手当てという言葉があります。
痛みのあるところに手を当てるだけで少し痛みが和らぐような経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
東洋医学では、あらゆるものが気によって形作られていると考えられています。人の心身も気によって存在し、動いているとされています。
気は全身を巡り、時に発散されたり吸収されたりします。また、人と人が触れると互いの気が交流するという性質があります。特に手は気の力が大きく現れており、気分が悪い時に背中をさすってもらったり、腹痛の時にお腹をさすってもらったりするだけで症状が改善することもあります。
鍼灸治療においては、治療効果を高めるために「手」が重要になります。
治療を始める前に脈に触れたり、お腹を触ったりするのも手で行い、ツボを探す時にも手でその場所を探していきます。
初めての鍼灸治療で緊張している患者さんに触れる場合には、いかに安心してもらえるように触れるかがポイントになります。私たち鍼灸師とって、手は大切な道具の一つです。
鍼灸学校で、治療するための手を作る訓練をいくつか教わり、自分に合った方法を今でも実践し続けています。
温かさがあることはもちろん、程よく乾いたサラッとした状態であることが理想です。
気候などの影響もあり、常にこの状態を維持するには工夫が必要ですが、臨床経験を重ねるほどに意識せずとも維持できていることが増えてきているように感じています。
時折、患者さんから「手が温かくて気持ちがいい」と言ってもらえると、そう感じてもらえたことにほっとして嬉しくなります。
これからもより良い手の状態を保ち、手の力を存分に発揮できるように調えていきたいです。
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