室町通り

久しぶりに京都の室町通りをゆっくり歩いた
というのは仕事先の会社が宿泊先として
新しくできた室町通りのビジネスホテルに指定してくださったので
ぶらぶらと講演をする会場まで歩く

チャコちゃん先生生意気にも京都の定宿は決まっていて
そこから目的地に車で行くという行動を繰り返していたから
きもののメッカ京都の室町通りをゆっくり歩くこともなかった

ま
前置きはそのくらいで
驚いたのなんの元問屋跡にマンションやビジネスホテルが
立ち並んでいる

ペーペーの雑誌記者のころ
この道を歩いていると夏は男たちが縁台を持ち出し
ステテコ姿でへぼ将棋をやっていた
みんな住み込みの問屋の社員

昔ながらのどっしりとした建物の問屋が多く
仕事が終わると軒下や道路に男たちがたむろして遊んでいた

えらいさんは北山とか嵐山の方に邸宅を持っていた
その邸宅に御呼ばれしたことがあるが半端ではない

京都は入り口が狭いが懐が深い
いったん心を許してくれると親戚の女の子という位置になる
今は親戚のおばさんか
京都の文化をシャワーのように浴びた何十年だったナ

そんな思いでゆっくり歩く
建物は昔の佇まいのままの問屋もあったが
ひょいと覗くと中がけばけばしい
そういえばここは奥方が取り替わった店だった
追い出された奥方とは今も懇意にしているが
はあーこういう趣味の新夫人なのかと感慨もひとしお

サラリーマン社長の率いる問屋は味もそっけもないビル
しかしこういう店の方が健在
建物を生かして料理屋になっていたり
いやはや昔日の思い

時代といってもこんなに簡単に文化を手放していいのだろうか
せっかくアメリカが京都の町を爆撃せずに保存してくれたが
住む人たちが持ちこたえられない世の中になってしまった

先日もトインビーさんが
「日本が一番変わったのは着物を着ている人が少なくなった
きものが日本から消えると文化も消えていく危険がある」
とおっしゃっていたが

日本のきものの集荷地がこのありさま
黙って小雨の降る通りをひたすら歩くチャコちゃん先生