チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 39

2018年10月28日 15時51分35秒 | 日記
季刊「きもの」(繊研新聞)での連載が始まったのが1972年終わりが1983年
この間43人に取材をしている

初めは小売商の社長10人
そして着物の製作者28人
着物周りの職人5人

高度成長期の走りからこれからいよいよバブル期を迎えるという着物最盛期だ

着物ジャーナリストとしてデビューし3年目にこんないい仕事をさせていただいている
つくづく幸せ者だと感謝
当時は業界記者はいてもフリーの立場で着物のことを取材する人間は居なかった

まだアメリカに占領されていた沖縄に4度も足を運んでいる
写真も自分で撮っていたらしい

ある時
石垣島の八重山交布と竹富島のミンサー織りの取材に行くと友人に話したら「行きたいいきたい絶対に邪魔にならないようにただただ海に浸かっているから」と深々と頭を下げるので、孤島に一人で行くのがちょっと寂しかったので一緒に行くことにした

先ず竹富島に石垣島から渡った
ミンサー織りは女が心にきめた男に自分が織って渡すもので
模様の意味は「いつの世も足繁く通って下さい」と絣が四つと五つ
そして縁取りに縞模様
なるほどなるほとと感心してまだ通い婚の名残が残っているのかと一軒しかない 民宿で美味しい魚とお酒で民宿の夫妻と大騒ぎして休んだら

夜中頬に風が当たる目を開けるとかやの裾を上げて男が入ってくる
「えっ」声も出ないで身を固めて隣で寝ている友の 寝息を伺うと規則正しい
だんだんと男が近づいてくるーーーーー

友がいきなり男を蹴飛ばし大声をあげたため男は素早く逃げた
私は腰が抜けて起き上がれない
「チャコ大丈夫?凄いとこだね夜這いだよ」
「あなたと一緒でよかった!感謝よ」

夜があけて朝食の場で民宿の夫妻に訴えたら
「よかった な二人とも美しいという証拠カカカー」と笑って終わり

昼間自動車(一つしかない)をうんてんした男に違いないのだが、平気な顔をして
「イカつったよ」と朝食用にニコニコしながら持ってくる
南の国というのはこういう大らかさが有るのだと変に感心した

石垣島での取材中友は海で泳いでいたのだが、海水姿のまま取材先に飛びこっんできた
「どうした?」
「耳貸して」何と!タンパックスが取れなくなった!
一軒しかない病院に駆け込みえらい時間かかってやっとすっきり
「何で無理して泳ぐのよ」「だって海が綺麗なんだもん」
昨夜助けてもらっているのであまり強くは叱れない

その時「湯文字」を思い出した
湯文字だけが下着という時代があり、その時代の人たちに集まってもらい座談会を開いた
そのとき
湯文字を付けていると性理のコントロールができると聞いて驚いたことがある
友人に東京に帰ったら「湯文字生活を送りなさい」と言いつける

八重山の麻は大麻木綿も自家製藍は琉球藍だった
この取材は一生忘れられないものになった
(つづく)
コメント
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