チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

自分で幕を引く

2013年06月11日 16時31分16秒 | 日記
高度成長そしてバブル更にはじけた後
青年実業家と言われた男達が引っ張った呉服業界も
世代交代でずいぶん環境が変わってきた

今日は旅行ときものの販売をくっつけて
心から愉しんで買い物をしようという企画を考えついたパイオニアのIさんの告別式だった

浮いた時代だったのでその企画は大いに受けて
大手の旅行会社も参入
ヨーロッパやアメリカ、東南亜細亜、オーストラリアと旅の半径は拡がるばかり
きものを購入すればハワイに行けるパリに行ける
呉服業界のその浮きたった雰囲気にぴったりの性格をしていたIさん

明るさと卓越したアイデイアと実行力で多くの人が彼のフアンになった
しかも税務処理に関しての才能も発揮していた

チャコちゃん先生は此のバブルに入る前大赤字を作ったので
一緒には浮かれなかったが
彼のお陰で借金を早く返せた
Iさんがチャコちゃん先生を中心にした企画を整えてくれるので
一生懸命仕事をして借金を少なくしていくことが出来た

Iさんはホテルで講演を終わらせたとたん急に胸が痛くなり
自分の携帯で救急車を呼び病院に運ばれたがすぐ帰らぬ人となったそうだ

奥様には救急車の中からご自分でこれから入院をすると伝えて居たのだという
奥様が指定された病院に着くと
Iさんは亡くなったので別の病院に移されたと告げられたのだそうだ

「何が何だか分からない、まるで夢の中にいるみたいで足が地につかないの」
「そうだと思うわでもーーーもぐもぐ」
何を言っても慰められない
ぎゅっと肩を抱きしめるしかないチャコちゃん先生

「一人でちゃんと喪服着たんですよーー」
「エライえらい」またしっかり抱きしめる
30年も前市ヶ谷の秋桜塾に通っていらして着付けをご自分のものにした
そのときも塾が終わる頃ご主人が迎えにいらしていた
待っている間ひとしきり内のスタッフを笑わせていたIさん

ご子息も
「大変仲の良い両親でした」ーーーーと
「お母さんをお願いね」
と息子さんに声かけてお別れをしてきた
Iさんのすました顔をお棺の中で初めて見た


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