今年1月に”統括”の座をO島新任所長に譲り渡したハリケーン所長ですが、それで仕事を引退した訳ではありません。
いまでもしっかりとO島統括所長の後見役として「担当所長」という役職で事務所に留まっています。
あれは昨年の12月の事でした・・・。
”お~い、Hさん ちょっと来てくれ!”と所長室から呼ぶ声が・・・
何かと思い、いってみると・・・
”今日の夕方の部課長会議で使うから、この組織表を手直ししてくれないか。”
Hさんは事務屋さんではありませんが、生憎と他の事務員さんは手が離せないらしく、Hさんにそのお鉢が回ってきました。
”所長、どのように直したらいいのですか?”
”まず、1月からO島所長に「統括所長」になって貰うから、一番上にO島統括所長もってきてくれ。”
”あ、はい。判りました。”
”それから、その横に俺の名前を書いて、点線で繋いでくれ。”
”え、横にですか?”
”そう、横に名前を書いて、「担当所長」と書く。”
”「担当所長」ですか。 はい、判りました。”
”そしてその横にカッコを付けて、その中に役割分担を書くんだ。”
”そうだな、俺の役割は・・・”
”まず、現場は安全が基本だから「安全」は俺が見る!”
”それとお客さんに喜んで貰うには品質が大切だ。「品質」も入れておこう!”
”お客さんに喜んで貰っても、会社に利益を出さないとな。「原価管理」も入れておいてくれ。”
”はい、判りました。”
”おお!そうだ! 今の仕事はそれで大丈夫かも知れないが、次の仕事の準備も進めなきゃならないから、「営業」も入れておこう!”
こうして出来上がった組織表は・・・
O島統括所長・・・・ハリケーン担当所長(安全・品質・原価管理・営業)・・・・以下所員。
その日の夕方の部課長会議が終了して、ハリケーン所長は上機嫌で退社。
残った所員に向かって、O島統括所長が・・・
”まいったな。いったい俺は他に何をやればいいんだ?”
すると、傍にいたM副所長が、すかさず・・・
”後の責任だけは取れよ 、と云う事じゃないですか。”
そこにいた所員全員、納得・・・。
こうして、ハリケーンは”依然、その勢力を保ったまま。”なのでした。