チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 27

2018年10月02日 19時12分21秒 | 日記
10月はもう紅葉だそうだ
紅葉を型染めすることになった
茜とウコンを使うという

茜は山崎斌さんにお会いしたときの色「あかねさすーー」だ
ウコンはカレーライスなどに使うウコンだと知った
ウコンは虫を寄せ付けない独特な香りを持っているので着物を包む風呂敷や
また茶道具などの仕覆や大事な塗や陶器などの什器を包むのにに欠かせない
「あの黄色の風呂敷ですね」

今のように便利なプチプチなど無いのでほとんどのものはこのウコン染めが使われている
日常の中でもよく目に入る色でもあった

この時代はお正月を迎えると今まで奥にしまっていた什器を取り出し
姉たちが丁寧にお椀やお盆、茶碗などを出して並べたあと
ウコンの布をたたむのが幼い私のお役目だった

ちょっと広いのをかぶって遊んだりしていたのを覚えている

ウコンの風呂敷を「うんこのふろしき」とかなり大きくなるまで思っていて
口に出せずにいた
大人ってどうしてこんな言葉を使ってて平気なのだろうかと訝しく思っていたが
お嫁に行った姉のところで着物の虫干しの手伝いをしているとき
「この黄色の布なんでうんこというの?」
一瞬言葉に詰まった姉は激しく笑いだして
「う・こ・んというのよほらこういう植物よ」
と植物図鑑を持ってきて説明してくれて二人でさらに大笑いした

そのうんこの色がいよいよ着物に登場
そうだ二番目の姉に売りつけようと早速電話
そこでもしばらく話題がその時の私の無知さ加減に及び電話の向こうで笑っている
「ウコンって虫を撃退するらしい、姉さんはもう結婚しているからいいわよね着ても大丈夫よ」と言い返す

藍も虫を避けるけど藍は労働着として用いられ
同じ虫よけでも鬱金は着物や什器を守る
この色の持つ階級のようなものも調べなければいけないなと思う
(後に冠位十二階に関係することがわかる)

11月は更に進んで山が錦色に輝く風情を織のぼかし染めにするという
「裾濃というものらしい」
裾のほうが濃くて胸や襟の方に行くほど色が薄くなってくる
経糸の色は一色でもいいけど緯糸にたくさんの色糸を使うのだそうだ

何より「すそご」という言葉の響きにうっとり
その着物を着ているだけで「紅葉狩り」ができるのだという

着物ってどうしてこんなに発想が豊かになっていくのだろう
一枚の布が色んな表情を持つ
しかも仕立てのときに困らないようにお袖の部分二枚、身頃二枚、衽二枚、襟二枚のどこに色が行くか
きちんと計算しなければならないのだと

いやはやややこしい (つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする