万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”神様のヘイトスピーチ問題”は深刻

2016年01月21日 15時08分34秒 | 国際政治
英国 トランプ氏入国禁止に至らず 下院で議論 「言論の自由に反する」 「攻撃的でクレージー」の意見も  
 イギリス下院では、”イスラム教徒の入国を禁止すべし”と発言したアメリカ共和党の大統領候補トランプに対して、氏の入国を禁じるべきか、否か、議論が行われたそうです。結論としては、言論の自由に反するとして入国禁止措置は見送られましたが、野党労働党からは、ヘイトスピーチ、あるいは、ヘイトクライムを理由として入国禁止措置に賛意を示す声も上がりました。

 本議題は、イギリスで57万人もの入国禁止賛成の署名を集めており、野党をはじめ、賛成派の人々の主張は、”特定の宗教の信者に対して敵意を煽るような発言は許されるべきではない”ということなのでしょう。確かに、トランプ氏の主張は、その核心部分だけを切り取ると、過激で差別的な響きがあります。しかしながら、この問題の因果関係を探ってゆきますと、解決困難な忌々しき問題に突き当たります。それは、”神様のヘイトスピーチ”の問題です。『コーラン』では、異教徒との戦が許されており、特に、イスラム教に改宗しない多神教の信者に対しては殺害まで認めています(第9章第5節)。ジハードに限らず、イスラムの教えは、このように、異教徒に対して極めて攻撃的な側面があるのです。しかも、この言葉を語ったのは、神自身ではなく、”使徒”マホメットであるのですが、マホメットが’神の言葉の代弁者’とされているがゆえに、”神の言葉”であると信じられており、その絶対的な神聖性がイスラム過激派によるテロを正当化しているのです。トランプ氏の”イスラム教徒の入国を禁止すべし”の言葉と比較しますと(一先ずは政策論の範疇に入る…)、このマホメットを通して”神の言葉”の方が、よほど無慈悲で容赦がないヘートスピーチなのです。”イスラム教に改宗しない異教徒は殺してしまえ”なのですから…。トランプ氏の発言をヘートスピーチであると非難する人々は、このイスラム教徒による”神様のヘイトスピーチ”を、いったい、どのように考えているのでしょうか。

 おそらく、マホメットが生きた6世紀から7世紀の時代にあっては、戦争は日常茶飯事であり、かつ、生命尊重に対する意識も低く、誰も人道に反するとは感じなかったのかもしれません。しかしながら、今日では、イスラム教の教えを文字通り実践しますと、非人道的な残虐行為を容認することになりかねません。この深刻な問題の解決方法は、イスラム教徒自身が見つけ出してゆかないことには、人類に平和も安定も訪れることはないのではないかと思うのです。

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