チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

事始め

2009年12月17日 10時44分25秒 | 日記
12月13日の事始の日から
わが熊野神社境内では門松作りが始まった
「いよいよですねご苦労様です」と
じりじり近づき焚き火に手をかざしながら
作業を見物するチャコちゃん先生

真っ青の竹を切り
大中小三本に打ちそろえ
形作っていく

クリスマスが終わると附近のホテルや大手会社の玄関には
ここで誕生した門松が飾られる
門松つくりをしている男たちは江戸前の男前たち

そしてまた鳶たちによって
近くで餅つきも始まる

ポンポンと高層ビルがやたら立っているこの地域
昨日も42階建ての賃貸マンションの価格を見て
セキドと
「よほど悪いことしないとこういうマンションに住めないね」
25万円から120万円と賃貸価格で表示されている

「近々見に行こう」

その下で
歴史ある伝統技術を駆使している人たちも多い
高層ビルに住む住人も
この地域の慣習に溶け込んでいくのだろうか
是非仲間になってほしい

先日も
昔からあるレストランで夕飯を作ってもらっているとき
其処に集まる昔からの住民と
「ここのところこの町も人種が変わったねえ」
と語り合う

「十二社温泉もしめちゃったしね」
「あそこのお婆も老人ホームに入れられちゃったよ」
「あのいつも二百三高地の髪形していたきれいな方よね」
「うん、昔は此処の売れっ子芸者だったからね」
「身だしなみは最後まで芸者だったね」
「まだなくなったわけではないんでしょう?」

「今日は珍しく昔の顔がそろってるね」
と新たな客
「気分いいからワイン振舞う」
此処のレストラン仕入れ値5000円のワインを6000円で売っている
ハッキリ赤字

新と旧がどう折り合うのか
この十二社はこれからオモロイ
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半日仕事

2009年12月16日 11時45分43秒 | 日記
今日は例の目の再診
再診の申し込み方、眼科のありか
いちいち案内係に聞く
眼科受付に行くと
「こんなに?」
と言うほどの人の群れ

ほとんどシニアみなシンドそう
当然本読みながらなんていう人はいない
待つこと1時間

時間外で診ていただいた件の医者
「お待たせしましたね、でもいい方向に向かっていますから」
とねぎらってくれる
「植物は雑菌が多いのでチョット心配していたのですがーー」
とも
「目の充血が気になる」
といったら二週間はその充血は消えないと言う
花は美しいけどね、枝は危険と言いながら
「もう1回診ましょう」
お待たせするのも悪いので一番遅い時間にしましょう」
と予約を取ってくださった
眼科の医師が20人はいて診察している

眼科の需要が多いのだと知る

眼科の隣が小児科で
ぐずっている子供に話しかける
ぴたっと遊びの体勢が子供達に芽生え
チャコちゃん先生おおもて

名前を呼ばれてごめんねと消える
とたんにぐずり始める子
退屈だよね病院はーー

そして会計、薬待ちがさらに30分
これでも早い方らしい
たしかに手際がいい

40年前に入院をして以来大きな病気に罹かったことがないので
大病院は珍しくキョトキョトしてしまう
天井を薬や書類を運ぶレールがついていて
頻繁にあっちこっち動いている

会計は飛行場や映画館のチケット売り場みたい
あっという間に人がはける
なるほどと感心しきり

それにしてもみんな暗い顔
若々しい看護師さんが活発でいい
何処か悪くなきゃ行かないもん
ご苦労様と心から頭が下がる
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友情公演

2009年12月15日 12時57分56秒 | 日記
来年1月・2月銀座博品館でロングランの
「友情」公演
プロジューサーの中崎吉廣さんの生涯仕事
もう十年になる

今回は子供達が夏休みに集う
最高の見せ場に「浴衣」を着ていただくことになり
浴衣の「三勝」さんから24人分の寄付

稽古場に浴衣を持っていき
一人ひとりに浴衣を渡し着付けると
「可愛い、かわいい」
の連発
最近の子供は気に入ると「かわいい」という

役は中学生だが
20歳近くの子も居る
子供っぽく可愛く着るには浴衣は小さいほうがよい

肩上げ、腰あげのついた子供用の浴衣を
そのまま着たり
上げをとったり
それぞれ自分の役どころに合わせて
装い方を考えるのはさすがいまどきの子

平成22年1月5日が初日
ぜひぜひ浴衣姿を見に来てくださいな
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命中!お見事!!

2009年12月14日 10時25分16秒 | 日記
気温16度の土曜日薔薇の剪定に励んだ
伸び放題
中には枯れた枝もいっぱい

最後の一本に中腰で雑草を取っていたら
いきなり細い枝が
チャコちゃん先生の右目を来訪
イタッ
見事に命中すごい

波動水で目を洗い
それでもヨシダの入れた紅茶で和菓子を口にし
勇躍目医者へ

自宅近くの目医者はあいにく第二土曜日は休診
仕方なく医大まで歩く
大病院は何十年ぶりなのでドキドキ
看板で「眼科」があるかどうかを確かめ
時間外なので救急病棟に行く

「どうかしましたか?」
「右目に薔薇の枝が刺さりました」
「患者さんはどこに?」
「私です」

看護師がやってきて目をさわり
「充血していますね」
さらに別の看護師がきて
「丁度眼科の先生が今大手術をしていますのでーー」
と30分待てるかと聞く

おおラッキー眼科の先生が時間外でもいらした

「どういう状態で枝が目を刺したのか形を見せてください」
チャコちゃん先生再演する
「ああなるほど」

「良かったですね黒目に傷がなく」
見えますか?どういう痛みですか?右見て左見て上見て目をくるりと廻して
と色々の動作をする

傷を治す薬と、抗菌の目薬を出しましょう
よく効きますよ
「老眼も治るとかーー」
「其処までは効きません」
白内障のような老化現象もないですね
とお墨付き

道々
目の大切さを思い知る
目が見えると言うことのすばらしさ
目は見えることが当たり前と思っていた

自分で目を作れるわけもないのに
もっと大切にしよう
目があると言うことをもっと意識して感謝!

不幸中の幸い万分の一ずれていたら失明かも
クワバラクワバラ

何事も正しい姿勢がいい原因を作るのじゃな
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インパネス

2009年12月12日 10時15分31秒 | 日記
”インパネス雷門の人力車”
昨日の句会
「絵葉書みたいでダメ」
と宗匠に一蹴された
「いいじゃん」と胸のうちで思う

今浅草雷門の前にイケメン車夫の人力車が集まり
わがつれづれイヴェントではその人力車に乗って
向島の料亭に行く

まるで樋口一葉の世界ですな

その雷門の近くに
もう何十年も贔屓にしている「文扇堂」
此処の干支の扇子は美しい
さらにはマメ屋、これもオツ

そしてインバネスを売っている
男物だけを扱った呉服屋がある

先日当方で結城紬を誂えた若き男?
早速この雷門に行きインバネスを手に入れた
詰め物のいらない腹部の収まりがよく
着物姿が決まっている
立ち姿もいい

きものと文楽デヴューを一度に果たし
インバネス姿も堂にいっている
インバネスは昔鳶(トンビ)とよんでいた
体格のりっぱな人が着るとなかなかじゃてーー

その隣に和奈ビロードのコートを着たチャコちゃん先生
何か時代が一挙に昭和初期かーー
気持ちが豊かなこの時代の遊び方を
暮れのイヴェントで実行

昭和初期といえば
”ねんねこはばあばのお召し真綿入る”
友人が孫を負ぶっている姿
これも選外ふーーーーんだ!

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撮影着付け

2009年12月11日 10時14分24秒 | 日記
いまから30年前
和服を着て一日30人以上のモデル着付けを
淡々となさっていた人がいた
補正など一切しない
さらりと着付け
そして微に入り細にいり
カメラ目線できもののシワを修正する

当時はチャコちゃん先生はきものスタイリストとして
その方の着付けを細部にわたり見せていただいていた

紬のきものにはゆったり感
小紋のきものは愛らしく
付け下げは気品を
訪問着は品格
留袖は尊厳を

なお着る人の持ち味を引き出す着つけ

カメラの横に立って
「半衿上前出してください」
「抱き巾のたてじわとってください」
など豪そうに指示するとし若いチャコちゃん先生に対して
ニコニコと微笑みながら
「これでいい?」
と聞く

手品のように美しくなっていく

あの着付けはご自分が着物をきていて動くから分かる着付けだ
そのご撮影着付けはどんなきものも
千代紙人形のように着せるのが美しいとなってしまった

チャコちゃん先生はその方のように
ふっくらとその人らしさを出して
なおきものの種類によって
衿あわせやらひもの位置などかえる
もちろん当人もきものを着て着付ける

今回のサチコサンにもそういう着付けをした
しかし久しぶりの撮影着付けで
カメラ目線の着物のしわの消し方が
わが弟子達よりはるかにヘタだった

このたびの撮影其処のところが
チョット心配
でも自然に出来るシワだものーーー
なんて自分に言い訳をしている
チャコちゃん先生ではありんす
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プロ根性

2009年12月10日 09時37分58秒 | 日記
黒い、暗いではなく、黒い茶室で撮影
クロワッサンの1月20日発売用

さてモデルは川邉サチコさん
或る日
娘さんの茅さんが大学の卒業式で着た
ピンクの振袖を洗い張りをしようと預かった

その頃丁度
クロワッサンでチャコちゃん先生がモデルとなって
サチコサン、茅母娘がヘアメイクを担当してくださった
その折
編集のO女史が
「川邉さんもおきもの着ますか?」
「人形町おんなよ粋よ」
「口説いておいてくださいよ」
「分かった!」

サチコさんは白髪染めをやめ
さすがヘアーアーテイストまとめ方がうまくてカッコいい

「ねえこのピンク当ててみて」
実に映る美しい
白髪とピンクの調和が見事だ

と言うことで仕立て直してサチコサンが着ることになり
O女史に連絡を取って撮影決行となった

仕立て上がりを
顔に当てたが気に入らないとごねるサチコサン
しかし其処は美容家
「似合わない人に如何に似合うようにするのかが私の仕事だった」
と似合わないと思うピンクのきものが似合うようにするための努力を始めた

肌の色、肌の張り、目の形、髪の形、頬紅の位置などなどーー

そして昨日
黒茶室に座る

美しい

変身と言うより、全く違ったサチコサンがいた
チャコちゃん先生も久しぶりに撮影着付けを堪能

きものは母からとかおばからと言うお下がりはあるが
娘のものを着ると言う「おあがり」はまれ

プロの技を必見!!!
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足が地に着く

2009年12月07日 18時21分44秒 | 日記
みかん畑の中にある洋館建てのセミナールームから
今ビル乱立の東京に着いた
新宿のビルは「結界」と言う人もいるくらい
何かを守っているらしい
そう思うとビルにも感謝の気持ちが湧く

広瀬恵子さんが移り住んだみかん山
はるかに太平洋も見えて青い空にオレンジ色のみかんが暖かい

この地に
リタイヤした夫婦が窯を建て陶器三昧
その焼きあがった陶器にご自分で打った蕎麦を載せる
これが美味
夫婦二人の生活は
これで十分まかなえると言う

みかん畑を一つつぶして
「イングリッシュガーデン」を作園
さすが南国色とりどりの薔薇が美しい
特に白い薔薇が青空に映えてすがすがしい

文旦つくりのみかん農家だから
お茶に文旦が一切れついてきておいしい
クリスマスはコンサートも開くので
「必ずいらして」
と念を押される

高校の先生をしていた女性
段々畑が売りに出され購入
其処に果物の木と野菜を作った
素人農婦だが此処8年かけてどうにか一人前

学校定年後
自分の畑で出来た素材を使い
田舎料理でもてなすことにした
料理も専門ではないが愛のこもった手料理が胃にやさしい
一週間の内3日だけと決めて
残りの日は
畑の手入れと趣味の油絵に専念

皆笑顔の美しい人たち
ドンドン仕事を大きくしたい恵子さんだが
足を地につけた人との交わりを尊いものと思うとき
新旧の文化が交差して
また新しい街づくりになるかもしれない

新宿のビルの間から
赤く染まる富士山を眺めながら
生きることに積極的な人の美しさを思う

高速道路無料になった暁は
いろんな人が尋ねてさらに楽しい空間になるといい
皆が楽しいことが
国が栄えることだと思う
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一夜明ければ

2009年12月04日 09時47分40秒 | 日記
満月の夜から
いきなり雨の日が一日
そして今日は富士山も美しい快晴

一夜の雨に
叩き落された落ち葉
公園の紅葉は一気に枯れ木になった

昨日久しぶりにお会いした
組みひもの老舗龍工房の会長
暫く調子を崩していたと言うので
お会いしに行った

「80歳を過ぎるととたんだね、なにもかも衰える」
そういえば82歳になられた先輩も
「80歳が区切りね」
つれづれの仲間島立さんも
「80の声を聞くと何もかも違ってくる」
とおっしゃっていた

今日の公園の枯れ木のような心境なのだろうか
いづれ迎える80歳
先輩達の声をきちんととどめておこうと思う

しかし
枯れ木に当たる太陽の暖かさも
なかなかの見頃

でも
かの方たち80歳を超えても何かに挑戦する力を持っている
そして島立さんは
「今度仕立てる結城は紅絹の裏をつけてね」
一生に1回は紅絹をつけたきものを着たかったと言う

いつもいつも先に何かを求める生き方は
本当に美しい

この公園の枯れ木も
これから霜や雪を抱えて
また違う姿を見せてくれる

毎日が新鮮!

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下駄

2009年12月03日 16時23分25秒 | 日記
今日の様な雨は
と言うのは真直ぐで強い降り
蛇の目に雨下駄が一番似合うし
完全に保護してもらえる

利休下駄は歯が細いので万人向きではない
先日もセキドが
「カッコいい」
と飛びついたのだが
怖くて歩けないとこぼす

「貴方日本人でしょう?利休をはけなくてーー」
きもの云々は100年早いと叱咤が飛ぶ

確かに
都会の道は利休は怖いかもしれない

ヘンな電話が某テレヴィ局からきました
「小さい下駄は粋だけど、大きい下駄は裾を巻き込むから野暮?」
「どういう意味ですか?」
クイズ番組でそういう下駄の履き方を問題に出すのだと言う

足より小さい下駄を履くと粋に見える
足より大きい下駄を履くとゆったりと見える
なんで裾が巻き込まれるわけ?

チャコちゃん先生
次第に声がきつくなり
「西と東では下駄の鼻緒のすげ方だって違うんですよ」
粋だ野暮だと一概に言えませんね

軽い答えがほしい相手は恐縮してしまう
かほどにきもの周りは地方文化もあり
また階級文化もあり
複雑

六日町で購入した雪下駄がボツボツ出番
爪皮に毛皮がついていて可愛い
ヤハリ雪国の人がはく下駄だ

最近は一流ホテルも
下駄を履いて入れるようになった
雨の日は雨草履より雨下駄の方がヤハリ実用的
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