまう。
それでも歩くのには支障がないし、会社のように立ったり座ったりが自由な状況ならなんとも
ないので、あまり気にせずにいたんやけど、お年寄りに席を譲るでもなく、せっかく座った電車
の席を立つのもばからしいので、一度会社の近くの整形外科で見てもらうことにした。
で、レントゲンを撮り、問診、触診をしてもらった結果、「骨に異常はありませんが、軟骨が
磨り減って、まぁ簡単にいうとひざの油切れみたいな状態で、中年以降の男性にはよくある
症状です。寒い時期になると特に多いですね、しばらく通ってもらってひざを暖めて様子を見
ましょう。湿布と薬をを出しておきますので服用してください。」とのことやった。
通院もめんどくさいし、ホンマそんなことで直るんかいな?とか思いながら、まぁその日はそれで
帰って言われた通りにすることに。
それから約1週間、薬と湿布を続けてたけど案の定、ひざの痛さは何も変わらない。まぁ、
オフィス街にある医者なんて、放っておいても仕事時間内にくるサラリーマンで大流行やから
そんなもんやとは思っていたけど。
そんな中、肩が痛いと言っていた会社の同僚Oさんが、昼休みに俺と同じ薬(痛み止めと
ビタミン剤)を飲んでるのを偶然見かけた。
俺:「あれ?その薬どこでもらったん?ひょっとして近所の○○整形外科?」
O:「そうそう、何で分かったん?」
俺:「だって俺と全く同じ薬やもん、でもOさん肩が痛い言うてたし、俺とちょっと症状違うや
んなぁ、そやのに全く同じ薬かいな?あそこ誰にでも同じ薬出してるんとちゃう?ひょっと
してレントゲンようけ撮って、毎日電気治療に来なさい言われた?」
O:「そうそう、その通り!」
俺:「あちゃー、思た通りええかがんな医者やであそこは」
なんて会話になり、あそこはあかんけど、まぁ出てる薬は痛み止めは別にして、ビタミンを飲
んで体に悪いことはないから、そんなもんで様子みなしゃあないなぁ、なんてことでお互い、
慰め合って納得することになってしまった。
それから、電気治療には一度も通ってなかったんやけど、しばらくしてその飲んで悪くはない
であろうビタミン剤が切れたので、とりあえずそれだけもらおうと思って、再度その医者に行く
ことにした。
しばらく待合で待っていると、そこへ俺と同じように薬だけもらいに来た人がいた。
そしてその人の言ったこと。
「こないだもらったビタミン剤頂戴。痛み止めはもういらんし」
いやー、もう参ったね。ホンマにここは誰にでも同じ治療をしてるらしい。ただ、それでもこっち
が判断してビタミンだけもらう分には保険も使えて便利なので、その程度で割り切ればたい
して腹を立てることでもないので、まぁ半ばあきれながらその日はビタミンをもらって帰ってきた。
そしてまた何日か経って、今度はデザイナーのIが腰が痛くてたまらん、という。
これまでの話の経過からして、もうここは大阪人として絶対に突っ込まなあかんとこなので、
俺:「ええ医者紹介しよか!治療法の確立してるええ医者やで。俺にはもう出してくれる薬
までわかるわ。会社から歩いて2分やし」
I:「そうなん?そしたら行ってみるわ」
結末はもう皆さんのご想像通り。彼女はレントゲンを7枚も撮られ、ビタミン剤と痛み止めを
もらい、毎日電気治療に通ってくださいね、と言われて帰ってきた。
聞くところによると、この電気治療、機械をセットする時と外す時の2~30秒ほど人手が
いるだけで、あとは機械を付けられた人がじっとしていればそれで一応治療と名のつくもの
になるので、整形外科としては一番安全、かつ儲かる治療法らしい。もちろん、ビタミン剤と
一緒で、それをして悪くなるなんてことはない訳で、何かしらいい方向に進むことも間違いな
いから、当然、患者も医者も文句のつけようがあるはずもない。
だから、整形外科としては患者からクレームはつかんわ、よう儲かるわで、一番やりたい治
療法な訳よ。
俺達会社の同僚3人を始め、おそらくその医者に通ってるほとんどの人がそれを分かってる
やろけど、時間もないし、ちょっとでもよくなるのなら、と思ってる。そしてその人たちは様々な
理不尽と戦い、病気と戦い、毎日、時間に追われ、わずかな時間を見つけて医者に通っ
ている。
かたや、その医者は、特に原因を追及せんでも、なんとなく体によさげなええかげんな治療
をしときゃあ、金をもらえる。
全く世の中の不公平を象徴するような図やけど、まぁこれも流しとかなしゃあないことや。
今度、その医者からなんか広告の依頼でもあったら、
「確固たる信念と治療法を確立!○○整形外科」というタイトルでまずは書き始めてみる
ことにするかな。