探訪【近江水の宝】湖中示現の神の里をゆく-兵主大社-
兵主(ひょうず)大社の神様は白蛇となって大亀の甲に乗り、鹿の群れに守護されて琵琶湖を渡って来たといいます。時は養老2年(718)、穴太(あのう・大津市穴太)を出発して、あやめ浜(野洲市菖蒲)に上陸したともいいます。兵主神の湖中示現を物語るこの縁起は、晩秋の頃、大社宮司が御神体とともに菖蒲(あやめ)の浜で湖中に入り、湖水で浄め、琵琶湖の力を迎える八ヶ崎神事として今に伝えられます。境内の名勝庭園もその造形は琵琶湖を強く意識したとされています。
今回の探訪では、野洲市ボランティア観光ガイド協会のガイド、野洲市や県の文化財専門職員が同行案内し、真宗木辺派本山錦織寺、仏性寺の阿弥陀如来坐像(平安時代・重要文化財)など、兵主大社とその周辺の文化財を詳しく訪ねます。
真宗木辺派本山錦織寺
創建は平安時代初期の天安2年(858年)に天台宗の円仁により創建された毘沙門堂に遡る。建長5年(1235年)、
浄土真宗の開祖親鸞が逗留し阿弥陀如来を祀ったとされる。その後、この地の領主石畠氏の援助により寺院として整備され、慈観がこの寺に入り一派を形成した。戦国時代から江戸時代初期にかけては浄土宗に属することとなったが、江戸時代中期には浄土真宗に復帰し、文化11年(1814年)には准門跡に列せられた。
文化財
- 滋賀県指定文化財
- 表門
- 御影堂
- 絹本着色熊野曼陀羅図
所在地
- 滋賀県野洲市木部826 アクセスhttp://yahoo.jp/0PlzSy
鐘楼の改築の石積集
由緒
兵主神社所管社二十一社の一。
欽明天皇の代に鎮座。「悪王子神社」と称された。
天神前古墳
兵主神社
兵主大社
名っ名勝 庭園
- 滋賀県県指定有形文化財
- 楼門
- 野洲市指定文化財
- 本殿
歴史
社伝「兵主大明神縁起」によれば、景行天皇58年、天皇は皇子・稲背入彦命に命じて大和国穴師(奈良県桜井市、現 穴師坐兵主神社)に八千矛神を祀らせ、これを「兵主大神」と称して崇敬した。近江国・高穴穂宮への遷都に伴い、稲背入彦命は宮に近い穴太(滋賀県大津市坂本穴太町)に社地を定め、遷座した。
欽明天皇の時代、播磨別らが琵琶湖を渡って東に移住する際、再び遷座して現在地に社殿を造営し鎮座したと伝え、以降、播磨別の子孫が神職を世襲している。
延喜式神名帳では名神大社に列し、治承4年(1180年)には正一位勲八等兵主大神宮の勅額が贈られている。
歴史
元の穴師坐兵主神社は、垂仁天皇2年に倭姫命が天皇の御膳の守護神として祀ったとも、景行天皇が八千矛神(大国主)を兵主大神として祀ったともいう。旧鎮座地は「弓月岳」であるが、比定地には竜王山・穴師山・巻向山の3つの説がある。祭神の「兵主神」は現在は中殿に祀られ、鏡を神体とする。神社側では兵主神は御食津神であるとしているが、他に天鈿女命、素盞嗚尊、天富貴命、建御名方命、大己貴神の分身の伊豆戈命、大倭大国魂神とする説がある。
巻向坐若御魂神社の祭神「若御魂神」は稲田姫命のことであるとされる。現在は右社に祀られ、勾玉と鈴を神体とする。元は巻向山中にあった。若御魂神については、和久産巣日神のことであるとする説もある。
上記の2社は、『正倉院文書』に天平2年(730年)に神祭を行った記録があり、貞観元年(859年)に従五位上の神階が授けられた。
穴師大兵主神社については鎮座年代は不詳である。祭神の「大兵主神」は現在は左社に祀られ、剣を神体とする。大兵主神の正体については、八千戈命(大国主)、素盞嗚命、天鈿女命、天日槍命という説がある。
中世ごろから、穴師坐兵主神社が穴師上社、穴師大兵主神社が穴師下社と呼ばれるようになった。応仁の乱のときに若御魂神社と穴師上社の社殿が焼失したことから、この2社を穴師下社(大兵主神社)に合祀した。明治6年(1873年)に郷社に列し、昭和3年(1928年)に県社に昇格した。
摂社として、野見宿禰を祀る相撲神社があり、相撲の祖神として信仰されている。
中世には、「兵主」を「つわものぬし」と読むことより、武士の厚い信仰を得た。中でも源頼朝・足利尊氏による神宝の寄進・社殿造営があり、社宝として残されている。また、江戸時代には、徳川将軍家から社領の寄進を受け、厚い保護を受けた。
拝殿横にあり、護岸の石組み・築山の三尊石組みなどは平安時代の遺構。「近江の苔寺」の別名がある。 毎年、紅葉時期にはライトアップが行われる。
重要文化財
- 白絹包腹巻 1具
- 鍍銀籠手金具
- 鍍銀臑当(すねあて)
- 茜威喉輪(あかねおどしのどわ)
- 白生絹袷小袖
- 萌黄地白茶格子生絹袷小袖
- 緂帯
- 唐櫃
- 重要美術品(国認定)
- 革箙(かわえびら)
- 錦包箙
- 梓弓
- 伏竹弓
- 黒漆弓
- 木造唐鞍神馬
- 木造神馬
佛性寺
参考資料:パンフレット、現地説明板、ウィキペディア(Wikipedia)、