先進国の15歳対象にユニセフまとめ 30%、平均の4倍も「気まずさを感じる」も最多
狭い人間関係背景に受験競争も影落とす 国際児童基金(ユニセフ)が発表した先進国の 子どもの幸福度に関する調査報告書によると、 学校で孤独を感じる15歳の割合は日本が約30 %で最も多く、平均を20ポイント強も上回るなど 突き出していた。道内の専門家は「孤独という言 葉の受け止め方は文化により違う」としながらも、 日本の子どもの人間関係が「親子」と「同級生」に 限られがちで多様さに欠ける点が、高い孤独感 の背景にあるとみている。報告書は、経済協力開発機構(OECD) 03年、41ヵ国約28万人の15歳(日本は高校1年生約4700人) を対象に行った学習到達度調査を基にして、ユニセフが編集した。 OECD調査は「学校はどんな場所か」を尋ねる設問があり、「孤独 を感じる」「簡単に友達がつくれる」など6項目について、それぞれ 「強くそう思う」「そう思う」「そうは思わない」「まったくそう思わない」 から一つを選ぶ内容。
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ユニセフの報告書によると、日本の15歳は29・8%が「孤独を感じる」 と答えた。2位のアイスランドは10・3%、OECD平均は7・4%だった。 同じ設問に対し」気まずさを感じる」とした回等も、日本は18・1%でトッ プだった。日本ユニセフ協会広報室は「外国語と日本語とでは、質問の ニュアンスが微妙に違う可能性がある。数字だけでは比較できない」と した上で、「孤独や気まずさを抱いている青少年がいる、という事実を 踏まえた対策が大事」と主張する。
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北海道こども診療内科・氏家医院(札幌)の氏家武理事長は「親が過 剰な甘えを許し、子どもが欲望を満たされて育つと、協調性は低くなる。 一人っ子は、その傾向が強い。相手の気持ちを考えられなければ友人 ができず、人間関係が親子関係だけでに限定されかねない」という。さ らに、日本の学校は「子どもの居場所としての自由度が低く、多様な 人間関係を学べる場になっていないし、その余裕もない。そうした中、 受験を通し<勝ち組・負け組み>に分かれてしまう」。人間関係の乏し さや学力による格差が疎外感を誘発する-との見方を示す。
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子どもたちが気軽に悩み事を話せる電話を開設しているNPO法人「チ ャイルドラインさっぽろ」の代表で、北星学園大社会福祉学部の今川民 雄教授(社会心理学)も、子どもたちを取り巻く人間関係の幅の狭さが、 孤独感を生む一因だと強調する。かっては幼稚園児から中学生までが 一緒に遊ぶ機械が地域にあり、子どもたちは<自分の数年後のモデ ル>と身近に接していた。だが地域の崩壊で、それがなくなったとも。 今川教授は「さまざまな人間関係を築けないと、特定の集団での関係 が絶対的になる。いまの子どもは友達を大切にする半面、集団内部で ちょっとしたトラブルが起きると、敏感に孤独を感じやすくなっているので は」と分析。「いろいろな年齢の他者と接し、多様な経験をすることが、 子どもたちの可能性を広げる上で大切」と強調している。
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