叶屋

突然見知らぬ人から電話
「昔赤坂にあった叶やさんと連絡を取りたいのです」
電話に出た加奈子さん
「40年前に作った草履を直してほしいとおっしゃっているんです」
叶やさんに電話をしたら
「見てみましょう」

大将がなくなり
赤坂の店ををしめ商売は
奥さんが昔のお得意さんのフオローをしている

チャコちゃん先生とも40年の付き合いで
比佐子台というのを特別に作ってもらっていて
それがもう3足分しか残っていないと
先日告げられている

そのためかかと直しは年中
鼻緒の取替えもしばしば
其のつど奥さん秋櫻舎に現れ
トンカチトンカチと軽やかな音を立てて
直してくれる

秋櫻舎に縁のある人はみんなお世話になっている

さて7足送られた草履は
みんな懐かしい叶屋と書いた草履箱
送り主のお母様が購入したものの
お嬢さんは全くはいてなく
少しきものを着ようと思って取り出したら
鼻緒がきつかった
ということらしい

探して探して探し当てて草履も嬉しいだろう
叶やさん
「もってかえってゆっくり見てみます」
この鼻緒のすげ方は主人しか出来ないので
自分が出来るかどうか自信がない
台は新品なので、鼻緒を挿げ替えるのが手っ取り早いが
「それでは費用がかかりすぎる」
前つぼをどうしたら緩められるか
お預かりします

始めから其のつもりらしく
キャリーバックーを持っていらしていた

草履が生き返ることに喜びを感じ
履く人の気もちになって修理をする
こういう考え方が日本人其のものですわね

いつもいつも叶やさんには
職人の姿勢を教えられる

小さなことに大きな喜びを見出す姿勢