万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

止まらない公明党による国交相ポストの独占-同省の分離・分割が必要では?

2021年10月04日 13時19分25秒 | 日本政治

 本日、10月4日、衆参両院での指名等の手続きを経て、日本国では岸田文雄内閣が発足する予定です。岸田政権の成立に先立って既に内閣人事が固まっており、新聞各社も新内閣の顔ぶれを第一面で報じております。ネット上でもデジタル相兼規制改革・行政改革担当相、並びに、ワクチン担当相のポストに女性閣僚を起用した人事が目立っていますが、もう一つ、その動向が注目されるのが国土交通相のポストです。何故ならば、長期に亘り、公明党による独占状態が続いてきていたからです。

 

 公明党が最初に同省の大臣のポストを得たのは2004年9月に発足した第二次小泉内閣に遡ります。2012年に成立した第二次安倍内閣以降に至っては、公明党による独占状態が続いており、かれこれ20年近く、同ポストは公明党によって凡そ掌握されてきたのです。そして、今般の岸田内閣にあっても、国交省のポストは公明党の斎藤鉄夫氏が’継承’しています。言い換えますと、国交相ポストの公明党独占状態という異常事態が’正常化’されることはなかったのです。

 

 そもそも、公明党は、広く国民に開かれた国民政党とは言い難い政党です。誰もが知るように、創価学会という新興宗教団体を支持母体としており、日本国民の数%に過ぎない学会員によって支えられています。全国に設けられている創価学会の会館には、日本国民の誰もが立ち入ることができるわけではなく(神社や仏閣、並びに、教会は誰に対しても基本的にはオープン…)、閉鎖性の強さが際立っています。いわば、私的な信仰(拝金主義?)を絆とする’秘密結社’のような組織なのです(そのインターナショナル志向からしますと、おそらく、イエズス会や共産党をも束ねる超国家権力体の支部なのでしょう…)。

 

日本国憲法が定める政教分離の原則にも反しており、その存在自体が違憲の疑いが濃いのですが、これまで違憲訴訟が起こされていないため、既成事実の積み重ねによって政権与党の一角を占めてきました。中国とも強固な関係を築いているため、一般の日本国民にとりましては、全体主義志向、かつ、海外の組織とも繋がる得体の知れない警戒すべき存在なのですが、その政党が、国土交通省のポストを独占して日本国の現状は忌々しき事態です

 

そしてここで考えるべきは、国土交通省という巨大官庁の在り方です。国土交通省とは、2001年の中央省庁の再編に際して、運輸省、建設省、北海道開発庁、及び、国土庁の4つの省庁を統合して設置された新設の官庁です。しかも、海上保安庁や観光庁なども同省の外局ですので、その権限の範囲は広大です。国土交通相のポストは、凡そ20を数える閣僚ポストのうちの一つに過ぎず、ささやかな印象を受けますが、その実態をみますと、同省が内包するようになった6つ以上の‘隠れ閣僚ポスト’を全て公明党が‘指定席’として独占しているようなものなのです。しかも、親中派の公明党が海上保安庁のトップに座している状況は、尖閣諸島などの問題におきましても、政府による売国行為を懸念する材料の一つと言わざるを得ないのです。

 

 今になって考えてみますと、2001年の中央省庁再編にあって、国土交通相という、かくも巨大な権限を有するポストを何故つくりだしたのか、不思議でなりません(利権も集中することに…)。現在にありましても縦割り行政の打破が叫ばれ、行政改革の必要性が叫ばれていますが、上意下達の迅速化をよしとする根拠が通用するならば、全ての権力を一機関に集中させる独裁が、最も効率的な組織形態ということにもなりかねません。

 

一方、複雑化した現代という時代からすれば、むしろ、専門分野ごとに細かく機関を分け、仮に縦割り行政の弊害が表面化する場合には、各機関の意向や権限を円滑に調整し得るシステムを構築した方が余程現代という時代に相応しく思えます。巨大化した国土交通省の権限が公明党という’私的団体’に独占されている現状から脱却するためにも、急ぐべきは、同省の分離・分割(最低限、海上保安庁は分離を…)、並びに、中央省庁の’再再編’ではないかと思うのです。


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