はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
http://kouwado.com

「彼らが本気で編むときは、」を観て

2017-03-21 22:29:43 | 日記
先日、EテレのハートネットTVで紹介されていた映画、『彼らが本気で編むときは、』を観ました。
トランスジェンダーの主人公の日常が描かれています。
監督の荻上直子さんがアメリカで生活していた頃には普通にセクシュアル・マイノリティの人たちに出会っていたのが、帰国後は出会わなくなったことに違和感を覚えたことで作られた作品です。「本来は当たり前にあるはずの光景をただ描きたかった」という荻上さんの言葉を聞いたことと、番組内で流れた映画のワンシーンが素敵だったので、ぜひ観てみたいと思いました。

主人公のトランスジェンダーの女性を演じているのは、生田斗真さん。その姿だけではなく所作も美しくて、スクリーンから優しさが溢れてくるようでした。主人公のパートナーを演じる桐谷健太さんはのんびりと包み込むような雰囲気が素敵でした。その2人の元でしばらくの間一緒に暮らすことになった小学5年生の女の子を演じる柿原りんかさんは、複雑な状況に置かれた役所なのに、ごく普通に自然な感じのする見事な演技でした。

今の日本ではセクシュアル・マイノリティについて取り上げられることはあっても、それについて触れたり語ることがタブー視されているところがまだまだあると思います。頭では同じ「人」であると分かっていて、それぞれ個性が違って当たり前と知っていても、実際にどう接していいか分からずに触れないようにしているところもあるのではないかと思います。
セクシュアル・マイノリティ以外にも、介護や児童虐待など、現代社会が抱える問題がこの映画では取り上げられていますが、脚本の素晴らしさと俳優の方々の演技力によって、様々な立場の人々が暮らす日常が絶妙に表現されていると感じました。

明確なエンディングが示されていないので、観る人によって解釈は異なると思います。私はこの作品を観て、同じ「人」同士が普通に助け合ったりしながら暮らしていける社会になったらいいなと思いました。
そのためには、多様性を認める心を持つことが必要です。自分と考えが異なるからと排除するのではなく、相手の話しをじっくり聞いて、少しでもいいから理解をしようと努力すること、そして自分たちが意識していない偏見で苦しんでいる人がいることに気づけるかどうか。そんなふうにお互いの理解が深まれば、この映画の登場人物のような傷ついた人たちが減っていくのではないかと思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする