第181話. 仕事への向き合い方(3) 熱量、感動を形にする

2018-10-02 22:13:11 | 仕事への向き合い方
湖畔人です。

またまた『プロフェショナル 仕事の流儀』からの紹介です。
特別企画で"子ども大学"と言うものをやっていたのですが、その回もとても良かったのです。佐藤章さんという小池屋の社長さんで、キリン時代には缶飲料の開発もし、ヒット作を数多く世に出して来た伝説の商品開発マンとの事で、子供達と商品開発を通してガチンコで本音でぶつかり合う様を見させて頂きました。
主だった選抜された少年少女たちに新しいポテチを考案、プレゼンさせ、そこからさらに2名の案に絞って商品化をさせるというもので、そこで、佐藤氏は、開発にとって一番大切な事は“自分に嘘をつかない事”だと子供達に言います。"本当に心が動かされたかどうか、腹の底から心が動いたものかどうかを自分に問え、そうでないとダメなんだ"、と言うのです。"その為には、自分の『本当の好き』をまず探せ、その『本当の好き』は多分自分の経験の中にあるはずだ"、とも言い、子供達に何度も考えさせます。また、佐藤氏は、"自分の熱量を相手に伝える事が開発なんだ"、とも言います。だから本気、本音で無いとダメなのだ、と言う事なのかもしれません。ある少年は、はじめはクラスメートの意見を広く聞き、それをベースに提案を考えていたのですが、佐藤氏に、"それが君の本当の好きなのか?""嘘は無いのか?"と問いただされ、悩んだ挙句、その少年は、彼が幼少時、病気がちだった頃、野菜嫌いの彼の為に、何とか栄養を取ってもらおうと彼の母親が苦心をして作ったトン汁の味が、今の彼にとっての本当の好きな味なのだ、と言う事に彼が気付くのです。結果、彼は、みそ汁味のポテトチップを考案します。彼の本気の提案に、多くの開発者達は心動かされます。そして、彼の提案は商品化される最後の2名に選ばれるのです。落選した他の少年少女たちは見ていられない程のヒドイ落ち込み様でとってもつらそうでしたが、後から振り返れば、彼らにとって貴重な人生体験だったなと思える様になる事を祈るばかりです。そんな落選した彼らも、今度は選ばれた2名の案の商品化の為にチームとして参加せざるを得ず、落ち込んでいる暇もありません。一度負けた彼らが、今度は、他の子のアイデアの具現化のお手伝いをするのです。白けずに参加し、開発に入り込み、頭を悩ませ、様々なアイデアを活発に出し合い、それらが商品に反映され、段々と商品が仕上がって行く様は見ていて感動的です。その過程を見て、佐藤氏は、“気持ちが人の心を動かすんだ、彼らはイイ開発チームだ”と褒めます。“開発においては、感情が動く事が大事、心が動くことが大事、それを形にしてお客さんに届ける事が開発、だから嘘はいけない、本当のすきを探せ”、と言う趣旨の事を佐藤氏は言います。これは、前話の柴田さんの言う、“これは良い、うまく行く、と確信出来るまでしっかりと案を深め仕上げて置く事が大事”と言う点にも通じるものがあると感じました。
皆が開発に従事する訳では無いのですが、仕事に本気を込める事、仕事に好きを見出だし、思い入れを込める事、と捉えれば、我々の普段の仕事への参考にも成るのかも知れません。混沌をシステム化する事をよしとしがちな我々凡人ですが、"感情が動く事を大切にしろ"、と言う意見はとても新鮮です。言い換えればきっと“感動”が大事だ、と言う事なのかもしれません。
ドキュメントとしても、とても良いドラマを見させていただいたなと思いました。感動的な素晴らしい回だったと思います。この経験が、出演した少年少女たちの糧になる事を祈るばかりです。では。

湖畔人

第180話. 仕事への向き合い方(2) 夢は無くとも気を利かす事で成功を掴む道 

2018-10-02 21:40:17 | 仕事への向き合い方
湖畔人です。

暫く忙しくて観られていなかった撮り貯めした番組の内、幾つか仕事の為になりそうな良い番組がございましたのでシェアをさせていただきます。
また、あの近代史と政治、サイエンスを語らすと国民や神の敵としか見えない様などうしようもないNHKの 番組の内、幾つか為になる番組があり、その内の一つである『プロフェショナル 仕事の流儀』から、また深く感心させられた回がございましたのでシェアをさせて頂きます。

その回は、ブランディングのプロで、商業施設やコンビニのスイーツの提案で有名な柴田陽子さんの生き様をやっていたのですが、かなりインパクトがありましたので、シェアをさせて頂きます。

特に、この柴田さんの生き様で驚くのは、“夢など持ったことが無い”、と言い切っている点です。それでも彼女は自分の仕事と自分の人生に自信と誇りを持ち、そして見事に成功を収めているのです。若いうちから夢を持ち、それを叶える為に頑張れる人生は、それはそれで素晴らしいですし、良い事だと思うのですが、でも多くの人達は、明確な夢も持たず、やりたい事もハッキリしないまま大人になってしまうケースが殆どだと思うのです。就職出来た職場で与えられた仕事を好き嫌いに拘わらずやっている、と言うのが多くの人々の社会生活の実態だと思うのです。それでも彼女は、それはそれとしてしっかりと受け入れ、今の職場で、お客様なり上司なりに、精一杯“気を利かす事”が大事なんだ、それが次のチャンスを必ず運んでくる、と言います。彼女にとって“気を利かす”とは、“想像力“を働かす事だと言います。尽くす対象にしている相手に対し、何か困った事はないのか、何をしたらより快適に、よりスムースに目的が果たせるようになるのか、それらを徹底的に”想像“し、より良い状況、環境を作り出し、提供せんとして来たようです。頼まれた事だけでなく、相手に何をしたらもっと喜ばれるかをオフの時間をも使って色々と考えを巡らせ“気を利かす“事を積み重ね、結果、大きな違いを生み出して来たようです。元々秘書課に配属される事で社会人生活をスタートさせた彼女は、”NOと言わない柴田さん“をコンセプトに頼まれ事を何でもこなし、相手(上司)にどうしたらスムースに仕事に集中して頂けるか、どうしたら喜んでいただけるかを徹底的に考え、研究をし、改善を積み重ね、相手(上司)に快適な仕事環境を提供してきたのだそうです。そうこうしているうちにその仕事ぶりを見て来た上司筋から企画の仕事にチャレンジしてみないか、と提案をもらい、何時ものように妥協なく、どうしたら相手(客)を喜ばす事が出来るかを徹底的に考え、想像を巡らせる事で見事にその企画を成功させ、その後はもう、わらしべ長者のように、どんどんと新たな企画の仕事を任され、成功を積み重ね、その後、独立を果たし、今や都市開発から、上場企業の新規事業の立ち上げや、不振脱出を図る企業への企画提案など、現在引手あまたのブランディングのプロになった女傑のお話でした。武蔵小杉の商業施設や、ローソンのUchi Cafe SWEETS、渋谷のヒカリエのレストランフロアのプロデュース等、色々手掛けて来ています。有名ですね。
でも、上記の通り、彼女のして来たことは、簡単に言ってしまえば、基本、何をしたらもっと相手(お客様)に喜んでいただけるかを、徹底的に考え、想像を重ね、形にする事をして来たのです。彼女に相談に来た相手に対し、一体何をすればもっと話題にされ、もっと愛され続ける場なりサービスなりを提供出来るようになるのか、その場に足りていないものは一体何なのか、何をすればインパクトと実利を生み出せるかを徹底的に考え、その場を徹底的に観察し、問題点を洗い出し、そのクライアントの存在意義や特徴を際立たせ、その特徴や存在意義をターゲット層のお客様に対し明確にメッセージとして発信をし、そのメッセージをお客様にご理解いただき、そして、ご利用いただき、喜ばれ、愛され、繰り返し利用いただく事を目的としている仕事な訳です。
ですから、彼女の仕事への基本姿勢は、想像を重ねて、より相手に喜んでいただく為の改善を重ねる事をしている訳ですので、何の仕事にも通じる普遍的な物の考え方であり、その仕事が、事務職だろうが、主婦業だろうが、子育てだろうが、教育者だろうが、営業だろうが、技術者だろうが、何の仕事にも通じる普遍的な仕事姿勢だと思うのです。別の言い方をすれば、ある意味“愛”を重ねる事をされているのです。誰にでも今日からでもマネできる立派な考え方だと思います。そして何より、その相手を喜ばすための想像を重ねる事で、夢が無くとも成功できる事を自らの人生で証明しているのですから本当にスゴイ事です。世間に沢山いる、夢が無い、とボヤく多くの方々の希望の星ですね。

ただ、彼女曰く、企画を出す場合は、それがうまく行くと自分の中で心底確信できる事が重要だと言います。生半可ではだめで、しっかりアイデアをブラッシュアップし、何度も考えを重ね、様々な角度から吟味し、現場にも足を運び、細部にわたるまでイメージを詰めて、“よし、これならOK!、絶対成功する!“と深く納得する所まで妥協せずにイメージを深め仕上げよ、と言います。その為には、まず前提として、素直である事、頑固で無い事、また可愛げがある事が資質として重要だと言います。確かに、最善の案に辿り着くには、自分の非ですら素直に認める力、素直さも要りますし、自分の意見にこだわらず、広く最善を探る為に周りの意見も聞ける謙虚さと柔軟さも要りますよね。

またブランディングをする際には、奇をてらうのではなく、正攻法で道の真ん中を歩くかのようなシンプルで直球的なアプローチが世を変える力を持つ、と言います。何がそこに要るのか、どう言ったメリット、どう言った特徴が、その場なりサービスなりにあるべきなのか、そのコンセプトをまず明確にし、後はその考えを実現すべく、妥協せず、最善の仕掛けなり肉付けなりをして行く事、それをどうも彼女は正攻法と呼んでいるのかな、と思いました。

また、彼女はこうも言います。“何処かにいる、多分自分よりうまくやれる誰かに負けないように、いつも最善を尽くし、いつも次の伸びシロになるような反省なり後悔なりを持って生きて行きたい "と言うのです。何なんでしょうね。ホント凄すぎますね。世の中には偉い人がいるものです。本当に頭が下がるし、ビックリです。

では、早速、彼女を真似して、どうしたら、もっと、お客様、同僚、上司、家族に喜んで貰えるかを徹底的に考え、思いや想像を巡らせ、今日から周辺環境の改善を試みてみたいと思います。では。

湖畔人