参院は11日、原子力規制委員会委員に田中知(さとる)東大大学院教授と石渡明東北大教授を新たに充てる人事を与党などの賛成多数により可決しました。
早速、原発を早く動かしたい、電力会社や財界から歓迎の声が上がっています。
田中氏は、2年前まで原発を推進する立場の日本原子力産業協会の役員をしていました。
しかも、電力関連会社などから多額の報酬や寄付金を受け取ってきた「原子力ムラ」の住民です。
民主党政権時の2012年に、利権絡みの「原子力ムラ」からの独立のために定めた人選基準に抵触する人事です。
それを、政権が、自公政権になったとしても守られるべきものです。変更するのであれば、国民にその理由を説明すべきです。それを多数の力で「時計の針を逆戻りさせる」ようなことはあってはならないことです。
現在の規制委の島崎邦彦委員長代理と大島賢三委員の2人は、「再稼働に慎重だ」として退任させられたことになります。
「行政からの独立」と謳われて設立された原子力規制委員会は、フクシマ原発事故の教訓からスタートしたはずです。それを忘れたかのように「原発推進者」を委員に据えることは、原発規制の独立性、信頼性を失うものといわなければなりません。