チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

人間失格

2010年03月09日 12時11分10秒 | 日記
「今どうして人間失格なんて映画作ったのかしら」
「太宰治生誕何年かだろう?」
「ふーん」
といいながらも
特殊撮影を受け持っている長谷川さん
それに何より三田佳子さん出演なので
見ることにした

新宿の角川映画館
客は8分の入り
よく入っている

高校の同級生で太宰大好き人間がいた
当時の文学少女は
三つ編お下げをして
なんとなくうつむき加減で
笑うときも口の端を少し上げる程度で
ずーーーーと微妙な態度をとっていた

その少女は
運動神経がからきしダメ
どういうわけかサッカーボールの上に上がって
スッテンコロリン

時には中原中也の詩集を胸に
これまた白いうなじを見せながら歩いていた

映画の中で
主人公が箱飛びをしてスッテンと転ぶ姿と
文学少女が重なって
思わず大きな声で笑ってしまい
隣の御仁につねられた

女がどういうわけか気を引かれ
金や宿を貸すだけならともかく
命までも与えてしまうというのはどういうことだろう
主人公は心中で生き残る

お互いに寂しさだけで
体を暖めあわなければ生きていられない
そういう孤独感なのだろうか

しかも体を張って男を守ろうとする女
そういう男は
いいうちのボンボンで苦労知らず
生活力はからきしなくても
育ちのよさが女の気を引く

こういう時代が日本に確実にあった
その頃の男は詩情あふれていたなあ

いまは
生活力のない男は生きていては邪魔
手を差し伸べようなんてする女はいないねえ

女は自立して
弱い男を叱咤する
これが時代かあ

そういえば中年の男の観劇者が多かった
若者もさえない男が見ていた
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