北海道の牛乳はとてもおいしい。本州へ出かけて牛乳を飲むとい つも感じることです。道産子でよかった! ところで、このおいしい牛乳が苦手な人がいます。飲むとお腹が ごろごろする人です。これは牛乳に含まれている乳糖という糖分 が原因で、「乳糖不耐症」と呼ばれています。乳糖の仲間には、 ショ糖があります。皆さんが通常お砂糖と呼んでいるものです。 もうひとつ、麦芽糖もあります。料理やお菓子などに使う水あめの 成分です。乳糖、ショ糖、麦芽糖。この三つの糖類を「2糖類」とい います。これ以上分解すると糖としての性質が失われる糖の最小 単位を「単糖類」といいますが、これらが2つつながっているので、 2糖類というわけです。乳糖はグルコ-ス(ブドウ糖)とガラクト-ス という単糖類が結合してできます。ショ糖はフルクト-スとグルコ- ス、麦芽糖はグルコ-スが2つ、それぞれつながっています。2糖 類は、小腸の粘膜上で単糖類に分解されてから吸収されます。 乳糖不耐症の人は、乳糖を分解する酵素ラクタ-ゼが小腸に非常 に少ないのです。それで、牛乳内の乳糖をうまく吸収することがで きません。残った乳糖によって腸の内溶液は濃い状態のままとな り、水分を腸内にとどめます。これが腸の壁を刺激して運動を高め ます。これがおなかのゴロゴロの原因です。ひどくなれば、軟便と なります。単に吸収できないだけですから,最近聞かれる「牛乳は 毒だ」というのはあまりに非科学的です゛。だいたい、乳糖はヒトの お乳に含まれています。それに、乳糖を処理した牛乳を飲めば、 全く問題なし! 栄養満点なんですから !
最近の研究で解明されたことに、牛乳から栄養分を補給する能力 を持った、DNA(遺伝子)を受け継いだ人たちが存在することが分 かったといいます。それは、その人たちの住環境で野菜やその他 の食物から必要な栄養素が摂取できなかった。手じかに存在した のが牛乳であった。その為に、段々と慣れ親しんで、全く問題なく 吸収できる体質に変革し、そのDNAを引き継ぐこととなったのだと 考えられるようです。その様に牛乳を飲んでも、問題のない人と、 そうでないヒトとに別れるということです。このことは、お酒でもいえ るようで、時によっては強要しないことも肝心なことのようです。