「チャコ帯はどうするのどこか借りるとこ決めたの」と先輩
「帯って?
「着物には帯がつきものでしょう?着物だけ着て撮影はできないわよ」
「そりゃあそうですよね、先輩教えてください」
「だめ、あなたの企画でしょう?」
「そういうことかーーー」
「撮影場所は?スタジオ?」
「いいえもうそれはロケハンしました」
「どこ一回目は靖国神社のお茶室だったわね?こんどは茶道会館?」
「いいえ赤羽の赤レンガ阯、第三京浜の未完成の土堤、荒川のお化け煙突、都庁舎予定の空き地」
「全く和の雰囲気のないところね。新しい試みね、とにかく帯を探さないとね」
「先輩その他何がいりますか?」
「帯締め帯揚げー下着や長襦袢、足袋、草履紐類はモデルさんが持ってくるのよね」
「そういうものですか、帯締めと帯揚げは私が用意するんですか?」
「お得意でしょう?コーデイネートは。帯に合わせたり着物に合わせて選ぶといいわ」
「先輩撮影現場たちあってくださいよ」
「だめ」(全くケチなんだから)
心配してくれるだけでもありがたいか
帯をどこで借りるのかーー読者には新しいものを見せないといけないという
かの四大婦人誌をパラパラめくるがキンキンキラキラの帯しか目につかない
先輩が言っていた
帯は撮影で締めるとしわになって使い物にならなくなるのでお店は貸したがらない
借りたら前だけ見せて後ろは帯の形を作らない
ということは後ろは撮影できないーーーと
途方に暮れた
そしてはたと思いついた週刊誌にいた頃広告部の仕事もしたので広告会社の人と知り合いだ、知恵をいただこう
思い立ってすぐ広告会社行くと(この頃はアポイントを取るなんてことはしない)
そこに西陣の帯屋の専務が自社のチラシの相談に来ていた
紹介を受け渡りに船とばかりどういう帯を作っているのかを矢継ぎ早に聞く
その専務はまーるい顔をニコニコさせて(この方と未だにお付き合いしている、長い付き合いだな)
「これがモール、こちらコーケツ、これショウハーーー」
「モールって海軍さんの筋のこと?ショウハはお茶の?コーケツって?」
奈良時代の三纈の一つで手法は古いけど色とかデザインを近代的にしたと説明してくれた(三纈もその後この専務にしっかり教えてもらった)
いやはや草木染めの着物にぴったりではないか
キンキンキラキラがまったくなくてシンプルで美しい
「撮影用に締めてもいいですか?」
「もちろん、そやけど提供はせえへんで名前入れてな」
「提供って?」
「コチラ無料では上げませんと言ってるんですよ}
「ああー会社名しっかり書きます」
帯締め帯揚げは京都の小物やさんを紹介してくれることになり
着物の端切れを持って京都の西陣へはじめて行く事になった (つづく)
「帯って?
「着物には帯がつきものでしょう?着物だけ着て撮影はできないわよ」
「そりゃあそうですよね、先輩教えてください」
「だめ、あなたの企画でしょう?」
「そういうことかーーー」
「撮影場所は?スタジオ?」
「いいえもうそれはロケハンしました」
「どこ一回目は靖国神社のお茶室だったわね?こんどは茶道会館?」
「いいえ赤羽の赤レンガ阯、第三京浜の未完成の土堤、荒川のお化け煙突、都庁舎予定の空き地」
「全く和の雰囲気のないところね。新しい試みね、とにかく帯を探さないとね」
「先輩その他何がいりますか?」
「帯締め帯揚げー下着や長襦袢、足袋、草履紐類はモデルさんが持ってくるのよね」
「そういうものですか、帯締めと帯揚げは私が用意するんですか?」
「お得意でしょう?コーデイネートは。帯に合わせたり着物に合わせて選ぶといいわ」
「先輩撮影現場たちあってくださいよ」
「だめ」(全くケチなんだから)
心配してくれるだけでもありがたいか
帯をどこで借りるのかーー読者には新しいものを見せないといけないという
かの四大婦人誌をパラパラめくるがキンキンキラキラの帯しか目につかない
先輩が言っていた
帯は撮影で締めるとしわになって使い物にならなくなるのでお店は貸したがらない
借りたら前だけ見せて後ろは帯の形を作らない
ということは後ろは撮影できないーーーと
途方に暮れた
そしてはたと思いついた週刊誌にいた頃広告部の仕事もしたので広告会社の人と知り合いだ、知恵をいただこう
思い立ってすぐ広告会社行くと(この頃はアポイントを取るなんてことはしない)
そこに西陣の帯屋の専務が自社のチラシの相談に来ていた
紹介を受け渡りに船とばかりどういう帯を作っているのかを矢継ぎ早に聞く
その専務はまーるい顔をニコニコさせて(この方と未だにお付き合いしている、長い付き合いだな)
「これがモール、こちらコーケツ、これショウハーーー」
「モールって海軍さんの筋のこと?ショウハはお茶の?コーケツって?」
奈良時代の三纈の一つで手法は古いけど色とかデザインを近代的にしたと説明してくれた(三纈もその後この専務にしっかり教えてもらった)
いやはや草木染めの着物にぴったりではないか
キンキンキラキラがまったくなくてシンプルで美しい
「撮影用に締めてもいいですか?」
「もちろん、そやけど提供はせえへんで名前入れてな」
「提供って?」
「コチラ無料では上げませんと言ってるんですよ}
「ああー会社名しっかり書きます」
帯締め帯揚げは京都の小物やさんを紹介してくれることになり
着物の端切れを持って京都の西陣へはじめて行く事になった (つづく)