゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

医療・福祉「感謝や恨みから・・・」

2007-11-05 14:07:00 | 本と雑誌

感謝や恨みから育つ思いやりこそが介護                                    (前沢政次・北大大学院教授)

母の介護―102歳で看取るまで (新潮新書 223) 母の介護―102歳で看取るまで (新潮新書 223)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2007-07

地域医療の中で介護は難問のひとつである。わが国の介護保険制                           度は2000年にスタ-トした。介護の社会化、自立支援など理想が                           語られたが、現実との間には大きな乖離がある。コムスン事件が起                           きた。国は福祉産業を奨励し、民間企業に期待を寄せた。そこには                           営利企業と非営利団体の区別はない。利潤追求が過ぎれば、行政                            を欺くことばかりではない。雇用者に無理な労働を強い、賃金は安く                           抑える企業も出てくる。利用者は不在である。そのためか、介護保                            険は、介護会社を性悪説で悪人であることを前提に、規則を厳しくし                           ている。営利企業がいくらでも利益を吸い上げる可能性があるからだ。                         介護担当者は善意で働いている方がほとんどなのに、国の規制は                           本末転倒の点が少なくない。現場は利用者も介護担当者もとまどう。                          介護が商品化してしまうと、一番大切なこころが犠牲になりやすい。                           介護の体験をつづった本がたくさん書店に並んでいる。坪内ミキ子                            「母の介護-102歳で看取るまで」は、介護保険制度以前の介護                            の様子、入院生活、介護保険後の状態が読み取れる。介護は地獄                           のようであるが、内容の多くが両親の思い出語りであることで救われ                          る。本来のケアは対象者の歴史や苦労物語をよく知った人によって                           担われるべきなのだ。感謝に結びつく思い出もあれば、うらみつらみ                           に通じてしまう追憶もある。複雑な思いの中から、思いやりのこころは                           育てられる。

鎌田實のしあわせ介護―苦しみを喜びに変える33のヒント (シリーズCura) 鎌田實のしあわせ介護―苦しみを喜びに変える33のヒント (シリーズCura)
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2007-07

「人が人を支えるとはどんなことか。生きる力とは、何によってもたら                           されるのか。介護は人間の本質も教えてくける。介護を追及すると、                           人間の生き方のヒントが見えてくる」と力説するのは「鎌田實のしあ                           わせ介護-苦しみを喜びに変える33のヒント」である。がんばらない、                          あきらめない鎌田實の自信作である。老い方、死に方の心構えが変                           えられれば、虐待も減るだろうなと期待が膨らむ。05年から06年に                           かけて介護保険制度に大きな変化があった。施設入所者には居住                           費、食費が全額自己負担になった。介護予防の名の下にサ-ビス                           利用額の抑制が進められた。新設された地域包括支援センタ-は                           介護予防プラン作成に大きな労力を費やした。どのような結果がも                            たらされるか、私たちはしっかりと見きわめなければならない。介護                            の社会化には相当な費用が必要だ。重労働、低賃金が続けば介護                           の働き手はいなくなる。介護者の献身的奉仕精神と体力にも限界は                           ある。介護保険料の大幅引き上げか、税金の大量投入か、消費税の                          引き上げも間近な問題だ。国民一人一人はこの問題に目を背けては                          ならないだろう。出費を最小限にするには病気や体力低下の予防が                           大切だ。老いてから他人に強いられる予防には無理がある。気付い                           たその日から生活習慣を見直し、行動したい。

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