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林雄三 針金細工展

 かなり昔の話になるが、小学校2年生くらいのときだったと思う。学校からの帰り道、2時間も道草をして、ひどくしかられた覚えがある。一体何をしていたのだと言われたが、針金細工をずっと見ていたのである、2時間も。

 道端に防水シートを敷いて、商品なのだろう、針金細工のゴム鉄砲が20丁も並べてある。クランクを利用して輪ゴムを何本も装填できるようになっていて、引き金を引くたびに一本ずつ輪ゴムが飛んでいく、連発銃だ。

 そのメカニズムにも興味はあったが、2時間も飽きもせずそこにいたのは、今で言う実演販売だったからである。防水シートの上にアグラをかいて座っているおじさんのペンチが動くたびに針金が鉄砲になっていく。その無造作な動きが作る、精密な機構に驚嘆していたのだ。

 家に帰って早速やったのは針金を曲げてゴム鉄砲を作ること。単発銃は出来たのだが、その後おじさんから連発銃を買った記憶があるから、自分で作った鉄砲はあまり気に入らなかったのだろう。

 先週、東京の恵比寿ガーデンプレイスに映画を見に出かけた。時間があったので恵比寿三越の中をうろうろしていたら、針金細工の実演をしている。林雄三さんという方で、有名な方らしい。

 作品も沢山展示されていて、金線や銀線を使った細工は本当に繊細で美しい。

林雄三、モービル

 これが林雄三、針金細工展を知らせる絵葉書。カタツムリが代表作の一つかなのかもしれない。

林雄三、カタツムリ

 それでもやはり一番気になったのが実演の方である。ちょうど見ているときはアルファベットでネームプレートを作っていたが、やはり無造作な動きが精密な造形を作り上げていく。釘付けになってしまった。

 家に帰ってきてやることは決まっている。家には真鍮ワイヤーも、ビー球もある。もちろんペンチやニッパーもあるのだから、表現したいものがあるなら、何でも作れる。

 林さんのカタツムリ、単純化された線が美しい。しかし、、、、余分な要素はないだろうか。もっと単純化できるのではないか。より単純化できれば、より美しくなるはずだ。贅肉をそぎ落としたカタツムリを作ってみよう。シンプル・イズ・ザ・ベストなのだ。






佐久間、カタツムリ

 「どうだ、シンプルになっただろう。玄関にでも飾っとくか」と鼻高々な私。
 「雄君が作ったことにしておきましょ」と冷静な美術評論家。

 雄太君はお隣の、とても元気な小学2年生である。今度、林雄三の作品を見かけることがあったらカタツムリを買ってこようと思っている。



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