湖畔人です。
さて、久々に音楽の話です。
そして、これまで、このブログにちょくちょく名前が出て来ていたエルビスコステロの曲のご紹介です。
コステロと言えば、映画『ノッティングヒルの恋人』で使われてた『SHE』と言う曲が一番有名でしょうか?自分は余り好きではないですがね・・・。最近はガンの摘出手術もしており、体調も宜しく無いようですし、もう64歳ですから、彼が元気なうちに彼の曲を紹介したいと思います。
以前インスタントラーメンの話の所でも、コステロが日清の安藤百福さんをリスペクトしており『モモフク』って言うアルバムを作ったとか、ここの音楽紹介の過去の幾つかの記事でも彼の名前が何度となく出て来たかと思いますが、嘗て紹介したディフォード&ティルブック(スクイーズ)やスペシャルズのプロデュースもコステロがしているし、ここで紹介したアズテックカメラもプリファブスプラウトもコステロの高い評価でもって引き立てられて世に出て来たし、まだ紹介していないETBG等自分の好きなUKのバンドの殆どが何故かコステロと関係があるのです。結果的に。よって自分としてはいつの間にかUKポップの御意見番的な立ち位置にいる人物として見えており、自分の中では大好きなUKのアーティスト群のハブの位置に君臨するイメージの重要人物です。
そしてコステロは大好きなビートルズ、特にサー・ポールマッカートニーとも縁があり、今日の一曲目のご紹介は彼の代表曲の一つでもあり、ポールとの共作でもある『Veronica』をご紹介いたします。これは、認知症の祖母からインスパイアーされて作った記憶が曖昧な認知症の女性の事を歌った歌です。とてもブリットなUK感が強い品の良いメロディの曲であり、日本でも何かの情報番組で使われていましたね。ポールはしばらく低迷していたのですが、この曲をきっかけに復活を果たしているし、コステロの薦めであのポールの代名詞とも言えるバイオリン型のベースの使用も再開しています。この頃同時に二人はポールの『マイブレイブフェイス』も共作していますね。この『Veronica』は、ある意味、ミスチルっぽいサウンドと思う方もいるかもしれませんが、ミスチルの桜井さんはコステロから大変大きな影響を受けているのは割と良く知られていますね。
二曲目もかなりミスチルっぽい感じもし、また佐野元春さん風でもあるのですが、『 Oliver's Army』と言う曲をご紹介いたします。佐野さんはスプリングスティーンの影響が大きいので、コステロがスプリングスティーンの『Born to Run』をパロって結果似てしまったのかもしれないし、もしくは佐野さん自体がコステロの影響を受けていたのかもしれませんし、実は真相の程は判りませんが、いずれにせよ佐野さんっぽい曲風に仕上がった曲なのです。とてもキャッチーなメロディですが、実はかなり政治的な毒のあるメッセージが盛り込まれた曲でして、"職探しのフリーターが職安に行くと軍隊なら仕事があるって言われたので入ってみたけど、世界中に英国軍の駐留地があるけど、この国(英国)の侵略主義、帝国主義の歴史ってどうなの?でもその軍隊でしか働けない情けない自分達はなんなの?"って言う貧しい労働階級の若者のやるせない気持ち、その鬱憤を歌ったものです。学の無い貧しい若者達が戦場に送り出されがちなこの社会構造、特にその対象にアイリッシュなどマイノリティーがターゲットになりがちな社会構造はどうなのか?と批判した歌のようなのです。ここで言うオリバーのアーミーとは、清教徒革命のクロムウェルが組織した英国の陸軍の事を指しており、英国の植民地主義、侵略主義の象徴としてオリバーの軍隊とある意味揶揄しており、同時にコステロの先祖がアイルランド系なのでクロムウェルの北アイルランド侵攻時の虐殺への批判も込めていると思われているのです。
こうしてコステロは英国の歴史と成立ちと今の現状に対する批判や疑問を数々歌にして来たのですが、その彼が後日英国王室から勲章を受ける事になり、その時に心境はとても微妙なものだったようです。しかし母親の薦めもあり最終的には母孝行も兼ねて勲章を受ける事にしたようですが、中々微妙なものだったようですね。審査の為に曲を聴いていない疑惑も指摘もしていますね。まぁ皆適当ですね・・・。
さて、コステロには良い曲が多いので、何回かに分けて今後ご紹介させていただこうと思います。
それでは、また。
湖畔人